@トロッコ嵯峨野駅構内(2019.3現在)
備考:終点の亀岡駅でも売ってるっぽい(けど未確認)
旅の始まりの日 〜出発の日はワクワクが止まらない〜
この年度末、「九州記念メダル巡りの旅」を計画した。今まで大規模遠征は「北海道記念メダル巡り」「東北記念メダル巡り」と二度経験してきたが、いずれも「キャンピングカー」での旅であった。しかしあっちこっち行き過ぎて乗りつぶしてしまった現在、キャンピングカーを所有していない。もうかつてのような遠征はできないのか——そう思っていたら、「世の中が車中泊ブームになる」→「車中泊グッズが突然充実する」という現象が起こった。昔では考えられないような車種専用の車中泊グッズ等もあり、はっきり言って4ドア車ならどんな車でも車中泊可能なのではないかとさえ思える時代となった。ちなみに車中泊がブームになったのは「民主党政権下のETC1000円」時代が発端であったのは間違いないのだが、昨今のブームは正直あの時よりもさらに著しい。あの時車中泊を経験した者たちがその後も続けているということもあると思うが、個人的にはやはり「YouTubeの車中泊動画」の影響が大きいのもあると思う。YouTuberたちは車の中で実にいろいろなことをする(主に料理)。私は車内では正直寝るだけだし、食事もオール外食なので全く真似る要素がないのだが、見ていると「車中泊って楽しいな」という気分になる。現実との落差は激しいけれど。あそこまでやれるのはやはり「上級者」なのである。その辺はキャンプとかと一緒だね!
ということで、時間と資金(コツコツ貯めた500円玉貯金)に余裕が出た三月下旬、九州記念メダル弾丸ツアーを敢行することにした。ちなみに今回のように大規模に九州を巡れるチャンスは恐らく今後の人生でもうないと思われるので、「絶対に全ての記念メダルを制覇する」という強い決意のもと決行した。というか、家庭的にも今後このような大規模遠征は60過ぎるくらいまでどうも許されそうにないので、今回の旅で与えられた時間を余すことなく記念メダル獲得に費やそうと覚悟を決める。そう、失敗は許されないのであった——。
今回の遠征は【さんふらわあ「さつま」「きりしま」】に乗るということがまずベースとしてあった。もちろん記念メダルのためである(無かったけど……)。出航時刻は17:55となっていて、いわば一日の終わりであるといえる。【太平洋フェリー】のときは、この出航までの時間をうまく活用することができずに出発の日を無駄にしてしまった部分が大きかったので、その反省を生かして「乗船するまでもメダルを取りまくる」という計画を立てる。そして当時と決定的に違うのは「スマホ(というかグーグルマップ)があると計画を立てやすい」という点である。所要時間とかマジ一瞬で出してくれるので、この旅においても何度利用したかわからない。昔はいちいちナビに入力して時間を計算していたが、ナビの入力ってたるいし、何よりナビの到着予想時刻って平気で変わるから全然あてにならないのよね……
ということで記念メダル獲得の旅の栄えあるスタート地点となったのがこの【嵯峨野トロッコ列車】だったんですよ〜ということを言いたいがためだけにしたあまりにも長い前置きね、これ。
【さんふらわあ】乗船までにどれだけの記念メダルを獲得できるかが成果の大小に左右する。特に【京都国際マンガミュージアム】と【東大寺】のバイメタルメダルは、バイメタル好きとしてはどうしても手に入れたかった。また【チェブラーシカ】メダルもちょうど大阪でイベント開催中なので絶対に手に入れたい——ここを基軸として旅程を組み立てた。そこに時間的な余裕を見込んでプラスしたのがここ【嵯峨野トロッコ列車】と【あべのハルカス】(5周年メダル)である。特に【あべのハルカス】は、「なんばに車で行くのは怖い」「駐車場で苦労しそう」というビビリぃな理由があったため、勝手知ったるあべのハルカス付近の時間貸しに停めて、ハルカス(御堂筋線天王寺駅)から電車で3駅のなんば駅に行こうという計画であった。
てっちゃんではない人間が観光列車に乗るということ
大津サービスエリアから1時間も掛からずに到着した【嵯峨野トロッコ列車】こと「トロッコ嵯峨野駅」は、観光名所でいえば「渡月橋」があったり、記念メダル的にいえばかつて【美空ひばり座】があったりした場所の近くである。何を隠そう、昔来たことがある。
記念メダラーあるある「以前行った場所で後から記念メダルが発売されると、腹立つ」。
で。
こういう「記念メダルを巡る旅」という記念メダル主体の旅行に出た際の記念メダラーあるある「入場料不要でメダルを購入できた時、入るかどうか迷う」。
いやー、私が無類の鉄道好きであるならば迷いはしないのだが、残念ながらそうではない。通勤電車の中で本を読むことは好きなのだが、それは「通勤時間を無駄にせずに読書を楽んでいる」という点が好きなのであり、別に電車に乗っているのが楽しいわけでは無い。極端なことをいえば、座れるなら別にバスでも良いわけである。
終点までの往復料金は1600円ちょっと。うーん、微妙な値段設定。安くはないが、観光施設として考えれば妥当な値段設定であるともいえる。映画よりは安い。
ということで、乗った。で、乗ったことを後悔した。
しかし、後悔できたこともそれは乗ったからこそに他ならない。「面白く無かった」という思い出も、時間と共に良き思い出となる。というか、ブログのネタになる。そしてこの時はまだ体力的にも気持ち的にも余裕があったので、「ブログのため」という誰得な思いで乗車券を購入したのであった。
実は出発直前に何やら不審な人物が先頭車両に乗り込んできた。格好が明らかに観光客のそれではなく、控えめに言ってちょっとみすぼらしいというか、ああこれは関わり合いたくないなというオーラを完全に身にまとったおじいちゃんであった。汚い作務衣のような物を着ていて、テンション高めの大声で喋りまくる中国人団体客にいきなりそれ以上の大きな声の出川英語で景色や車内の説明をしだしたものだから、俄然私がいる先頭車両は急になんとも言えない空気に支配されだしたのであった。全ての人間が腫れ物を抱えているかのような……って、伝わりますかね?
話しかけられた中国人観光客たちも急に静まり返り、どう扱って良いのか考えあぐねている様子で、それをそばに見ていた私ももちろん最強に居心地が悪い。「早く終点に到着してくれ……」と内なる声で叫びつつ車窓の外に広がる景色を見続けることでなんとかその場をやり過ごそうとするも、おじいちゃんは縦横無尽に車内を駆け回る。「これは嵯峨野トロッコマニアのおじちゃんが良かれと思って己の知識を乗客に披露しまくるありがた迷惑なやつか?」と考えながらただただ時間が過ぎ行くのを待っていたら、なんとおじいちゃんは「入室禁止」の表示がある運転士室へ平気な顔で入っていったのであった! ついにテロか⁉︎ と思ったら——
「ここで皆様にご紹介があります。この車両には鬼——酒呑童子と呼ばれる鬼さんが乗車されています。ここで酒呑童子さんから皆様にご挨拶をとのことで、よろしくお願いします」
そんな車内アナウンスとともに、マイクを持つ後ろ姿の作務衣のおじいちゃん。そして——
「ただいまご紹介に預かりました、酒呑童子でございます。酒呑童子とは羅生門の鬼を討ち取ったことで知られる渡辺綱がどうたこうたら——」と説明を始めるおじいちゃんあらため酒呑童子さん。
そして運転士室から出てきたときには——
すっかり酒呑童子となっていた。いや、酒呑童子見たことないけど。
車内の中国人観光客達も、先ほどまでの塩対応から一転、記念撮影を求めて積極的に声をかけ始めた。今までは「単なる不審者」だった人物が、運転士室に入り(つまりそれを認められた関係者)、車内アナウンスでしゃべり(どう考えても関係者)、これからサービスに行きますよ〜的なことをしゃべっていたのが通じたのか、「車内のイベントを担当する人」に見事クラスチェンジしたのである。
ただ一つ私が言いたいのは、
私はこの体験いらなかった
というこである。いや、たとえ酒呑童子さんだと正体を明かした後でも、私はその存在がとにかく落ち着かなかった。もっとゆっくり景色を楽しませて欲しかった。別に景色に興味はなかったんだけど、興味がないなりにそれを期待して乗車したのだから、景色に集中させて欲しかった。静かにしてくれ——と心底うんざりしてしまった。一生懸命盛り上げようとしてくれたのだと思うのだが、それが私の偽らざる気持ちであった。正直クオリティもそんなに高くなかったし……
というか「酒呑童子」といえば「鬼切丸」という刀で退治したことが有名でしてね。源頼光とその四天王(あの「まさかり担いだことでおなじみ」の金太郎もいるよ!)が酒呑童子退治に趣き、鬼切丸を貸し与えられた四天王の一人渡辺綱がそれを武器に酒呑童子の首をはねたエピソードはあまりにも有名である(えっ、知らない?)。私はこの名刀「鬼切丸」にひとかたならぬ思い入れがあり、現在この刀が収蔵されている大阪の「多田神社」までわざわざ出向き、「鬼切丸お守り」を購入したくらいなのである。
何が言いたいかというと、雑にやるんじゃねーという怒りにも似た気持ちであった、ということである。酒呑童子は日本史上最強の鬼とも言われる鬼であり、また最悪の鬼でもあった。いやー、なんか八つ当たりと言われるかもしれないが、そもそも良い感情をそのおじさんに対してもっていなかっただけに、私の中のこだわりが変な形で悪しき感情に変化し、ごめんなさい私にとっては最悪の時間ともいえるバカ騒ぎにしか見えなかった……って、悪態ついてごめんなさい( ;´Д`)ユルシテ
ということで、なんだか非常につまらない体験となってしまったが、それは個人的な事情が複雑に絡み合った私の話でしかない。観光列車としてはきっととても良いもので、嵐山の景色を存分に楽しめる工夫に満ちた列車であるので、京都観光、嵐山観光の際にはぜひ乗るとよいと思いますよ!(説得力なし)。あと車掌さんが、終点が近くなると最後に「さよなら、さよなら、さよなら〜もう〜もうすぐそこはあらーしやま」と結構唐突にオフコースの「さよなら」を結構熱く歌い出して別れを惜しんでくれる。すげーびっくりした。
記念メダルについて
いろいろとぐちぐち述べてしまったが、実際に乗車してみると、この記念メダルたちは嵯峨野トロッコ列車のイメージをよく表現していると感じた。嵐山なので当然のことながら秋に乗るのが一番醍醐味を味わえるだろうし、「きっと秋にはすごいんだろうなぁ」と思わせる景色の数々で、紅葉が綺麗だろうなぁとかお花が咲くと綺麗だろうなぁとか陸橋が情緒あふれるなぁとか見どころとなるポイントをメダルの図柄でよく表現しているいえる。
4枚目の目が大きい女の子のことはとんと存じ上げないのだが、萌えキャラ路線もかつてのゆるキャラブームのように下火になりつつあるような気がする。そんなことない? 乱立しすぎて、もはや消費者が把握しきれなくなったところも同じである。
後の記事にするメダル施設でも触れようと思っているのだが、「ゆるキャラ」「萌えキャラ」に次ぐ今後の流れとしては、「既存のアニメ(目が大きめの)とのコラボ」がさらに流行っていくのではないかと予想する。というか、今回の旅でも実際そうした施設がいくつかあった。「ゆるキャラ」「萌えキャラ」で新たなファンを獲得する、という手間をかけるよりも、「すでに存在するカテゴリーのファン層を取り込む」という手っ取り早い手法である。要はコンビニの「一番くじ」と同じ手法であるといえる。
この手法は、継続的・永続的な展開ができない代わりに、一定の効果が常に見込めるというメリットがある。「ゆるキャラ」「萌えキャラ」作ったって流行らなければ結局は継続的な展開はできないわけだし(というか継続していると「まだやってるの?」みたいな空気になる)。
鉄道むすめの嵯峨ほづきさんの命運をお祈りするばかりである。数日後にはたぶん名前思い出せなくなると思うけども……いや、ほんとに二次元の女の子には興味がないのよね。。。三次元の女の子は大好き過ぎるんだけども(不要な情報)。
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