邪道【憲政90周年記念歴代内閣総理大臣】 記念メダル

 ※41代〜48代までのメダルは同梱されていなかった。1セット8枚のプレートにメダルがはめられているので、丸々プレート1枚分がなかった形になる。茶平工業事務所に飾られていた額装セットを見る限りは、41代〜48代までのメダルもきちんと存在はするようである。どっかに落ちてないかな〜(笑)

記念メダルを作っても「国民の政治への関心」は喚起できないと思うんですがね〜。壮大な記念メダルセットに歓喜している人間はここに約1名おりますが。

おじさんたちが迫りくる――歴代首相達のにらみ

 【憲政90周年記念歴代内閣総理大臣】記念メダルは、憲政90周年の年にあたるのが1980年のはずなので、恐らくその年に発売されたものではないかと推測される。販売場所は「衆議院憲政記念館」である。これは国会議事堂に隣接する施設で、私は残念ながら訪れたことはないのだが、ウィキペディアには結構ひどい言われようで書かれていて、逆に行ってみたいというごく自然な気持ちとなった(憲政記念館のもと主幹が、「貴重な資料がたくさんあるのに、全然整理されていない」と言っているらしい)。

 【額装メダル特集】の記事でも言及したのだが、これ一体誰が買うの? と思わずにはいられない壮大な記念メダルセットである。お値段が10万円近くしたらしいということ一点のみでも、たとえ熟練の記念メダラーをもってしても恐らく購入に至る勇者はごく少数であったことだろうに、そもそも論として「総理大臣の肖像記念メダルセットって欲しいか?」という率直な疑問がある。これがもし「歴代ジャニーズTOP50」みたいな肖像メダルセットであればもう少し需要があったと思うのだが、なんといってもそうそうたる濃い顔のおじさんたちをずらーっと並べた肖像である。【茶平工業】ではこのセットが額に入れられて飾られていたのだが、夜中不意に起きたときに69人の眼力強めのおじさんたちにじっと見つめられていたら、さぞ恐ろしいことだろう。

あなたのことをじっと見守る69人の歴代首相達@茶平工業事務所に飾られているメダルセット

 というか、

めっちゃ重たい。ジャマ。

 という地味だが決して無視できない重要な問題もある。事実、現在私の部屋では床に放置されている。こんまり流片付けを多分に我流ミックスではあるもののある程度極めた「掃除能力検定5級」有資格者(たいしたことねー!)である記念メダラーが持てあますのだから、一般の方にこのメダルセットをどうこうできるとはとても思えない。恋人の気持ちと記念メダルは重すぎるといつだって相手を苦しめるほどに持て余してしまうのである。

↓片付けは気持ちまでをも整えて軽くしてくれます。

こんな感じの巨大な本みたいな箱に収められてましてね。腰が砕け散るほど重いのです。
こんなダンボールに収められているのです。

 国会議員の皆様は、ご自宅の応接間等にこれを飾られていらっしゃるんですかね? それしか用途と需要が思い浮かばない。「大の総理大臣好き」みたいな一般の方がこれを購入したなどというイメージは全く浮かばない。大の総理大臣好きって何やねん。

 製造・発注には「最低ロット」というものがあるので、それなりの数が作られたはずである。そう考えると、「衆議院憲政記念館」に行けば実はまだ置いてある可能性もあるのではないだろうか。誰か確認してきて〜(他力本願)。

浅はかな知識で歴代首相をテキトーに振り返る

 まずはなんといっても初代内閣総理大臣「伊藤博文」である。伊藤博文だけではないが、初期の頃の総理大臣は「偉い人数人で持ち回りで回している」といった感があり、何回もお鉢が回ってくる感じがある。伊藤博文は初代、5、7、10代と都合4回政権を任されているわけだが、それが連続ではなく飛び飛びで何回もやっているのが、現代の感覚ではちょっと考えられない就任の仕方である。現在だったら「4期連続」はありえるかもしれないが、一度退いた人が再び就任するということ自体が珍しい。二度目の登場があったのは、近年では現在の安倍首相くらいではなかろうか。

 浅川二郎著『蒼穹の昴』に、日清戦争の戦後交渉担当として伊藤博文が登場する(首相としてではないが)。

 清側は外交の達人的な存在である李鴻章が場に望むのだが、物語における超重要人物である李鴻章が唯一認める人物的なポジションで伊藤博文が登場するものだから、歴史上の観点からは一切知らないにも関わらず、私の中で伊藤博文はかなり偉大となっている。いや、もちろん初代内閣総理大臣なのだから、すごい人物(小並感)なのだが。
 ちなみに、伊藤博文を暗殺した安重根は彼の地では英雄として崇められているらしいですな。しかしこの辺に言及し始めるとややこしい話となるので、これで終わり。

 山縣有朋(3代、9代)は『るろうに剣心』で知ったという私と同年代の人は多いのではないだろうか。作者にいろいろあったが(まあちょっと見せしめに吊るし上げられた感はありますよねー)、『るろうに剣心』は純粋に作品としても、日本の歴史(特に維新後直後の明治)を学ぶ上でも大変素晴らしい作品であった。

 山縣有朋だけではなく、大久保利通だって斎藤一だって私は『るろうに剣心』で知った。大久保利通が暗殺された「紀尾井坂の変」なんて、『るろ剣』を読んでなければ、大学受験で触れたきり今ではすっかり忘れていることだろう。斎藤一だって、一部の新選組ファン以外にこれほど名前が知れ渡ることはなかったはずである。それを証拠に、「2番隊の組長は?」と訊かれて答えられる者は少ないのではないだろうか? なぜなら、1番隊の沖田総司は『るろ剣』に数コマ登場し3番隊の斎藤一は主役級に活躍したわけだが、最強と謳われた1、2、3番隊の組長のうち2番隊の組長だけは名前すら出てこなかったのである(ちなみに2番隊組長は「永倉新八」である)。20代の若者にはピンとこないかもしれないが、『るろうに剣心』は間違いなく私世代の男たちに日本史に対する歴史観を一定程度形作ったのである。

 首相暗殺といえば「原敬」や「犬養毅」である。首相暗殺なんていまでは到底考えられないが(感覚的な話では)、当時はあったわけである。恐ろしすぎて言葉が出ない。原敬なんて駅で駅員に殺されたわけだから、一体どうやったら暗殺を防げるんだと当時の側近たちは嘆いたことだろう(『るろ剣』でも暗殺がいかに防ぐことの難しいことかが言及されてまっせ!)大学受験のために日本史を勉強しているときは「ふーん」くらいにしか思わなかったが、社会に出て、世の中のこと、政治のこと、経済のことを肌感覚で考えるようになると「怖っ!」と思う(小並感2)。まず、株価が大荒れになりますな、実際。

 話題を近現代に近づけると、吉田茂の「バカヤロー解散」あたりが日本史の勉強においてかろうじて記憶にあるくらいかな〜。吉田茂は5回内閣総理大臣になっており、日本最多である。ただ詳しいことはもちろん知らない。

↓なんとなく雰囲気で貼っておく爆笑問題・太田光監督作品

 他に「西園寺公望」とか「高橋是清」とか、内閣制度創世記の総理大臣に関しては、受験日本史に出てきただけにそれなりに言いたいことはあるのだが、特に面白い話題でもなく、長くもなるので割愛。まあ一つ言えることは、『空母いぶき』の佐藤浩市は別に現総理大臣の悪口言ったわけじゃなくね? ということですよ(なんじゃそりゃ)。

 まとまりもないまま、終了。

記念メダルについて

 ご覧の通りで、刻印不可仕様である。ただ、茶平工業製記念メダルの雰囲気を有した造りであるといえる。下側なら頑張れば日付くらいの刻印はいけそう、みたいな。

 大きさはどれも45ミリメダルという、80年代半ばから90年代の茶平工業全盛期にわずかに存在した、38ミリメダル(デカメダル)を超える大きさのメダルである。大きくなった分、厚さは38ミリメダルよりもさらに若干分厚い仕様となっている。

 個人的には、これを金色メダルではなく、全てシルバーで製作したところが、かなりセンスが良いと思っている。金メダルの人物画は、どこか安っぽい印象を与える(個人的意見ですよ!)。

安っぽい代表、福沢諭吉さん。いや、あなたが日本で一番お高いお人なんですがね。

 シルバーの重厚さが、文字通り「いぶし銀」で歴代首相の名に恥じない貫禄を各メダルに与えている(別にいぶしてないけど)。こんなにも濃い顔のおじさんたちを一同に並べるにあたり、やはりキンキンキラキラしていては締まりが悪いものである。この辺のセンスはよいし、なにより金型製作代が半端なかったと思うのだが、それを実行した企画力にとにかく脱帽である。どなたが企画したのかは存じあげないが、日本の政治、ひいては日本の未来を思う気持ちをメダルに込めて形作ったその心意気は、こうして一記念メダラーの元へと届けられた(届けられた先がショボい)。その想いを大切にして、今日も私は日本で生きるのであった。




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