特集ページ【プロジェクトマネージャ試験 合格体験記】

記念メダル 茶平工業 通販 寿 黄色

難関資格試験に合格した時のみ手に入るメダル(自分ルール)

 当ブログはまごうことなき記念メダルブログではあるが、この度、令和4年10月9日実施の「プロジェクトマネージャ試験」という国家試験に合格したので、どうしても合格体験記を書きたいというブロガー特有のわがままのために、ここに合格体験記を記す次第である。ただそうは言ってもあくまで記念メダルブログであるので、冒頭に掲載した茶平工業公式通販にある「寿メダル」を購入し、掲載している。そのことによってギリギリの一線で記念メダルブログの体裁を保っている。むしろどうしても記事にしたいから、このメダルを購入することによってなんとか本記事においても記念メダルを載せているといっても過言ではない。

 要するに、「情報処理安全確保支援士試験」に合格したときとやっていることはまったく一緒である。

 余談だが、【文具マーケット(第1回)】にて他の記念メダラーの方々とお会いした時、「自分もIPAの試験(情報処理技術者試験)を受験します!」という方が二人いて、意外だった。だから書いていいのだ!(暴論)

 ちなみにネット上にある他の合格体験記と違い、本ブログはこの試験を受験しようと志す人にとってあんまり参考にはならないことだろう。そもそも午後Ⅰ試験とか合格ラインちょっきりの60点だし。ギリギリ野郎のお前が何を偉そうに語るねんという話である。

 記念メダラー向けでもない、受験者向けでもない——では誰のために書くのかといえば、私のためである。私が私のために書く、自己満記事である。 自慢話を誰にも聞いてもらえない寂しい中年親父の姿を思い浮かべながら、付き合ってもいいよ〜というお時間ある方はお読みください。

プロジェクトマネージャ試験とは

引用:IPA 独立行政法人 情報処理推進機構
(https://www.jitec.ipa.go.jp/1_11seido/seido_gaiyo.html)

 情報処理技術者試験にはレベルが1〜4まで設定されており、「プロジェクトマネージャ試験」は俗に高度試験と呼ばれる最高ランクの「レベル4」にカテゴライズされている。今回の試験の合格率は14%ちょいだったので、それなりに難関な試験だと言って差し支えないだろう。頑張った私!

 ただ思うところはいろいろあって、この14%という数字は得点調整の結果これくらいの合格率になるように調整されたと考えている(し、よく言われている)。今回の試験でいえば、たぶん、受験者全体的に出来は悪かったんじゃないかな〜と推測される。でないと、私が合格できたのは絶対おかしい。理由は後述。

 ちなみに私の情報処理技術者試験に対するスペックは以下の通りである。

  • 仕事は非ITで実務経験はもちろんゼロ。出身大学は文学部国文学科というド文系。
  • 趣味などで幼い頃から人よりITに触れてきたなんてこともなく、プログラミング等は一切わからないに等しい(FEに一応受かってるけど
  • だからシステム開発プロジェクトなんて経験したことはおろか、見たことすらない。というか身近にSEすらいない。というか「システムエンジニア」と名の付く職種の人がどういうことをしているのか未だによくわかっていない。プログラマーとシステムエンジニアって何が違うの? みたいな。
  • IP→SG→FE→AP→SCという順で合格してきた。
  • 高度試験に関しては「情報処理安全確保支援士」には一発合格したが、その前後で受けた「ネットワークスペシャリスト」には2連敗中。
  • 論文試験は初めて。
  • 経験ゼロなので、午後Ⅱの論文試験は純度120%の経験捏造を強いられた
  • ブログ歴は10年くらいあるので、文章を書くこと自体には抵抗はない(得意とは言っていない)。
  • 勉強時間はたぶん100時間くらい(学習管理アプリ「Study Plus」による計測)。

 つまり当記事は、IT素人が弱者の戦略によってギリギリ合格を勝ち取った記録となる。現役エンジニアで受験を考えている人がこの記事を読んだら怒り狂うかもしれない

 何はともあれ、エンジニア向けの試験にド文系で非IT系の社畜である私が合格できたのは素直に嬉しい。ただ、このド文系がこの試験の場合そこまでマイナスにならない——何ならプラスに作用しているところすらあるんじゃないかと思われる点も含めて、試験の雑感や使用したテキスト等を含めてつらつらと述べていく。

【熱田神宮】神頼みの戦績は3勝2敗(ネスペの2敗)

 高度試験は午前中に2つ、午後に2つの試験が課され、全てが基準を満たさなければ合格とならない。ただ午前Ⅰ試験に関しては免除制度があり、私は要件に該当するのでお言葉に甘えて免除させてもらった。そのことにより午前Ⅰ試験分の時間だけ日程を後ろ倒しできるので試験前に【熱田神宮】で神頼みをする時間を捻出できる。今回の合格はマジで運が良かったことが8割以上の勝因なので、これからもお賽銭は惜しみなく奮発することにしようと固く心に誓った次第である。神様ありがとうオリゴ糖(次は落とされそうな一文)。

今のところ【熱田神宮】のお賽銭による勝率は3勝2敗だが、3勝のうちの2勝はマジでダメだと思っていたのが奇跡の合格になったので、これからもお賽銭で困難を乗り越えようと思います(ダメなパターン)

 ここからは日程に沿って解説していく。

午前Ⅰ試験(免除)

  • 免除を勝ち取ろう。

 これは「応用情報技術者試験 合格」か「他の高度試験合格(2年以内)」か「過去に午前Ⅰ試験は突破している(2年以内)」かのいずれかの条件を満たすと免除となる。午前Ⅰ試験はプロジェクトマネージャ試験以外のことも訊かれる&午前Ⅰで滑ると後の試験は採点されない、という過酷な条件なので、免除はむしろ必須であると考えている。Twitterを見ていると午前Ⅰから受験して合格している人が少数派だが存在するので「マジすげー∑(゚Д゚)」と毎回思っている。私は応用情報技術者に2年前、情報処理安全確保支援士に1年前に合格しているので素直に免除申請をした。そのことによって試験開始を10:50〜とすることができるので、寝坊の心配がほぼなくなることも大きい。早起き得意なので寝坊しないけど。

 まずは素直に応用情報技術者に挑戦しよう。

午前Ⅱ試験(40分)

暗記した答えを忘れる前にすべてマークせよ!
  • 過去問道場をひたすら周回。
  • 名人位獲得までやって落ちたら、それはそれで奇跡である。

 本質はさておき、過去問覚えゲーである。IPA試験受験者に非常に有名なサイト「過去問道場」さんのサイトを通勤時間等にひたすら周回すれば、6割なんて余裕となる。

 勉強の本質としてはもちろん答えを暗記するなんて邪道中の邪道ではあるが、実際問題、計算問題の数字も一緒、選択肢の位置も一緒なので、前日に脳死させてひたすら周回するだけでも6割なら取れるはずである。逆にここで落ちる人は現役のエンジニアの方で「勉強しなくてもヨユー!」とか超なめて受験したんだろうな〜と予想する。私はもちろん、過去問道場掲載問題は一通りこなしている。基本的には”直近で1回間違えた問題”というカテゴリの残問数がゼロになるまで繰り返し取り組み、過去問であれば選択肢を見ただけでどれが正解かわかるレベルに仕上げて臨んでいる。これはプロマネ試験だけではなく、他の試験でも同様である。

せめて選択肢の順番くらいは変えたら? と老婆心ながら思ってしまうのだった。

 過去問道場で「名人」クラスになるくらいに極めていれば、マークシート方式の25問などあっという間に解答できる。そんなわけで退出可能時間になると退出する人が続出するが、私はいつも残った時間で寝ることにしている。本当に眠ることはできないにしても、机につっぷして目を閉じている。脳の回復を促すためである。

 これは、地獄の午後試験に備えた私なりの自己管理の末に辿り着いた手法である。以後、少しでも空いた時間は寝て脳の回復を少しでも測る。それくらい、午後試験は過酷なのである。脳みそがちぎれるんじゃないかと思うほどに。

お昼(60分)

  • 事前に買って来よう。
  • 糖分を補給しよう。

 飲食店に食べにいく人もいるみたいだが、私は会場到着前にコンビニで購入してきておいて、秒で終わらせる。ちなみにいつもサラダチキン(小さめ)一つである。元々16時間断食を日頃から行なっているので朝食は摂らない派であるし、昼も炭水化物は摂らないようにしているので、試験だから特別というわけではない。私は夕飯に本気を出すタイプなのである。仕事中に食べる飯なんぞうまくない。その分の摂取カロリーを夜に回し、全ての業務を終えて気兼ねなく楽しめる夜ご飯を心ゆくまで堪能したいのである。あと歳をとったせいか、単純に物を食べていない方が体の調子が良いという現実がある。昼に米食うと眠くなるお年頃……

 そんなわけで、秒でサラダチキンを食べ、トイレに行き、後は時間まで寝る。ここで復習ノートを見直す——みたいな方が多いと思うのだが、私はやらないことにしている。とにかく試験当日は脳への負担が掛からないように心がけている。そうじゃないと、試験の負荷で脳みそがちぎれてしまうのである。また午後試験は暗記系のものはほぼないので、掴みどころのない範囲のものを詰め込むよりも、少しでも物を考えられる余力を蓄えておく方に舵を切っている。午後試験開始20分前にアーモンドチョコレートを2粒食して、あとは目を閉じて試験開始を待つ。

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午後Ⅰ試験(90分)

大学入試の国語を思い出せ!
  • テキストを1周ざっと読んだら早いところ問題演習に取り組んでみる。
  • なんなら読まずにいきなり解いてみても良いくらい。これは訓練だと割り切ろう
  • 過去問3年分を3周くらいやると良いらしい(1周しかできなかったけど)

 情報処理技術者試験の高度試験は「国語の問題」とよく揶揄されるのだが、あながち間違っていないと考えている。問題冊子4〜5ページに渡る大問が3題出題され、そのうち2題を選んで解答することになる。設問自体も「下線部①とあるが、その理由を30字以内で答えよ」みたいなマジもんの大学入試現代文のような問題で、これは本当にIT系の試験なのか? と疑問に思うことがよくある。解答自体も本文中の記述を元に組み立てるケースが多く(一部、プロマネとしての一般常識から論述する問題もあるが)、文系国公立大学の入試を突破した現役受験生なら前提知識がなくても解けるんじゃないか説がある(私の中で)。特にプロジェクトマネージャ試験はスペシャリスト系の高度試験と違って専門知識がないと解けないというケースが少なく、結局は本文をよく読めば解答の根拠となる箇所が大抵見つかる。ただし、時間の余裕はほとんどない。どの試験でも午後Ⅰを途中退室する人が数人はいるものだが、絶対に試験を諦めた人だと思っている。

 日頃から小林秀雄のクソみたいな評論文を読解して問題を解いている文系国公立大受験生ならば、きっとよく知らない専門用語が本文中に出てきてもどうにかして解答できることだろう。60点で通過できるわけだし。

余白が足んねーのよ

 「ではなぜお前は60点ギリギリなんだ?」という疑問が湧くかもしれないが、それはもちろん私に国語力がないからである。国語とかマジわかんねー(文学部国文学科卒の人間の本音)。

 対策としては、ありきたりだが「過去問演習をこなす」といったところにどうしても落ち着いてしまう。私が使用したのはアイテックの重点対策シリーズである。

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 「情報処理安全確保支援士試験」の時もこの重点対策シリーズで勉強して合格したから、という安易な理由で選んだのだが、執筆者がIPAが公表している模範解答に対して文句を言いまくっているのが個人的にツボったテキストであった。

これはまだ控えめな方で、設問によっては2ページに渡ってほとばしるほどの怒りを書き殴っていて笑えた。文句言うにしてもそんなことにページを割かんでも。

 問題集としての評価としては「まあまあ良くできているな〜」という印象。たぶん多くの人は俗に「みよちゃん本」と呼ばれる翔泳社 の問題集を選ぶものと思われるが、結構独特な文体&構成で、ちらっと読んだ感じでは同族嫌悪的な感情が沸き起こり私にはあれがまったく合わなかった。一方こちらの問題集は分野ごとに章立てされていて「知識のインプット→問題演習によるアウトプット」とオーソドックスな構成であり、問題演習の解説も「本文にこういう記述があるのでプロジェクトマネージャ的に考えるとこういう解答になる(あるいは「こういう記述があるけれど現実はそうじゃねえよボケが」)」と論理立てて書いてあって、特に違和感を感じることなく学習を進められた。ただ結構分厚い本ではあるものの、午後Ⅱ試験まで含めて一応全ての分野を網羅しているという観点で見ると、むしろ足りるのかなぁと少々不安になる分量ではある。実際やり足りない感じがあってかなり不安であったし、現実ギリギリだった点数にもそれが表れていると思われる。受かったから良いけども。

 ちなみに午後Ⅱの論文試験に対してはさすがに別途テキストを購入している(後述)。

 午後Ⅰ試験は、午前試験と違って同じ問題が出る可能性はゼロなのだが、論述問題の解答の書き方や、そもそも問題を読み込む訓練といったことが必要となる。60点ギリギリおっさんが何を言ったところで説得力がないが。ただ少なくても私は30字以内とか50字以内とかの論述問題の解答を書くこと自体は全然苦にならないので、そこは訓練の賜物であろうと思われる。内容が正解できないだけで……

 何をそんなにさっきから捻くれているのかというと、試験終了後、iTEC等の資格試験予備校が発表した解答速報で答え合わせをした感じでは、全然正解していなかったのである。冗談抜きで「これはダメだな〜」と思っていたところ、何の因果か巡り合わせか、ボーダーギリギリで突破したのだった。これは絶対に得点調整の力が(私にとっては)プラスの方向に働いたと思われる。冒頭で「合格率が14%」と述べたが、それは逆にいえば「14%におさめられるような得点配分にした」ということでもあると推測できる。極端な話をすれば、すっげー難しくて受験者みんな全然出来なくて、まともな得点配分だと合格率7%になっちゃうよ〜、みたいな状況があった場合、特定の設問の得点を高くしたり低くしたりして合格率14%前後に収まるように調整する、ということである。で、今回の場合は恐らく問題の難易度が高かったので、問題数に対する正解率的にはきっと5割くらいしかなかった私が、何の因果かおこぼれか私が正解していた設問の得点配分が高くなったためか、60点のボーダーに乗ったと推測できるわけである。

 つまりマジでラッキー以外の何者でもないのである。もちろんプロジェクトマネージャがなんたるかはほとんど理解できていないに等しい。それが60点という得点の現実也。

 選択した問題としては問1(Saasの導入プロジェクト)、問3(今流行りのDXとチームビルディング)を選んだ。特に深い理由はなく、「問2とは相性が悪い」というジンクスがなんとなく己の中にあるからである。極論、どれを選んでも今の自分には難しいと開き直っていた。

 スペシャリスト系の試験と違い、「積み重ねた専門的知識によって問題点や改善策を考える」というよりも、本当に国語力勝負なところがあるという印象がある。まず本文中の記述を元にプロジェクトマネージャの視点から考えるとどうなのか、といった脳内の考えを言語化する能力が求められる。ただ”プロジェクトマネージャの視点”といっても別にそれほど特殊なものではなく、要は「チームリーダーとしてどう考えるのか。どういう狙いがあるのか」みたいな話であると考えてもらって概ね差し支えないと思っていて、ただそれだけだと何でもOK! みたいになってしまうので、本文中に匂わせ箇所を作って敢えて解答に制限を作っている、といった感じである。これってまあ、国公立大学入試の小説分野の論述問題と一緒だよね! つまり「このときの主人公の気持ちを30字以内で説明せよ」みたいな問題だ!

 以上のことから、結論としては林修先生の講義を受けるのが合格への近道だということになる。今でしょ。

午後Ⅱ試験(120分)

「あなたの経験と考えに基づいて」書くとかリームーです。
  • 期間や予算、人数等の定量的な要素は、具体的な数字で書く(例:しばらくの間→2週間ほど)
  • 問われていることに答える。そのため、章の題名をその「問われていること」にする。
  • 「PMとしてこう考えたからこうした」、という形であざといくらい書く。
  • 大量の文字を書いても手が痛くならないシャーペンを使う(超重要)

 最大の山場となる午後Ⅱ試験は、いわゆる「論文試験」となる。ざっくりと概要を述べれば、設問が3つあって、それぞれ800字以内、800字以上1600字以内、600字以上1200字以内の3つの小論文を書くようなイメージである(で3つ合わせると一つの超大作になるみたいな)。評価はA〜Dの4段階であるが、A以外は不合格となる。出されるテーマはもちろんシステム開発プロジェクト等のIT系に特化したプロジェクト案件なのだが、基本的には実務経験を基に書くことを要求される。で、もちろん私にそんなもんは無い。ゼロである。なんならマイナスだ。

 実務経験がゼロなので、書く内容はもちろん虚構を築き上げて構築することになる。つまり嘘八百である。

 ただし、空想で作り上げるプロジェクトも割と細部まで詰めておかなければならない。論文を書く前に「プロジェクトの概要」という用紙を記入しなければならず、予算規模だとか期間だとかサーバーの台数だとかを具体的な数字で記入しなければならないので、その辺の規模感は事前にきちんと考えておくのが得策である。私と同様IT素人諸君は、素直にググって一般的なプロジェクトの規模感を調べておくことをお勧めする。特に”人件費”という概念が希薄な部署に勤めるサラリーマンの方は、「その予算と期間でその人数はありえねーだろ」という数字を書いてしまいがちだろう。あなたが会社の席で菓子食ってる時間にも人件費は発生しているのである。

 空想で書き進めると、常に「こんなこと本当にあるのか……?」という不安と付き合っていくことになる。嘘すぎて鼻で笑われちゃうようなとんだズレたことを必死になって書いているだけなんじゃないか、という気持ちは勉強中も試験中も常にあり、まったく自信がもてなかった。なんせ、実際の現場を見たことすらないのだから。なんなら合格した今ですらあれでほんとによかったのかなぁと思っている。

 しかし実際にはこんな私のクソみたいな短編物語でもA判定がもらえたのだから、「まあみんな大したこと書いてないんだろうな、実は」というのが偽らざる正直な所感である。嘘八百過ぎてもはや詳細な内容は覚えていない

 テーマは2つ出題されてそのうちの1つを選んで書くのだが、私が選んだのは「事前に決めたこと以上のことを期待してくる関係者をどう扱うか。相反する利害をもつ関係者に板挟みになったときにどうコントロールするか」みたいなテーマであったと思われる。ザ・中間管理職!

 多くの人は事前に本番用のネタを2、3本用意しておいて出されたテーマに合ったものを選んで書くらしいのだが、私にはもちろんそんなストックは皆無である。だから、「どんなテーマであろうとこういうプロジェクトで書こう」ということくらいは事前に練っておいた。具体的には「私の会社で使用している社員向け勤怠管理Webサービスを更改するとしたらどういう風に進むだろうか」ということを勝手に考えてプロジェクト化したのである。ただ設計関連の話はまったくわからないので、「要件定義」や「運用テスト」といったユーザ側が主体的になれる場面を描いて勝負しようという戦略だけは立てていた。で、結果的に見れば、それがうまくいったということになる。

 一つだけ工夫した点としては、公務員の友人(♀)の話を聞いていると、仕事に対する公務員特有の考え方みたいなものを肌で感じる場面が非常に多かったので、設定を「自治体からの発注」というテイにした。そして、公務員特有の問題みたいなものを完全なる偏見と悪意に満ちた記述で問題化し、それをテーマに沿わせたのであった。自分が(私の偏見に満ちた)公務員の皆様と仕事をするとしたら、きっとこういうことにムカつく困るだろうなぁということを想像(創造)し、採点者しか読まないことを良いことに言いたい放題書いたのだった。具体的には、テーマが「期待過剰」だったので「入札によって予算を最低限にしてきたくせに期待だけは異様にデカい」とか「ITに関して素人なのを良いことに全てをこっち任せにする。そのくせ文句だけは言ってきて、こうして欲しいとか具体的なことは自分達では考えない」とか。「縦割り社会で部署間の連帯がほとんどなく、利益相反の関係ですらある」とか(※フィクションですYO!)。実際にはここまで攻撃的な文章ではもちろん書いておらず、困っちゃったけどコミュニケーション取って解決したよ〜とゆるいテイストで書いた。これをA判定にしたということは、採点者もきっと公務員に対して何か思うところがあったのかもしれない。ちなみにその公務員の友人はとても素敵で超優秀な方でした。むしろそうした問題に悩んでいたので、それを参考にさせていただいた次第である。人生における経験は全てに繋がっている

 実際に書き進める上では、たぶん平均2500〜3000字(原稿用紙6〜7枚半)くらいを2時間以内に書き上げることが必要となる。文章を書いたことがある人なら想像がつくと思うのだが、これで2時間は結構ツライ。設問2で「1600字」以内と言われていても、1600字も書いていたらたぶん間に合わないだろう。規定文字数に幅が許されているが、その中間くらいの字数でうまくまとめる技術も必要となってくる。

章立てを考えてから内容を書き始めるのがセオリー(って参考書が言ってた!)

 私はこんなブログなんてものを運営しているくらいなので、「文章を書く」ということ自体には一日の長があるといえばあるだろう。だから3000字の文章を書くという行為自体には特に抵抗はなかった。が、それだけに全然時間が足りないだろうことは容易に想像できたし、何より手の痛さに本番中は苦しめられた。普段キーボードでしか文章を書かない現代人は、文字を書き続けるときに生じる手の痛みをすっかり忘れ去ってしまったのである。

 そんなときに活躍したのがこちらのボールペンだ!

ちなみにツイ主は試験対策テキストの執筆等もされている方
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 実は制限時間内に1本仕上げるまで書き切るのは本番が初めてだった……が、これは自慢ではなく、マジでやめておいた方が良い。

 同じような制限を課して練習論文を3、4本書いておくのが定石らしいのだが、日々の中で2時間というまとまった時間を確保するのは気力的にも物理的にもかなり難しく、結局数日に分けて1本だけ書いてみた、というのが当時の私の限界であった。しかも参考書の「書き方講座」に沿って「章立て〜概略〜フローチャート〜(以下続く)」みたいな超丁寧な手順に沿って書いていったので、トータル所用時間もたぶん7、8時間は掛かったことだろう。もはや測ってなかったが。

 つまりダラダラと書いていたので、本気で書くとまさかこんなにも手が痛くなるものだとは想像だにしなかったのである。

 本番で書き始めたときは、長年愛用している金属製のそこそこお高いシャーペンを使用していた。しかし、がーっと必死に書き進めるうちに、今このとき恋人が崖から落ちようとしていても決してその手を掴むことができないくらいに手が痛くなった。絶望的な痛さが伝わっただろうか。

 痛いというより、手の感覚が無くなる感じである。ちょっともうこれ以上書けないよ……ってくらい手が痺れて絶望していたそんなとき——目の前には、予備として転がしておいたこのシャーペンが⁉︎

 実はこの時に至るまで、購入しては見たものの一度も使ったことはなく、心情的には藁にもすがる想いのダメ元で持ち替えた。それくらい、実は愛用の金属製シャーペンは手に馴染んでいたのだった。

 が。

 嘘みたいな話だが、このシャーペンに持ち替えたその瞬間から、手の痛みがまったく無くなったのだからこの世界は魔訶不思議アドベンチャーである。

 冗談抜きで、上記のツイートを見てこのシャーペンを購入していなかったら、絶対に書き上げることはできなかったであろう。それくらい痛かった。むしろ他の受験生の皆さん、一体どうやって書き上げたの? みんなこのシャーペンなの? と思うほど、2時間で3000字を目指す執筆作業は手を酷使し、激痛が駆け巡る。道具の重要性を痛感する出来事であった。

 論文そのものについても、どんなに文章が得意な人であっても、何も対策せずにぶっつけ本番で書き上げて合格することは不可能であるといっても過言ではない。現役のプロジェクトマネージャの方であってもそれは然りである。少なくても試験用の文章の体裁を学ばなければならない。

 専門のテキストを購入して、「どういったことを書くのか」「どういう構成で書くのか」「どういう論文を書くのか」といった”コツ”の習得が必須である。私はド定番だと思われる以下のテキストを使用した。

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 お値段お高めのテキストであるが、合格したければ素直に買ってしまった方が良い。というのも、後半の「論文事例集」だけでも読んでおくと、どういった論文を書けば合格できるのか、その基準が分かる。それが30本も収録されているというだけで価値がある。文章の見本があると、それだけで書きやすくなるのだ。

 私は事例集を読んで「まあこれくらいのことなら書けるかもな〜」というアタリが何となくついたのがよかった。特別難しい専門用語を使う必要もないし、専門的知識を基に行動するといった場面を設定する必要もあまりないなと感じた。要は中間管理職としてどう振舞うか、みたいなところと通ずるという印象であった。メンバーのモチベーションを上げつつ、上司のご機嫌を取りつつ、顧客対応に先頭で応じる、みたいな。胃がいてーな、おい。

 このテキストはかなりこの試験に特化した論文の書き方テキストであり、特有のコツが随所に散りばめられている。例えば「すげーよく書けてるけど、内容がシステムアーキテクト試験の論文だからダメ」とか。なんなら序章では「試験直前にこの本を手に取って、もう全部は読む時間がない人向けの内容」みたいな章立てがされており、文字通りそれを直前に読むだけでもだいぶ違うと思われる。一方で、大人こそ意外とわからない「原稿用紙の使い方(いわゆる禁則処理)」や「作文と論文の違い」といった超基礎的なところから、「採点委員は日頃サラリーマンをしていて、採点業務に就くのは本業が終わった後だ。そんな疲れたサラリーマンが夜に眠い目を擦りながらIPAのビルに缶詰になってあなたの論文を読む時、どんな論文だったら読みやすいだろうか? 字が綺麗で、句読点がきちんとしていて、誤字脱字が少ない文章でしょ? 読み手を意識するというのはそういうことですよ。内容が正しければ良いんだろ? といったどこか傲慢さが見え隠れす文章はそれだけで疲れたサラリーマンへの印象を悪くしますよ」といった感じの非常に身につまされるところにまで言及している。確かに∑(゚Д゚) と思った次第。

 ちょっとたるい感じもあるのだが、私はこの本に書かれた超基礎的な文章練習から素直に順番に取り組んでいくのが良いと考える。ほんとに小学生レベルの作文指導から始まるのだが、小学生のときにこうしたきちんとした作文指導って実は意外と受けてないんじゃないかなと思うのである。ましてや高校生、大学生になってもきちんとした論文の書き方自体そもそも教えてもらっていないと思うので、大学入試のときに小論文指導を予備校等で受けたことがない人は、実はそこからやらざるを得ないのではないだろうか。少なくても高校の国語の先生で小論文を書いたことがある人というのは実はかなり少数派である。なぜなら、推薦入試や国公立大学の後期試験等を受けたことがないと、小論文を書く機会自体が人生においてほとんどないし。大学の卒論なんてまあ、作文に毛が生えたようなものだし……(おまえのはな)。

 まあ私はこのテキストも全部はやりきれず、事例集も半分くらいしか読めなかったのだが。。。

 ただ章立ての仕方と、提示された問いに対して漏らさず答えていくコツを習得できたことは大きな収穫であったので、テキスト代として3000円オーバーの課金をしたことには全然納得がいっている。というか安いくらいである。最後までやり切れればきっと私の文章力も向上しこのブログももっと読みやすくなったであろうが、残念ながらその機会は逸してしまった。なんて不幸なことなんだ(まるで自分のせいではないかのような物言い)。

その他諸々

3冊で済んだのはラッキーかも

 他にもう1冊だけテキストを使用した。教科書がわりの読む専門テキストとなる。

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 試験対策本ではなく、企業の情報システム部(情シス)に期せずして配属されてしまった人向けに書かれた本なのだが、それゆえに私のような初心者に優しい内容である。この本に期待できる点は、システム開発プロジェクトの流れが把握できるという点が最も大きい。私のような非IT系の素人は、基本情報、応用情報と段階を踏んで勉強してきても、正直「どういう流れでソフトウェアって開発されるの?」という点が曖昧なままであると思われる。それをこの本で一度きっちり押さえてからプロマネ試験の勉強を始めると、あらゆることがすんなり入ってくることだろう。具体的には「要件定義」とか「基本設計」とか「結合テスト」とか「運用テスト」とかいった、あれである。これが曖昧なままだと、午後Ⅱ試験の論文問題に取り組むのにいつまでたってもフワフワしたよくわかっていない状態で取り組まなければならず、精神的な負担がデカい。

 「情シス」と銘打たれているが、内容は完全にプロジェクトマネージャの仕事の進め方や各段階におけるありがちな失敗事例で構成されているので、とにかくこの本を早めに一周してスタートラインにつくことをオススメしたい。

 書籍に関してもう一つ、プロマネ試験特有のところでいえば、「PMBOK関連の本を読むかどうか」というのがある。もちろん読まないよりは読んだほうが良いよね、ということになるのだが、私は正直一応読んだけど全く実にならなかった。特に第7版からは今トレンドの「アジャイル開発」志向の内容になっていて、これがまったく理解不能で時間の無駄だった。はっきり言って素人が手を出して良い領域では無い。スクラムとかスプリントとかちょっと何言ってるかわかんないです(サンドウィッチマン風に)。

 プロマネ試験で出題される問題もアジャイル開発寄りのものが増えてきているので現役エンジニアの方々はもちろんそうした知識を身に付けていった方が良いのは言うまでもない。しかし我々IT素人軍団は変にがんばろうとせず、昔ながらのウォーターフォール型の開発を脳内にストーリー展開して、素人でも想像がつくありがちな問題を巻き起こしていく方が絶対に良い。背伸びしてはいけない。PMBOK解説本を読むくらいならその時間を『情シスの定石』を読む時間に当てた方が良い。

 あと些細な話に聞こえるかもしれないが、試験終了後、「自分にご褒美を与えて帰る」というのを初めから計画しておくことも重要である。私はプロマネ試験の日、終了後の17時に集合して美味しいおでん屋さんで同僚と飲み会をした。午後Ⅱ試験なんて、マジでそのために最後まで頑張れた感触がある。別に飲み会などという大規模なものでなくてもよくて、別の試験のときには「天下一品でラーメン大盛りにした豚キム定食を食べて帰る」とか「フジヤマ55で欲望の赴くままトッピングしたラーメンを食べて帰る」とか(ラーメンばっかり)、最後まで諦めずに一生懸命頑張った自分を自分で褒めてあげるということは、何気にとても大事なことだと考えている。

1日試験の後に食べるラーメンより美味いラーメンを知らない
まあこのネスペ試験には落ちたけどな!

 だって誰も褒めてくんねーし(人徳の問題)。

↑でも企業公式アカウントが褒めてくれた!

総評

試験終了直後の私の机の上

 まとめると、試験に至るまでの学習、そして実際に試験を受けてみての感想としては、非常に掴みどころのない試験だった、というのが率直な気持ちである。入試現代文的な論述問題であれ、論文試験であれ、専門知識というよりも「国語力」+「プロマネとしての考え方」で解いていく感じなので、知識の積み上げによって自分がレベルアップしているという感じが最後までなかった。私は今まで資格予備校や模試を利用したことがないのだが、特に論文に関しては模試を受けたり添削指導を受けたりしてみたいと初めて思った。しなかったけど。

 つまり、練習でも本番でも、問題を解いていても論文を書いていても、「自分が今書いていることが正しいかどうかわからない」という不安とやるせなさを抱えたまま最後まで行き着いた。結果、なんだかよくわからないけどギリギリ合格できた、という所感となる。それこそギリギリのところで最後まで投げ出さなかったから得られた結果ではあるが、非常にしんどい学習であった。わかるようになっていく、という手応えがまるでありませんからな……

 もう二度と合格することはできないだろう

記念メダルについて

自分で自分を祝うスタイル(孤独)

 歴戦の記念メダルコレクターの方々であれば、記事最上部に掲載したメダルの違和感にお気づきのことだろう。そうおもて面である。

めでたさの具現化

 特注で黄色ver.を製作していただいた。発注の際にダメ元でお願いしてみたら、なんと作ってもらえたのだ! 超うれしー( ;∀;)

本来はこの2種類しかありません。
(茶平工業オンラインストアより引用 https://chahei.stores.jp)

 情報処理安全確保支援士試験に合格したときは紫ver.を購入した。

もう1年経ったとか時の流れヤヴァス

 残すところはメインの赤ver.となるわけだが、これはできれば本命のネットワークスペシャリスト試験合格のときまで取っておきたい!(一生手に入らないかもしれないけど) という私のわがままがあり、どうしたものかと考えた結果、注文時に入力する「備考欄」で直球でお願いしてみた次第。そうしたら、手元に届いたら黄色だった。もちろん、涙がちょちょぎれるほど嬉しかった。こうしてどこまでも茶平沼の深みにずぶずぶとハマってゆくのだった。本望だ!(΄◉◞౪◟◉`)

 いつまで経っても赤ver.が入手できないものの、「ネスペ不合格→来年の春までに秋試験があるからとりあえず何か受けておこう」という流れがあったからこそ手に入った特注メダルなので、むしろ前回のネスペは落ちて良かった! とすら言えるかもしれない——そう負け惜しみで思い込むことにして、次回のネスペ試験リベンジを誓うのであった。落ちて良かったとか絶対そんなことはないけど。受かりたかったけど。というか絶対受かったと思ってたけどな!




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