大阪府【茶平工業株式会社】 記念メダル 2nd

【保管場所】
@メダル用プリンタが置かれている部屋の引き出し
備考:思い切って社長にお願いするといただけるかもしれない。しかしながら厚かましさによってお金よりも失うものは大きい。

時は流れ、雪だるまが溶け桜の花びらへと姿を変えるように、専務が社長になっていた

茶平アゲイン

 いや、クルマが変わりましてね

 気持ちも新たに【茶平工業】アゲインです(何のこっちゃ)。

このクルマに比べると随分庶民的なクルマとなりましたが、このクルマに対して抱いていた不満の数々が全て解消されてびっくりしています。ちなみに横に見えるママチャリはこの日もとまってたぜ!

 この日は、私が製作を担当した【高田寺】メダルの金型を拝見させてもらいにお伺いした次第である。もちろん通常営業日なので、無理を言って。私のわがままを受け入れてくださって、本当に感謝の念が絶えない。。。

 ちなみに、前回同様対応してくださった我らが【茶平工業】を現在率いている専務が、専務ではなく社長になっていた。電話の呼び出しで「社長!」と呼ばれていて、ビビった。社長自らに応対していていただくなど、恐縮極まりないことである。専務でももちろん恐縮だけれども。

 前回記事のトップ画をどうしても金型の写真にしたかったので、あつかましくも「金型の写真を撮らせてください!」というお願いをしてみたら、快くOKしてくださった。が——実は、もちろん他の目的も密かに抱いていたことは言うまでもない

 私が今回一番お願いしたかったのはもちろん「金型の撮影」であるが、それは極論をいえば写真をメールで送ってもらうことも可能なわけで(まあ自分で使用するので自分のイメージする通りに撮りたかったというのも強くあったが)。はるばる訪問させていただいた一番の目的は、過去メダルの資料があれば可能であれば見せて欲しいということをお願いするためであった。

 私は旅した先で自ら入手したメダルのみならず、ヤフオクやメルカリ等で購入することも可としている邪道な記念メダラーであるので、過去メダルも積極的に収集している。その中でいろいろと疑問に思うことが多々生まれたのである。

 特に一番思うのは「これって茶平工業製なのかな?」という判断に迷うメダルがチラホラある点である。もちろん裏面に刻印部分があれば話が早く、他の方々(購入する上でのライバルたち)もその点をまず確認しようと質問することが多い。ただ、刻印部分がない茶平工業製メダルも実は数多く存在することがわかっているので、そういったメダルの判断はもはや誰にもつかないといっても過言ではない。

 今回はそんな事情を一気に解決したくて、資料を拝見してみたかったのである。そしてもちろん、「こんなメダルもあったのか⁉︎」ということも知りたかった。

 で。

じゃーん!

こころよく見せていただけたのであった!

 中身を掲載するのはさすがに問題があるので控えるが、マジですげー面白くて宇宙の果てまで飛んでしまいそうであった( ;∀;)ツレモドシテ そして紙資料しかないことに一抹の不安を感じる次第である。全部スキャンしてデータベース化して〜(最近のものはさすがに電子データがあるだろうが、昔のものは紙しかないそうで。。。)

 いやー、マジで夢のような時間で、気がつけば

2時間

 が経過していた。それも、お昼の時間になったから「12時を回りまして……」とものすごく言いにくそうに声を掛けられたから終了したものの、そうでなければあと2時間くらいは平気で見ていた気がする。なぜなら資料がちょうど2000年代に突入して俄然面白くなってきたところだったからである。【愛知万博】【浜名湖花博】等のあたりで、メダルもだいぶ馴染みのあるラインナップになっていて、そんな中に「こんなところにもあったのか⁉︎」「このメダルの入手は実質不可能じゃね?」というものがチラホラ交じっていて、楽しくて楽しくて「さあ今から本番だ!」感があったのですよ……

資料によると、このメダルは「モリゾー&キッコロ」の部分はシールで、どうも一枚一枚手作業で貼ってたっぽい。金型で枠のみをプレスしてメインの部分は他の方法でデザインするという、現在のプリントメダルの先駆けのような発想の一枚であったようである。

 古い資料を読めば「昔はこんなところでも販売されていたのか⁉︎」(これがマジで多い)、「このメダル持ってるな〜どこで売ってたか知ってます?」(社長を巻き込む)、「あっ、これやっぱり茶平製だったんだ!」(皇室関係で特に)、「というかこの金型まだ現役じゃん‼︎」(【久能山東照宮】とか40年選手だよ……)という想いに駆られ興奮は止まることを知らない。一方で新しめの資料を読めば「【全国高校ラグビー】とか絶対気がつかないっしょ! そんな場所にコレクターがいると思うな!」(何への怒り?)、「ボランティア団体のメダルとか出回る可能性ゼロだろ……メルカリで売ったらカド立つしデザインも地味だし……」(失礼)、「早稲田大学のメダルってやっぱり茶平製だったんだ!」(入手難易度が色々な意味で高過ぎる)「サルカン付きメダルのみの販売とか発見不可能だろ……」(【比治山神社】なんて超偶然の発見だったし)などといったことを想いながら読み進めていると、時間がいくらあっても足りないくらい面白かった。いやー、まじで

家でじっくり読みたい

と思わずにはいられない激アツな資料集である。たぶん1日あっても足りない。

 そして、2010年代まで行き着かなかったので、デザートは最初に食べておくべきだったと後悔している。もっと今を生きるべきであった。

 以下は余談かつ備忘録として記しておく。

・パビリオンごとに記念メダルがあったような大規模博覧会では、代理店も複数存在した。額装メダルで全種類が網羅されているわけではないのは、その辺が関係している予感。【ポートピア】なんて何社おるねんと思った。

・【太宰府天満宮】で「学業成就御守り」とかメダルで作ったら売れそう! と夢見ていたら、すでに過去に存在した

・「ここに記念メダルがあって欲しいランキング」ベスト3に入るであろう【宮島 厳島神社】のメダルは、過去に数種類販売されていた。めちゃ欲しいし。

・今こそ現役で売れそうなお城メダルが複数存在した。栄枯盛衰ここにあり。

・メダルの大きさは、メジャーな3種類以外にも、昔は結構多彩に作られていた。

・ヤフオクやメルカリで見て「これは茶平製ではないだろう」と思っていたメダルも、実は結構茶平製だった(特に皇室関係)。

・逆に「これは茶平製っぽいな〜」と思っていたメダルは、やっぱり茶平製だった。「その知識が生かせる商売があったら良いですね」(社長談)

・ボツとなり日の目を見ることがかなわなかったメダルが存在する。ボツになる理由は「何らかの理由で相手からNGを出される」というパターンと、「とりあえず作ってみて営業を掛けたけれど実らなかった」というパターンとの、いわば能動的結果と受動的結果の両方があるらしい。

・没メダルの中でも最大の大御所は「東京ディズニーリゾート」である。かなり具体的、かつ、ディズニーグッズっぽいとてもハッピーな感じのデザイン案だったので、ボツとなったのは堀北真希と結婚しそびれたくらい残念で仕方がない(私たちはあとは出会うだけだったのにと思っております)。ディズニーリゾートには「スーベニアメダル」という先駆者が存在するので、その牙城を崩すのは容易ではなかったか⁉︎

・古めのメダル(大体1970〜80年くらいまで)の裏面刻印部分にあったツブツブがなくなり、現在見られるような裏面スタイルになった経緯は「わからない。気がついたらこうなっていた。古いメダルはツブツブがあるイメージですね〜(´∀`)」とのことだった。

・メダルの図柄を見ただけでは何の関連かわからないようなメダルが結構存在し、それは社長にも(たぶん会長にも)わからないので、もはや謎のままである。

・というか、これこそが「記念メダル図鑑」じゃね?

 ブログの存在意義が問われる資料群たちであった——

できればもう一度——いや、何度でも読み返したい本物の記念メダル図鑑(これで全部ではないです)
暇をもてあまして鎮座する金型
君たちの出番がもう一度訪れることを願っております

気になるお年頃の私たち

 ここからは、社長とのお話の中で話題に上がったことを覚えている限り箇条書きし、備忘録としたい。

・先日、一年数か月ぶりの茶平工業公式HPの更新が行われた。今までは社長が更新を担当していたが忙しくて手が回らなくなったので、更新の担当者を変更したら、さっそくいろいろとやってくれたということで、これからはたくさん情報発信できると思う——とのこと。そんなに期待させて良いのかと逆に不安だったり。新担当者の方もお忙しくて期待に応えられないときがあっても、みんな気長に待とう!

【ミイラ展】のメダルがあの時期に発売となった理由は「なんでですかね〜? わかりません(笑)」とのこと( ´ ▽ ` )

【華厳の滝】に置かれている刻印機が、ダイヤル式のものから最新式のもの交換された。湿気が多い場所に置くので、コンピュータ式のものを置いて大丈夫か心配。ダイヤル式の刻印機はもうパーツを製造していないので、故障した場合は、別の故障した個体からパーツを取り外して交換するしか修理方法がないらしい。

・【華厳の滝】に刻印機を納入した(なんと自らトラックを運転して納入しに行ったらしい)ついでに、【戦場ヶ原】のメダルを見て来ようかと思っていたのだが、想定していたよりあまりにも時間がなくて、断念したとのこと。あのメダルに関しては社長も何も知らず、「日光東照宮」のメダルがなぜあそこ(三本松茶屋)にあるのかもわからないらしい。会長も何も知らないと言っていたそうである(当時社長だったはずの方)。「むしろ私が聞いて来ようと思った」(現社長談)
※ちなみに上記の資料ファイルの中で、1980年代のファイルの中にこの【戦場ヶ原】メダルのデザイン資料を発見した。発注会社の名前も記されていて「この会社はもうない」とのことだった。

・「シリアルナンバー」は通常とは逆向きで刻印されているが、それは通常とは逆向きで刻印ができる部品を別個に作成して、そのパーツを付けた刻印機で社員が手作業で刻印してから出荷している(当然別途費用が必要)。

このメダルでいうと、上の文字は金型段階で入れ込み、下のシリアルナンバーの「207」の部分だけ専用パーツを装着した刻印機で刻印していることになる

・観光業界への打撃と記念メダルは密接に結びついている。
→現在の事態が収束したあかつきには、みんなメダルをジャンジャン買いに行こう!(【高田寺】御開帳イベントが中止となった余波をもろに受けた人間の叫び)

【東京オリンピック・パラリンピック2020】の名称やロゴが変更されなくて本当に良かった!(切実)

・金型の部分的な修正は可能で(別途料金必要)、修正ではなくても一部分の変更で金型を使い回す場合にも対応可能(後述)。

 他にもあったかもしれないが、メモできていたのは上記のみである。本当はもっと訊こうと思っていたことがあるのだが、私が過去メダルの資料に食い入り過ぎていつの間にやらお昼の時間となり、慌ててお暇することとなったため、訊けずしまいとなった。資料は訊きたいことを聞いてから、見るべきであった。当時の私はマタタビを与えた猫よりも興奮していたことだろう。

 ちなみに私が訊きたかった他の項目としては、「ディズニーメダルはどういう条件で製作できるのか?」というのがある。誰か訊いてきてください(唐突な他人任せ)

金型の修正 〜いつだって僕らはやり直せるんだ〜

 金型修正の質問をした際、話の流れで初めて「金型の作り方」というものをきちんとお伺いすることになった。が、すごく噛み砕いて説明してくれたものの、私が無知過ぎて正直よくわからなかった。そのため帰宅後に復習をしてみて、初めてなんとなく理解できた。あの時はわかった様子でふんふん言っていて申し訳ありません……(できないと言い出せないダメなタイプ)

 ちなみに私の最大の勘違いは、金型を「手で彫っている」と思っていた点である(恥ずかしい)。社長の話を総合すると、金型は「放電加工」によって作られているようである(「放電加工」についてはGoogle先生に訊こう!)。この際に使用する「電極」を、恐らくCADか何かで作ったデータを元に機械による削り出しで製作する。たぶん私が送ったメダルのデータはこの「電極」を製作する際に使用されたのではないかと思われる。
 で、部分的な修正をする場合は、この「電極を削って修正する」か、「金型自体を削って修正する」かの2通りがあるとのことであった。例えば、メダルの凹部分を無くしたいのであれば、金型側は凸となっているので、金型を削ればよい。しかし、メダルの凸部分を修正したい場合は、金型側では凹となっているので「削る」という行為がそもそもできない。そのため電極の凸部分を削り、その電極で改めて金型を作り直すという修正方法が取られる(その際にはたぶん使用している金型の表面を平面に削って改めて加工すると思われる)——ということだったと思うのだが、どうなんですかね? にわかが先ほど勉強したばかりの浅はかな知識で説明しているのでご注意ください。
 この辺のことに関しては写真をお願いしてここに示せればよりわかりやすかったと思うのだが、興奮していてそんなことはすっかり頭から離れておりましたダメなアタシ( ;∀;)

 余談だが、古くなった金型の修正を行う場合は、「電極」を新しいものに交換して金型自体を作り直すらしい。そのため「電極」を製造する時は複数枚作り、後のためにストックしておくそうである。金型が劣化すると図柄の造形が「フニャッとしてくる」ということで、その点、ちょうどこの訪問の時期に有名記念メダラーの「尾張でおわり」さんが検証していたことと合致する。

こういう点に気が付くことがすごいですよね

 金型を新調する際の判断は「いろいろ」ということで、所有者の都合との兼ね合いがあるものと思われる。

 くどいようだが、Google先生で「放電加工」の勉強をしてから話を聞くと、よくわかる説明であった。で余談だが、「電極」を説明する例として【JRタワー札幌】の電極を持ってきてくださったのだが、これが記念メダルの図柄と同じであった(当たり前だが)。また一つ、記念メダルの知識が深まる経験ができてまことに良きかな(°▽°)。女心もこれくらい熱心に学んでいれば、もっとバラ色の人生が送れていたに違いない(バラ色の人生という言葉がすでに古い説)。

記念メダルについて

 冒頭に掲載したメダルは、両面ともプリント可能なメダルである。笑顔で譲ってくださって、私は嬉し過ぎてクルマの中で泣いた。空は雨模様であった(無駄に詩的な表現)。

 ただ現状、両面ともプリントのメダルは存在しないと思われるので、この2枚のメダルは恐らくテストプリント用に製作されたものではないかと思われる。というか、前回の訪問時にインクジェットプリンタの実演をしてくださったときに、このメダルを使用していた。

ちなみにメダルの原型は↑で、また違うモノです

 こういったモノをいただけることは、マニアにとっては

昇天

に等しいものであることよ。危うく薬師如来に導かれて極楽浄土へ旅立つところであった。

「俺、別にそういう仕事じゃねーし」

 この2枚をいただけただけで、はるばる大阪まで来た意義はありまくりであるというもの。まさにこの場所は、

記念メダラー達にとっての聖地

と呼ぶに相応しい場所であるといえよう、名実ともに。極論をいえば、どこへも行かなくても全ての記念メダルがここにあるわけだし(※もらえる訳ではありませんよ!)。

 ということだけでも私は天に召されるかと思っていた。が、なんと——!

 上記で少し説明した

没メダル

をもいただけたのであった!

 お見せできないのが残念で仕方がない!

 自慢したかったのに!(正直すぎる言葉)

 これを受け取った瞬間、マジで言葉が出なくて、「せっかくあげたのに全然喜んでないじゃん……(ㆀ˘・з・˘)」と思われてないか心配で夜も眠れないなうである(寝たけど)。

 人間、「言葉を失う」という事態が本当に起こりうるのだということを身をもって体験した。言葉を失うと、反応が薄くて全然喜んでないと思われる危険性があることも知った。世の中ままならないものである。

 金型が完成しプレスまでしたのにボツになるなんてことが起こり得るのだから、これがビジネスなのだなぁと大人の世界をしみじみと感じる次第である。なんか準委任契約か請負契約か揉めた挙句に成果物の完成間近で平気で話自体をおじゃんにされるITゼネコンの世界を彷彿とさせる話である。どこでもあるのね、こういうこと……

 しかしそれにしても非常によくできたデザインのメダルであっただけに、これが日の目を見なかったということが単純に残念であるし、とても悲しいことである。長い歴史の中、今までにもこのようなことは何度でもあっただろうから、メダルの歴史の闇の中に埋もれてしまったそれらのメダルのことを思うと、不憫でならない。私が全部もらってあげるのに(オイ)。

 そんなわけで、今回もまた記念メダル的にも非常に収穫の多い訪問となったのであった。快く対応していただいた社長には感謝の念がたえない。

 ありがとうございました〜

帰りに食したSAグルメ「鷄マヨ天丼」が非常に美味でした〜




2 件のコメント

  • いつも楽しく拝見させてもらってます。
    資料には詳細不明系のメダルも載ってましたか?
    個人的にはスペースランドのメダルの正体が気になって気になって仕方ないです。

    • コメントありがとうございます^_^

      私が勝手に【詳細不明系】とカテゴライズさせていただいたメダルに関しても、数枚は資料の中に発見しました(全部あったかもしれませんが、把握しきれていません)。【エンパイアステートビル】や【アポロ11号】等の古いメダルも資料の中にちゃんとありました。が、社長に話を向けると「どこで売ってたんでしょうね〜(笑)」という感じでした(笑)。

      私が拝見した資料は本当に「デザイン資料」といった感じのもので、そのメダルの販売概要やイベントの詳細が細かに書かれていたわけではありません。中には手書きのメモのようなものが書き込まれている資料も散見されたのですが、走り書きすぎて(きた◯すぎて)ほとんど読めませんでした(笑)。

      社長のお話によると、茶平工業は本当に「ただメダルを製造して卸しているだけ」ということで、販売場所に行ったことすらないことがほとんどだそうです。そのため、イベントの詳細や販売場所がどんなところなのかは「よく知らないんですよね〜(笑)」ということでした。特に、古い時代のメダルの資料を見ながら私がブログを書くにあたって得た付け焼き刃の知識をあれこれと話すと、「分からないことがあったら連絡しますね〜」とおっしゃるお茶目な方でした(^^)

      そんなわけで、謎は謎のまま残っております〜。ただ「茶平製かどうかを明確にする」という点に関しては、これ以上ない資料でしたね!

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