【東京スカイツリー】は記念メダルの宝庫や! ……て、それは良いことなのか⁉︎問題
記念メダル界に突如として現れた【東京オリンピック2020】記念メダル。その出現は唐突であった。
記念メダラー達が集う茶平工業HPの掲示板に、「【スカイツリー】で東京オリンピックの記念メダルが売られていた!」という書き込みがなされた。恐らく多くの記念メダラーの思いとしては「えっ、また【スカイツリー】かよ!」であったと思う。大なり小なり。
販売場所は、展望フロアからのエレベーターから降りた直後にある場所に新しく設置された東京オリンピック特設グッズショップである。空いていたスペースにポンと設置したような東京オリンピックまみれのグッズショップがいつの間にやらできていたのである。
【スカイツリー】における記念メダルの販売元は「オークコーポレーション」なので、基本的に茶平工業HPから販売情報を得ることができない。【スカイツリー】で通常販売されているメダルはもちろん、1年ごとに販売される◯周年メダルや、今までの◯周年モデルを全て銀メダルにリメイクして販売したセットメダル、消費税だけで通常の記念メダルが1枚買えることで有名な純銀メダル、【展望回廊】で行われるコラボイベントで販売されるメダル等々、基本的には見つけた有志がなんらかの方法で発見を報告してくれることで、初めて記念メダラーの間で情報が共有される形となる。しかも、この「発見報告」の第一報は実は件の掲示板上ではなく、ツイッターやインスタグラムでなされることが多い(記念メダラーではない一般人が「こんなのあった〜なつかし〜」と言って写真をアップ→それを発見した記念メダラーがリツイート→ツイッターを見た人が実際に購入して事実確認してから掲示板上に書き込む、という流れが多い)。
ただこの【東京オリンピック2020】記念メダルに関しては事前情報が全くない状態で掲示板上に突如として現れたので、なかなかざわついた。書き込みをおこなった人は、見つけたときにはさぞびっくりしたことだろう。なんたって、【スカイツリー】のエレベーターから普通に降りたら、なんの前触れもなく見たことのない販売機が目の前に現れたのだから。
私もぜひ、こうした「まだ誰も知らない未知のメダルの発見」をしてみたいものである。
しかしながら、【スカイツリー】は記念メダルまみれである。全てを購入しようと思い立って訪れれば、余裕で2万程度の金が吹っ飛ぶことになる(純銀メダル1枚で11000円+税だし)。展望回廊におけるイベントのメダルも入手しようと思うなら、イベントにもよるが3万近くになるかもしれない。そもそも入場料2500円+展望回廊入場料1000円というのがあまりにも痛い(このメダルは無料フロアにあるけども)。そして何より、よく記念メダルが新発売される。
売れるからこそここで販売するわけなので、販売元は商売のセオリーに則っているわけである。そこには一点の曇りもないし、そもそもここに限らず全ての記念メダル販売場所は、別に記念メダラー達「コレクター」を相手にしているわけではない。そのとき訪れた観光客がお土産の一つとして購入していくことを狙いとしているわけである。ミもフタもないことを言えば、記念メダラー達が勝手に苦しんでいるだけだといえる。
記念メダラーは【東京スカイツリー】のことを「日本一高い底なし沼」と呼ぶ(聞いたことないけど)。
衝撃的なお値段 〜こうして歴史は塗り替えられていく〜
【東京オリンピック2020】の記念メダルは突然の登場も衝撃的だったが、それ以上のディープインパクトであったのが、そのお値段である。私が知る限り、今まで1枚で4桁に達した記念メダルは【有馬グランドホテル】と【カナリヤガーデンC.C】があるが、それでも両方とも1000円きっかりであった(まあ【シアタープロダクツ】というアパレルショップが自社ブランドのネックレス・キーホルダーという「アクセサリー」として1800円で売っていたことはあるが)。記念メダラーたる私が言うのもナンだが、「記念メダルを1000円以上も出して買う奴なんているのか」とマジで思うのだが、1000円どころか1200円である。通常200円するキーホルダーが否応なしについてくるので実質メダルの値段自体は1000円なのかもしれないが、とりあえず「1200円」という額面にビビる。記念メダラー以外で買う人なんてほんとにいるのだろうか? 外国人観光客が狙い?
3枚買えば3600円ですからな。ここには仕事で訪れたのだが、同行していた同僚には超絶なまでの白い目で見られたのは言うまでもない(ちなみにこの直前には純銀メダルも購入している……。だけでなく、ももクロメダルも購入している。ああああ)。新幹線の往復料金よりも高い金をここ【スカイツリー】で消費したのであった。。。
なぜこんなにお高いのか、推測でしかないが、やはり「ライセンス料」なのではないかと予想する。具体的な数字はもちろん不明であるが、いくらなんでもこの値段では早々売れないと思うので、この値段設定は苦渋の決断だったのではないだろうか。【ディズニーランド】でだってこの値段では記念メダルは売れないと思うのだが。
ただ、開幕までまだあと2年あるので、その長いスパンで捌き切れれば良いという考えであるなら、いけるのかもしれない。いや、でも高い。私は記念メダラーでなかったら絶対買わない。だってキーホルダーが1200円もするってすごい話じゃない?
東京オリンピック2020公式ライセンス商品の掟
この記念メダルで異例なのが、「刻印の制約」が設けられていることである。
注意書きを読むと刻印に限ったことではないのだが、「このメダルに社名、ブランド名を入れるな!」というのはなかなか厳しい制約であると感じる。なんというか、「企業のウェブサイト、SNS等にこのメダルを載せるな」というのはライセンス規約的にまあわかるのだが、刻印することすら禁ずるのは、「メダルにお好きな文字を刻印できますよ!」というのをウリにしてきた茶平工業製記念メダルの根幹を揺るがすものだと思うのは私だけだろうか。「社名を刻印したものをSNS等にアップするな」ならまだわかるのだが、刻印した時点でアウトというのは、例えば「社員旅行で【スカイツリー】に訪れ、記念にこのメダルを購入し、「◯◯KABUSHIKIGAISYA SYAINRYOKO」とか刻印したらその時点でアウトになるーーというようにこの規約は読めるのだが、どうなのか。そしてその企業の日常ブログみたいなものに「この間社員旅行でスカイツリーに言ったら東京オリンピックの記念メダルがあって、ついつい購入! 思い出にこんな刻印しました〜」とか能天気にアップしたら、訴えられる可能性が出てくるわけである。
さらには、「④その他、本商品を商業的に利用すること」という規定があるので、この記念メダルの写真を載せたWebページに何らかの広告が貼り付けられていたら、理屈の上ではアウトになるということである。これは何もグーグルアドセンスの利用をはじめとしたアフィリエイトサイトに限った話ではなく、むしろ無料ブログにおいての方がこの規定に抵触することが不可避である。なぜなら「このページだけ広告を外す」ということが不可能だからである(自前ブログなら可能)。自分には1円の利益もない無料ブログ(SNS含む)であっても、無料の代償である「企業広告」がそこに貼られていれば、間接的にでも商業目的でこの記念メダルを利用している(されている?)ことになるわけなので、本来ならツイッターやフェイスブックに載せることも規約違反となるーーと思うのだが、どうなんすかね? まあ訴えられなければそれまでではあるけども。訴えられることもないと思うし。
こういう規定は「何かあったときのために先に言っておく」という性質が強いので、一般人・個人は別段気にする必要はないと思われる。
歴代オリンピックの記念メダル達
過去のオリンピックにおいても、茶平工業製記念メダルが製作されてきた(画像クリックで各記事へ飛びます)。
一番の変り種はやはり幻の【名古屋オリンピック】であろう。詳しくは記事内に譲るが、このオリンピックは実現できなかった上に、発案者の当時の名古屋市長が自ら命を断つという幕引きであった。
【モスクワオリンピック】も然りだが、日本が参加していなかったり実際には実現していなかったりするオリンピックでもグッズは日本で発売されていたという点が大変興味深い。この辺にも、かつての景気の良さが伺える。
私が把握している限りではオリンピック関連の記念メダルは上記の大会のみなのだが、もしかしたらこの他にもオリンピックメダルが存在するかもしれない。ご存知の方はぜひご一報を
最近、【東京オリンピック2020】の運営ボランティアに参加すると記念メダルがもらえるという報道がなされた。多くの反応は「そんなものよりも賃金・交通費をよこせ」というもので非難轟々であったが、もし仮にこの時もらえる記念メダルが茶平工業製であるのなら、ボランティア参加者は微増することだろう。そう、記念メダラーの数だけーー。
記念メダラーとは、金銭的利益度外視で動く人種である。でなければ、【スカイツリー】にはびこる記念メダルの数々を手に入れることなどできないのである。まあ恐らく非茶平であるとは思うが、詳細が待たれるところである。
記念メダルについて
デザイン的には、おもて面は非常にオーソドックスというか、忌憚無きことを言えばつまらんデザインであるいえる。記念メダル愛好家の多くが思ったであろうことは「せめて全面プリントでなければなぁ……」ということである。【マクロス】や【進撃の巨人】、もしくはせめて【宝塚歌劇】のように、大部分をプリントにするにしても、ベースをきちんと金型で作って欲しかったなぁというのが正直なところ。早い話が「手抜き感」を感じざるを得ないのである。まあライセンス制約的にいろいろあるのかもしれないが。
その反面、裏面はさすが販売元が「オークコーポレーション」である。実にかっこいい。文字列だけでここまでセンス良く、雰囲気バッチリのデザインにするのは、専属デザイナーの存在がなせるワザであろう。まじかっこいい。やはりデザインというものは素人にはなかなかできないものなんだなぁということがよくわかる。私のメダルももっとクールなデザインにしたかったぜ!
ちなみに、現在【東京タワー】で【東京オリンピック・パラリンピック2020】の公式マスコットキャラ「ミライトア」「ソメイティ」がおもて面にプリントされたバージョンの記念メダルが販売されているらしい(裏面は一緒)。【スカイツリー】も【東京タワー】ももちろん「オークコーポレーション」の管轄である。オークコーポレーションの最近の記念メダル販売戦略はなかなかに強烈である。プリントメダルの登場から、同一の金型を使い回しつつプリントの図柄を変えることで数種類の記念メダルを作り金型代を効率よく回収するという手段が確立され、期間限定の版権ものをバンバン売り切りで発売している。昔ながらの施設に長い間置かれていて、長期的なスパンで利益を回収するようなスタイルとは一線を画す非常にアグレッシブなやり方であるといえる。さらには販売場所を分けて【スカイツリー】も【東京タワー】もという、「えっ⁉︎ まさか記念メダラーを意識してる?」と思わせるような販売戦略に、もちろんまんまと引き寄せられるのが記念メダラー達のSA・GA。【東京タワー】にまた行くのはきびし〜。
記念メダル収集は、関東在住が圧倒的に有利である。
追記 〜ビックカメラ名古屋駅西店にて〜
【東京オリンピック・パラリンピック記念メダル】の販売元であるオークコーポレーションは、このメダルにまるで社運を賭けているかのごとく、突如として販売網を圧倒的に広げてきた。ラスボスが「真の我の力を見よ!」と突然本気を出してきたかのようである(個人的感想)。東京銀座では「ローソン」にまであの刻印機が設置されているとのことなのでぜひこの目で見てみたいものである。
その中でも全国の「ビックカメラ」と「東京オリンピック・パラリンピックオフィシャルショップ」との提携で、販売場所が格段に広がった。ビックカメラあるところに東京オリンピックメダルありである。実際、私が訪れた「名古屋駅西店」はオークコーポレーションが公開している「刻印機設置場所一覧」には2019年5月現在は記載されていない。しかしデカデカとしたコーナーで、バンバンに販売されていた(語彙力)。この調子でオークが公開していない場所にもバンバン設置されていることが予想され、その全体像を把握できている記念メダラーはいないのではないかと思われる。
余談となるが、オークコーポレーションが販売場所を公開したおかげで今まで「隠れ記念メダル」として扱われてきた多くのメダル販売場所が正式に公開された。しかしながら、いまだに公開されていない場所もある(【手塚治虫記念館】とか)。公開されていない場所が「販売会社がオークだから」という理由以外で伏せられているのか、はたまたオークがただ単に公開していないだけなのかは不明である。この「ビックカメラ名古屋駅西店」のように、未だ一覧に記載されていない場所がまだ残っているかもしれない。そして我々記念メダラーは、そうした情報に踊らされ続けるのであった。恐ろしい……
追記2 〜東京タワー2Fにて〜
【東京タワー】にもオフィシャルショップが展開されていたので記録としてここに記す。圧巻なのは、ズラーっとならんだ販売機軍団である。メダル全種類を販売機で販売している場所は今のところここしか知らない。
追記の追記
以下は神奈川県の「テラスモール湘南」の中に設置された東京2020オフィシャルショップである。
見ての通り、東京オリパラメダルの全種類が販売されていた。が、刻印機はなかった。オークコーポレーションが公開している一覧は「メダル刻印機設置一覧」と銘打たれているので、恐らくこの場所はたとえこの一覧が更新されることがあっても、今後も一覧に載ることはないのではないかと思われる。
この場所のように、もはやとても把握しきれないほどに、「記念メダル」が全国津々浦々で販売されているのかもしれない。
いまや東京2020オフィシャルショップはいたるところにあり、それに伴い東京オリパラ記念メダルもまた至るところで売られていることが予想される。このことは、もしかしたら「記念メダル」という存在が、「あ〜懐かし〜。まだあったんだ〜ウケる〜」という存在から、世の中に広く受け入れられた存在になる契機となるかもしれない。「ポケモンGO」や「御朱印」並に受け入れられる日がくるのかもしれない。女子から「記念メダルですか……」となんとも苦い顔をされた日が遠い日の良き思い出となる日が来るのかもしれない。
それはもちろん喜ばしいことなのだが、一方でまた、「マイナー趣味だからこそ楽しい」という部分もまた否定できないアンビバレントな感情を持て余す記念メダラー達の午後の憂鬱。
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