




コレクターが求めるモノ

記念メダル収集とは孤高の趣味だと思って15年以上を過ごしてきた。が、やがてブログを始めたりTwitter( 𝕏)を始めたりしたことにより、コレクターの方とネットの世界で桂むきより薄く細くとも知り合う機会ができ、そして現実世界でもお会いする機会がポツポツと生まれ始めた。一昔前までは「ネットで知り合った人とリアルで会うなんてもってのほか!」という価値観が啓蒙されてきたが、いまやマッチングアプリで出会った男女が結婚するのがまったく珍しくなくなった昨今である。そんな単純な言葉による啓蒙活動ではもう今の子供たちの心には届かないことだろう。なんたって学校の先生や警察官がマッチングアプリで出会った人と結婚する時代なのだから。「会うな」ではなく、「何に気を付けて会うべきか」に価値観がシフトしたといえる。まあそもそもマッチングアプリで知り合おうが合コンで知り合おうが、初対面の相手がもしかしたらあぶねーヤツかもしれないっていう危険度は全然変わらないわけだからね。
そんなわけでネットで知り合ったおっさん二人がリアルでも顔を合わせるくらいには、ネットを通した出会いというものが一般的になった昨今。私をはるかに上回るレベルのコレクターのコレクションを拝見する機会をご提供いただいた。
趣味ブログなんぞをやっていると、ブログ主はとかく「雲の上の存在」みたいに見られがちとなる。だがしかし、私が常々言っているのは、真の猛者はネットなんぞには現れないのである。真の猛者は、ただひたすらに、己の道を極めんとする求道者なのだ。
そんな道を究めし者が、己の趣味の粋を集めた趣味専用ガレージを構築したと聞き及んだので、本記事はそこにお招きいただいた記録となる。こういう空間を作れることが、ただただシンプルに羨ましい。私に1億円くれる人とかいないものだろうか(いない)。
趣味ガレージは男の夢

ガレージには記念メダルだけではなく、究めし者が生涯を掛けて集めてきた数々の収集品が綺麗に整理整頓されて並べられていた。”収集してきたモノを綺麗に陳列する”というのは、実はコレクターにとってなかなか叶わぬ夢であることが、同じようにモノを集める記念メダルコレクターの皆様には多くの言葉など不要でご理解いただけることであろう。


趣味専用ガレージというのは、”収集してきたモノを綺麗に陳列すること”を真の意味で可能にする唯一無二の方法と言っても過言ではない。「生活空間と離れている」というのは実はものすごく重要なことである。例えば、私は以前、一人で2LDKの物件に住んでいたことがあって、一部屋を完全趣味部屋としていたことがあった。が、生活空間と直通だったその趣味部屋は、何かの折ごとに闖入者の侵入を許すことになった。
「完全趣味部屋」と豪語しつつも、事実上は決してそうではなかったという経験があるのだ。

例えば、大きな荷物があればその部屋にとりあえず置いたり、洗濯物を部屋干ししなければならないとなればやはりその部屋に干したり。日常生活ではほぼ使っていない部屋が一部屋あるのに、自分の生活動線上にわざわざそれらいっときの闖入者を一時的にでも置いておく必要もまた無いからだ。
このように、普段使ってない部屋があると、そこを一時的に利用するという事象は実は日々よく起こる。それを「”とりあえず”が溜まる場所」と私は呼んでいた。
しかし、趣味部屋を夢見る人は、そういった使われ方は望んではいないはずだ。己の趣味部屋にはもっと”聖域”(サンクチュアリ)であることをイメージして求めるものである。自分の好きなモノだけで埋め尽くされ、そして誰にも邪魔されない自分だけの空間——そんなイメージで夢見ているのではないだろうか。そう、そこには洗濯物が干してあるイメージはきっとないはずだ。

つまり、理想の趣味部屋は、生活空間とは物理的に少し離れているのが本来は好ましい。「つい」「ちょっと」で異物の侵入が無きように。
自分が最も心が満たされて、誰にも邪魔されない場所——そんな空間が理想的だ。

その中で”ご当地まりもっこり”をチョイスするのはなかなかにシブい

1度目は元カノである。まりもっこりを見る度に脳裏をかすめるのはここだけの話だ。

こんな空間で一人静かに酒を飲む——そんな時間を夢見る男子諸君は日本にごまんといることだろう。ただそれを本当に実現できるのはほんの一握りの人間である。家の問題、金の問題、家族の問題……といざ実行に移そうと思えば問題は山積みである。男の私から見てもこれを許した奥さんすげーなと思う。男の憧れ「所さんの世田谷ベース」を創り上げられる男は、ほんの一握りなのだ。
だからこそ憧れる。

私もほしーなー、こういう離れが。
と、素直に思いました。

記念メダル関連

当然ながら、記念メダルのコレクションも相当数が揃っている。もちろんコンプリートなど不可能であるが、少なくても現行販売されている常設メダルはほぼコンプリートしているだろう(コレクターの誰も関知してないようなメダルはもちろん含まない)。西に新作の記念メダルがあると聞けば当日中に飛行機のチケットを手配し、東でフェリー会社が合併してメダル裏面に微妙な変更が施されたと聞けば翌週には往復で乗船している——そんなお方である。とにかく旅のフットワークが軽い。私は最近では旅はしたいが行くのがめんどくさいというアンビバレントな感情を抱くようになった。小説家になりたいと願う若者が小説を全然書かないのと似たような心境かもしれない(森博嗣っていう名古屋大学教授兼推理小説家が『小説家という職業』という著作の中でそういうことを言っていたのよ)。
そして何よりこのお方、コレクターとしてのこだわりが濃い。


旅先でご当地キーホルダーを収集していた時代に、”キーホルダーの一つ”として偶然購入していたらしい。



メダルの収納方法へのこだわりから、コンプリートへのこだわりまで、これを強者と呼ぶんだなと、私にはない類の熱をアツアツで感じた次第である。良いか悪いかはさて置いて、私には正直ここまでの情熱がたぶん、ない。
絶対王者というのはこういう迫力をもつ者のことをいうんだなと思うなどした。『マツコの知らない世界』に記念メダルで出演する人がもし生まれるなら、このレベルの人こそ相応しいだろう。
むっちゃ夢中とことん得意どこまでも努力できればプロフェッショナル
俵万智『生きる言葉』

いらんのに付いてきたキーホルダーとケースが溜まりがちぃぃぃぃ!
それをこうやって綺麗に収納しているところがプロフェッショナル。
私は少なくてもケースは秒で捨てます。
アルバムの中にはネットでも見かけたことすらないような過去のメダルも多数収納されていたので、じっくり腰を据えて、それこそお酒でも酌み交わしながら時間をかけてアルバムを閲覧させていただきたいものである。ちなみに全て無刻印だった。そこもまた記念メダルコレクター強者。
世の記念メダルコレクター達にその存在が知れれば、すべての記念メダルコレクター達から神として崇められるような存在なのかもしれない。

ということを教えていただきました。
【関西4タワー】メダルがこうなったら、泣くね。
記念メダルについて

このお方の記念メダルトピックとしては、大きなもので二つある。
一つは、個人制作メダルの作成者であること。
もう一つは、【TRAIN SUITE 四季島】の車内販売限定メダルを所有していること。
そう、どちらも歴史に名を残す偉業——レジェンドである。
記念メダル制作

既にお気づきの方もいると思うがが、このお方のオリジナル記念メダル制作に私は関わっている。簡単にいえば代理店みたいなことをしたというか、あっちの言ったことをこっちに伝え、こっちの返答をあっちに伝えたという誰にでもできる簡単なお仕事をさせていただいた。そのご縁に乗っかって、4度目の【茶平工業】訪問のおこぼれを頂戴したので、実に役得であった。

結局修正無しの一発OKだったので完成版と何一つ変わらないが
で。
このメダルの入手方法に関してはここでは何も言えないので、とりあえず非売品であるとだけ明記しておく。語りたいことは実はいろいろあるのだが、いつかそれを話すことが許される日が来たならば、きっと語ろう。気になる人は現実世界で私を見つけ、直接聞いてくれ。
重ねて釘を刺しておくが、メダルに描かれている施設に電話したところで売ってもらえるわけではないので、くれぐれもそういうことはしないように。これは記念に制作されたメダル——正真正銘の”記念メダル”なのである。そして私の力の及ぶところには、もうない。
余談としては、実にコレクターらしく、現在製造を請け負ってもらえる全てのメダルパターンでメダルが誕生したという点が挙げられる。実は銅メダルと【京都国際マンガミュージアム】型の金銀コンビの配色逆ver.等もお願いしたのだが、「もう請け負っていない」という【茶平】からの返答があったので、両幻に終わった。
見たかったね、銅メダルも。
四季島メダル

真のお金持ちしか乗車することが許されない特別な豪華列車——【TRAIN SUITE 四季島】の車内で純銀製の茶平メダルが販売されているということはご存知だろうか?
ちなみに【TRAIN SUITE 四季島】とは、どんなにお安くても乗るだけで一人40万円程度は掛かる超高級観光列車である。YouTuberが笑顔で発信する向こう側の世界がそこにある。
この記念メダルの存在がネット上で確認できるのは、このブログ記事か、ヤフオク/メルカリでたまに出品されたときくらいである。また真のお金持ちしか乗らないし購入しないという特性上、持ち主がヤフオク/メルカリという煩わしい手段で処分するということもほとんどないと考えられるので、入手するにはとりあえず40万円ほどご用意いただかなければならない。茶平かJRに入社するしかないわ。
幸運にも私は実物を見せてもらえたわけで、コレクター冥利に尽きるというものである。眼福、眼福。
そんなわけで、最強のコレクターとはこういう人のことをいうんだというコーナーでした〜

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