特集ページ【麗しき額装メダルの御方々】

置き場所に困っている図

時を超えてやってきた高貴な方々

 記念メダルには【額装メダル】というジャンルがある。正確には、「あった」だが。

 最も有名なのは【大阪万博】のものである。茶平工業公式HPに掲載されているのに加え、ヤフオク!やメルカリに大量に出品されているので、記念メダラーであれば一度は目にしたことがあるだろう。値段、状態もピンキリであるが、変に焦らなければ状態の良いものが3000円以下で手に入ると思われる。年代を考えると一見貴重なものに思えるが、私が記念メダル収集を始めてからずーーーっと出品され続けているので、相当な数が出回っていると考えられる。【大阪万博】での記念メダルの売れ方が未だかつてなく、かつ今後も起こりえないだろうほどのものであったことがよくわかる。

 なんせ、額装メダルセットは、高い。

 一枚平均500円だとすると、40枚セットで2万円+額代となる。普通に考えて、記念メダラーでもない人がこれを購入することはほとんどないような気もするのだが、しかし世の中には【大阪万博】額装メダルセットはあり余るくらい出回っているのである。また、【大阪万博】ほどは売れなかったにしても、他の額装メダルセットも確実に売れた実績があるからこそ現在私が手にすることができているわけである。私が言うのもナンだが「信じられな〜い!」である。誰が買うんすかね?(暴言)。

 記念メダルの底知れぬ力と魅力を感じるところの一つである。

 現在ではこうした大規模なセット売りはまったく行われなくなった。今後、たとえば2回目の【大阪万博】の際に同じように額装メダルが販売されたとしたら、はたして世の記念メダラー達は購入に踏み切るのかどうか。お値段的に相当勇気の要ることになるのは確実なので、高度経済成長期でもバブルでもないのにそんなことが可能なのかどうか、私自身も含め問われるところである。ただ間違えてはならないのは、こういうものを——つまりは高額な物を購入するから偉い、レベルが高い、真の記念メダラーだ、ということではないということをここに明言しておく。1箇所1枚しか買わないスタイルが、周囲の理解も得られやすいある意味では理想のスタイルだと思っておりますからね〜私。我慢できないから私は買っちゃうんだけど。

 【スカイツリー】の純銀メダルなんて、購入するときには毎回血反吐を吐きそうになる思いでレジに向かうからね! 正直、買いたくないのよ私!(でも我慢できないから買ってしまい、「お金」と「周囲からの理解」という二つのものを失っていく……)。

記念メダルブームの火付け役【大阪万博】

大阪万博メダルセット54枚
最も世に氾濫している40枚セット
大阪万博メダルセット20枚
割と珍しいが需要は無い20枚セット
大阪万博メダルセット大きさ比較
当然ながら、大きさはかなり違う

 恐らく最も有名な額装メダルセットである。ヤフオク!やメルカリ等でもよく見かけるので、入手はかなり容易であるといえる。絶対に元値は高かったと思うのだが、40枚セットの方が圧倒的に数多く出回っていて、バブリ〜と感じる。実は40枚、20枚共に「額縁が違うバージョン」も存在する。また、「額装」とまでは言わないにしても、この他にも「10枚セット」や「5枚セット」みたいなセット販売された物を見たことがあるので、【大阪万博】の記念メダルについては全容が掴めないほど世に出回り、今なお流通し続けているのである。

 メダルの構成としては、40枚セットは同じメダルが上下に2枚ずつ収納されており、それぞれおもて面と裏面でセットされ、どちらの面も見られるようになっている気の利いた仕様となっている。コレクター的には、「同じメダルは2枚もいらん」と思うのか、「なんて素敵な仕様なんだ!」と感動するのか、好みが分かれるところである。

 ちなみに【大阪万博】の記念メダルは、この額装メダルセットにあるメダル以外にもまだまだ種類が存在する。果てしなき底なし沼のようなイベント——それが記念メダル始まりの宴、【大阪万博】。

 ちなみに数年前にこの最も有名な40枚セットが、【大阪万博記念公園EXPO70パビリオン】にて販売されているのが発見されたことがある。こちらのお土産物屋で売られていた【大阪万博】のメダルは、てっきり当時物のデッドストック品であると思われていたのだが、有名な記念メダラーの方が店員さんに確認したところ、「当時物ではあるものの、有名な万博コレクターの方から定期的に買い取っている物」ということが判明し、みんなちょっとガッカリしたという経緯がある。確かに、私が訪れたときには「何故か刻印がされたメダル」が売られていて、デッドストック品だとしたらこれは一体どういうことなんだろうといろいろと考察してみたのだが、早い話が恐らく「中古の中古」だったということだろう。別に良いんだけどね〜。

 それにしてもこの額装メダルセット、当時一体いくらで売られていたのか気になるお年頃である。たぶん安くないと思うのだが、それにしてはとにかくめちゃくちゃ数が出回っている。昔はみんな、お金持ちだったんですかね〜

メダルの転換期を象徴する【沖縄国際海洋博覧会】

沖縄国際海洋博覧会メダルセット31ミリ
茶平工業公式HPにも掲載されている31ミリver.
沖縄国際海洋博覧会メダルセット38ミリ
刻印面がないので不人気な38ミリver.(茶平工業製であることは確認済み)
アメリカ建国200年祭メダルセット
今もって謎多き「アメリカ建国200年祭」(38ミリ)

 【沖縄国際海洋博覧会】は1975年に開催された国際博覧会である。現在では跡地が【美ら海水族館】を含む記念公園となっており、今なお歴史の残るそれなりに大規模なものであったものの、興行的には失敗であったとされる博覧会である。

 記念メダル的には、この博覧会は「記念メダルの大きさが31ミリが主流となる転換期となったイベント」ではないかと言われている。上記額装メダルを見てもわかるように、38ミリver.と31ミリver.との両方がセット販売されたことがわかる。また【大阪万博】と同じように、額装メダルに収められているメダル以外のメダルも存在し、こちらも同様に、両大きさのver.が混在する(ちなみに珍しい26ミリver.もある)。このイベントでは31ミリも38ミリも同じような数が流通した(と思われる)ので、「現在の31ミリ主流への転換期だったのではないか」という考察がなされているわけである。

 もちろん正確なことをいえば、【大阪万博】の頃から31ミリver.は存在したし、このイベント以後も、38ミリver.は製造されている。ただ、確かに75年前後のイベントを見ると、31ミリと38ミリの両方の大きさのメダルが製造されていることがちらほら見られるので、この時期が転換期だったのではないかという考察には、私も賛同するところである。どうして大きさが縮小されたものが主流となっていったのか、その理由は依然として不明なのだが。

 記念メダル研究をライフワークとする者としては、その辺の事情にものすごく興味があるところである。好きになった人が自分のことをどう思っているのか以上、付き合った後で過去の男がどんな奴だったのか未満で気になるところである。気になる〜

 3枚目の写真【アメリカ建国200年祭】のメダルセットに関しては、実は謎である。「メイフラワー号」のメダル自体は実によく見かけるのでたくさん流通したことが伺えるのだが、肝心の「アメリカ建国200年祭」がどのようなものだったかというのが長い間不明であった。ただこの額装メダルセット内の「AT THE INTERNATIONAL OCEAN EXPOTION OKINAWA JAPAN」という表記により、このメダルが【沖縄国際海洋博覧会】で販売された物であることが判明した。ただ依然として「アメリカ200年祭」に関する詳細は不明である。なんか帆船が集まったイベントっぽいんだけどね〜

エロしか思い浮かばない私はもちろん誇り高き変態です【國技相撲決まり手メダル四十八手】

大相撲四十八手メダルセット金
四十八手が光り輝く金色ver.
大相撲四十八手メダルセット銀
オークションで意外と格安で出回る銀色ver.
大相撲四十八手メダルセット金銀
8枚だけ金色の金銀混合ver.。ちなみに【茶平工業】事務所に飾られていたのはこのver.である
こんな箱に入っておりました。まあコクヨの額縁の外箱にステッカー貼っただけの仕様ですが。。。

 私は基本的に見まごうことなき根っからの健康的成人男子であるので、「四十八手」というキーワードからは卑猥な想像しか膨らまないのである(残念な人間の戯言)。高校生時代、部室になぜか名作『ふたりエッチ』が当時の全巻揃っておりまして、汗だくになって戻って来て、汗だくで読み耽っておりました。ええ、汗だくで。光り輝く青春の思い出。

↓ちなみにふたりが四十八手に挑むのは3巻でございます。

 ここまでの話で当ブログから離れていく人多数と思われるが、自分の書きたいことを書いていかないとブログを継続するのは私の実力では難しいので、だから書くのである(書きたいことを書いているブログは儲からないと言われますがね〜)。

 【國技相撲決まり手メダル四十八手】は、38ミリ(デカメダル)の刻印不可な仕様のため、恐らく人気はないと思われる。ヤフオク!でもたまに1000円くらいの捨て値で出品されることがあるし、そんなに競ることもなく落札されている様子である。製作会社は茶平工業関連でオークコーポレーションに次ぐ販売代理店である「日本メモリー」である。

 詳しいことは個別記事を起こす予定なのでそちらに譲るが、とにかく「相撲に興味がない」という致命的なまでの弱点を抱えているので、中年のおっさんがAKB48を見て「全部同じ顔に見える。見分けがつかない」と述べるがごとく、全て同じメダルに見えるのがネックである。余談だが、私の父は昔「SPEED」を見て「これってPUFFY?」と訊いてきたことがあり、思わず家族で爆笑してしまったことがある。世界的な株価の暴落くらい残念なことに、それ以来、味を占めた父は「SPEED」を見るたびに「これってPUFFY?」と訊いてくるようになってしまい、父の発言で珍しく爆笑した過去は海の藻屑のごとく彼方へと沈殿し、ただただ人生においてこれ以上の時間の無駄があろうかと思うほどの白けた時間が流れるようになってしまった。一時期の過去の栄光にすがってその後の長き渡る人生を棒に振る人間の心理を縮小版にして見た思いであった。

 そんなわけで相撲に興味がない私にいえることは、この額装メダルセットが、いつ、どこで、どのような形で販売された物なのかまったくの不明であるので、誰かご存知の方教えてください、ということである。最近ようやく所有メダルの全アップに目処がついてきたので、がんばって近いうちに記事を起こそうと考えている(と昔から言っている)。

誰が買うのかこのセット【憲政90周年記念歴代内閣総理大臣メダル】

内閣総理大臣メダルセット
第69代までおりますので、全員覚えれば大学受験レベルの日本史の勉強になります
まるで古文書のような外装に収められておりました。年季が入っていてボロボロ
さらにこのようなダンボールに収められていた。「衆議院憲政記念館」で販売されていたのか?

 正確には「額装メダル」とは呼べないのかもしれないが、額のようなものにはめ込まれ、他に類を見ないほどのセット枚数であることからこちらでご紹介である。というか、そもそもこの記念メダルセットを入手することができたことが、本特集ページを予定よりも早く書こうと思ったきっかけである。もちろんいずれ個別ページで取り上げようと考えているのだが、全メダルの写真の加工だけでも相当な手間であることが容易に想像つくので、とりあえず世に出してしまい一旦楽になりたい、という全ては私のワガママなのであった。

 また、このメダルセットは、【茶平工業】の事務所では立派な額縁に収められて飾られていたので、この点では額装メダルであることは間違いない。

内閣総理大臣メダルセット茶平工業事務所
茶平工業事務所の同メダル。こちらは【大阪万博】額装メダルのように、同じメダル2枚用意して表と裏を同時に鑑賞できる仕様である。つまり驚愕の138枚セットだ!

 メダルは全て45ミリという珍しい大きさのためアルバムには収まらず、さらには刻印は不可である。そのため人気はないだろうと推測される。というか

誰が買うの、こんなメダルセット

 という世の正直なる声をここではっきりと述べておきたい。内閣総理大臣のメダル、誰か買いたいすかね? 漫画でよくある「私立学校の昇降口の前に置かれている理事長の銅像」と同じ匂いが漂う、おっさん達の顔が一同にズラリと並んだメダルセットである。需要はどこにあるんだ?

 しかもこのメダルセット、10万円くらいしたそうなので、いよいよもって一体誰が買うのか、というか買えたのかが疑問である。衆議院会館にお勤めになるようなエライ人たちが応接間に飾る用に購入したのだろうか? そんな人たちがまさかヤフオク!に出品するとも思えないので、需要もないし世に出回ることもないメダルなのではないかと考えている。つまり何が言いたいかというと、今回入手できたことは非常に幸運だったのではないかということである。そしてこれを幸運だと思っている私は骨の髄まで記念メダルバカであることがよくわかり、なんとも悲しい生き物なのである。私の職場では、私が記念メダルの話をしだすと、皆とても悲しそうな顔をするようになって久しい今日この頃。

 ちなみに入手経路はメルカリなのだが、出品者の方はなんと

刻印機を製造していた会社経営者のお孫さん

 という方であったから、帰宅途中の電車内で驚きと興奮でいっぱいになり、やり取りをしていたスマホに夢中で降りる駅を数駅通過してしまった(実話)。なんでも実家の倉庫にはまだ大量の記念メダルが残っているそうで、その倉庫に連れて行ってください!(お嬢さんを僕にください風に)とはもちろん言えなかったのだが、とりあえず「捨てないで世に出してください」というようなことを暗にお願いしておいた次第である(邪魔だから捨てようかずっと悩んでいたとのことなので。お、恐ろしい……)。

 というか、一つ新たな謎が浮上したわけである。

刻印機って外注だったの?

 茶平工業公式HPには「メダル、メダル販売機、メダル刻印機を自社で製造している」と明記されている。また、私が会社見学させていただいたときも刻印機の修理を行なっていたので、現在では内製していることは間違いないと思われる。

 出品者の方にあつかましくもお願いして私のブログを見ていただいたところ、【茶平工業】の記事にある会社入り口の写真を見て、「小さい時、この事務所の前で祖父を待っていたことがある!」という幼少期の頃の思い出を少しだけだが語っていただけた。「刻印機」を納入していたのも(当然かもしれないが)【茶平工業】だけであったという話をわざわざ親戚の方に連絡を取ってまで確認していただけるなど、この取引によってより茶平メダルに関する知見が深まったことは間違いない。そういう意味では、記念メダル以上に価値ある経験となった非常に貴重な出来事であった。

 ちなみに、この方にさらに確認していただいたところで、個人的に長年の疑問であった皇室系メダルが茶平工業製の物であることが判明した。これによって収集の幅が広がるとともに、自分が現在所有する皇室系メダルも安心して「茶平工業製」と明記できるようになった。

 いちコレクターの面倒くさい話を丁寧に聞いてくださり、さらには八方手を尽くして私の質問に答えを提供してくださったそのご尽力に感謝してもし尽くせない思いであります。その節は本当にありがとうございました!

 そんな運命的な出会いによって手に入れたこの【歴代内閣総理大臣メダル】、末長く大切にしようと固く心に誓うのであった。それにしても今回のこのメダルの出どころを考えると、「やっぱり売れなかったのかなー」とも思うので、本当にラッキーであったといえる。そしてこの内閣総理大臣(メダル)達も、こんなものを欲しがる人間と出会えたことを幸運に思っているに違いない。ネット社会万歳である。

恐らく一番人気の額装メダル【つくばEXPO’85】

つくばEXPOメダルセット
写真は【茶平工業】の事務所に飾られていた物

 最後に掲載するのは、私が未所有である【国際科学技術博覧会】の額装メダルである。茶平工業公式HPにも掲載されていて、記念メダル自体の造りも現行メダルに最も近い形状となっており(正確には裏面の刻印面が現行よりも幅広いのだが)、最も人気の高いメダルセットであると思われる。額縁もその形状から汎用品ではなく専用品であると思われ、なかなか入魂のセットであるといえる。このメダルセットに関する当時のチラシがネット上に掲載されており、それを見ると定価はなんと当時の価格で37000円もする。

↓ちなみに動画もあります。

 それを考えると、現在ヤフオクに出品されているこのメダルセットの価格が44000円であるのは、べらぼうに高いというわけではないといえる。どうしても欲しいというコレクターであれば十分手を出す可能性がある絶妙な価格設定である。

 ただ、これは私の個人的な意見というか洞察というかなのだが、記念メダラーは基本的には「記念メダルごときにそんなに金は掛けたくない」と考えている方が多いような気がしている(←言い方が悪い)。これを一番感じるのは【スカイツリー】の純銀メダルを毎年購入する人は実は少ないという点で、実は記念メダラーはお金に対して堅実な人が多いのではないかと考えている。だから例えば37000円という当時の定価と寸分違わぬ値段で売られていたとしても、たぶん売れないんじゃないかなーと思ったりらじばんだり。私もこの値段ではちょっと購入できない(する気が起きないという意味で)。まあ一枚あたりの単価に換算すれば、やっぱりそんなに高額なわけではないことがよくわかるんだけどね〜。

 このメダルセットの最大の特徴は、「セットでなければ手に入らないメダルがほとんど」であるという点である。【大阪万博】のように額装メダルとなっている以外のメダルも数多く存在するのがこの【つくばEXPO’85】なのであるが、【大阪万博】と違い、セット内容にあるメダルがほとんどバラ売りされていないのである(数枚は所有しているので一部はバラ売りされたと思うのだが)。その意味で、最も希少価値の高いメダルセットであるといえるかもしれない。

 おしゃれな額縁デザイン、金色メダル主体のメダル構成など、なんとな〜く「一般の方からも理解が得られそう」な雰囲気を醸し出しているなんとも秀逸な額装メダルセット。実は【万博記念公園EXPO’70パビリオン】内にも展示されており、見ることができる。気になる方はぜひ、かの記念メダル伝説の地へと足をお運びください。

 それにしても、欲しい……。だ、誰かくれよ!




コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)