@大仏様の真裏(2021.10現在)
備考:金、銀、銅、黒、バイカラー、プリントと全色販売した唯一の施設
大仏様の朝は早いが、メダル様は遅起きな件
【東大寺】は昔から記念メダルに非常に力を入れている施設である。金型の変更はせず、メダルの色を多様に変えて新作として発売していく手法は、実に記念メダルに精通しているといえる。新色が発売される度に記念メダラー達はこの地を訪れることを余儀なくされ、そのまんまとやってくる醜態を大仏様に見下される憂き目に遭う(被害妄想が色濃い文章)。
しかし今回は新作メダルといっても今までとは違い、「プリントタイプ+新作金型(裏面)」である。あのメダル強者の【東大寺】が久しぶりにメダル開発に資金を投入したことになる。
【東大寺】は先述のように新作を小刻みに発売してきたため、何度も何度も訪れているので正直食傷気味であるのだが、京都の【響け!ユーフォニアム】イベントに行くついでに立ち寄るという形で、鉛よりも重い足を運ぶことにした。なんか知らんけど、あんまり好きになれないのよね、【東大寺】。理由は不明。
そこで事前にGoogleマップで調べると、なんと【東大寺】の営業時間は朝7時半からであることが判明! 早起きは大得意なので、朝一番で大仏様を拝んで、その後京都に移動し、昼過ぎには帰宅するという計画を立てたのだった。
が。
「足が重い」「腰が重い」——そんな不敬なことを言って参拝した私に、大仏様はしっかりと天罰を下したのだった。
そんな運命が待っていることを知らない私は、早朝の鹿たちと優雅に戯れ、すっかり飽きてしまった【東大寺】への旅に少しでも彩りを加えようとしていた。
鹿と戯れているうちにすぐに7時半となったので、さっそく大仏殿へと足を運ぶ。早朝の奈良公園にはさすがにほとんど人はおらず、寄ってくる鹿も心なし少ない。鹿せんべいを売る人自体がまだいなかったからかもしれない。
絶対一番乗りだと思っていたのだが、私の前に数組の観光客がいてすでにチケットを購入していた。【東大寺】がこの時間から営業していることを知っているのは世界中で私だけかと思っていたので驚いた(とんでもない勘違い)。
しかし、先駆者たちが入場して早々に鎮座する大仏様に感嘆のため息を漏らしている間に、私は大仏様に用はないと言わんばかりの勢いで目もくれずに目の前を通り過ぎ、目指すは大仏様の背中である。その間、四天王とか大仏殿の歴史とかなんか柱の穴を潜るやつがコロナ対策で封鎖されているとかあったような気がしたが、そんなことは記念メダルを手に入れる前の記念メダラーにとっては微々たる事象である。
記念メダラーは、記念メダルを入手するまでは観光を楽しむ余裕など一切持ち合わせていないのである。
朝日が差し込む大仏殿、その朝日の光の速さよりも高速で移動した私は、やがて彼の地(大仏様の背中)へと辿り着く。
そして——絶望した。
なんていうことでしょう(ビフォアアフター風に)
考えてみれば全然あり得る状況なのだが、人間とは不思議なもので、こういう状況を一ミリも想定していなかった自分がいた。過去には【忍野八海】でもまったく同じ状況に見舞われたにも関わらず、である。人間とはかくも学ばないものなのか(自分の失態を人類全体の問題として拡大解釈する無能)。
調べてみると、記念メダルの販売は【東大寺】そのものではなく「大仏奉賛会」という一般社団法人の別組織が管理していることが判明した。この「大仏奉賛会」というのは要するに、大仏様の背中で記念メダル販売機を挟むようにして軒を構える二つのお店のことである。そしてこのお店のオープンは9時半だったのだ!
早起きして三文の損になるとは夢にも思わなかったが、嘆いていても仕方がない。仕方がないから大仏殿内を改めて見学することにした。記念メダラーとは目的と手段が逆転しがちな生態をしているのである。
所要時間15分
この世界の時は止まっているのではないかと疑った。
秋が終わろうとしている10月下旬の大仏殿の中は底冷えが厳しくて肌寒く、お小水の気配がじりじりと忍び寄ってきている。が、大仏殿の中にトイレはない(ここテストに出ますYO!)。
再入場は不可なので、私の耐え忍ぶ意思の力が勝つか尿意の脅威が勝つかの戦いである。
そんな中、大仏様の隣にベンチを発見した。限りなく尻を凍りつかせるその冷たきベンチに腰掛け、気を紛らわすためにAmazonプライム・ビデオにて、いつか見よう見ようと思ってまだ未見であった『鬼滅の刃』をついに視聴することにしたのだった。面白かった。
なぜここまでの社会現象になっているのかはまったくもって謎なのだが、確かに面白い——そんな感想を抱きつつ夢中で次の話、次の話、と見ていたら、気がつけば10時15分だった。まこと、コンテンツ消費社会とは罪なものである。一日中家でネトフリ三昧で廃人だよみたいなことに陥る気持ちがよくわかった。底冷えのする大仏殿で冷たいベンチに座っておしっこを我慢しながら視聴していても時が経つのを忘れてしまうのだから、無人島に流れ着く際にはぜひ衛星電波の届くスマホを持って来てネトフリに加入したいものである。電源のある無人島でお願いしたい。
そんなこんなで結局大仏殿には3時間近く滞在したことになる。もしかしたら観光客としては日本記録に迫る滞在時間かもしれない。
記念メダルを無事購入した後は(トイレに行ってから)そそくさと次なる目的地【京都タワー】を目指したわけだが、それはまた別の話。
(過去記事)水たまりがいっぱいある件
あの巨大大仏様と鹿で有名な奈良県【東大寺】である。大仏様を拝みに行くには、数々の鹿の糞トラップをかいくぐらねばならない。水たまりかと思って油断して突っ切ると、実は鹿のションベンだったなんてこともある。とにかくこの場所はトラップが多いので気を付けねばならない。入堂券を買ってグズグズしていると、手にしていたその券を背後から鹿に食われることもある(中学校のときの修学旅行で実際に経験した実話)。
近年の国際色が豊かになった影響で、外国人観光客が非常に多かった。鹿と一緒に写真を撮っているのは大抵外国人である。鹿の方も心なしか外国人に積極的に寄っていっているように見えた。エサくれる率は明らかに外国人の方が高いからであると推測される。これが学習指導要領で謳われる「生きる力」というやつか!?
十数年ぶりに訪れたが、大仏もデカイが、大仏がいる建物がとにかくデカかった。そのスケールの大きさに圧倒された。大きくなってから見た方がよりデカくみえるというのも皮肉な話である。
4月に「情報セキュリティマネジメント」という国家資格試験があるので、ついでにその合格祈願をしてきた。「合格祈願」と題された絵馬のコーナーには、様々な合格が祈願されていたわけだが、中には英語をはじめとした外国語で書かれた願いも多数あった。仏さまも中国語ならギリいけると思うのだが、ペルシャ語やアラビア語っぽい文字も読めるのだろうか? 「ごめんごめん、読めないもんで無理だったわ」とか言わないだろうかと、勝手に心配になった。
また、奈良には東大寺が運営する「東大寺学園」という日本有数の進学校があるのだが(開成や灘クラス)、そこへの合格を祈願した絵馬には、できることなら何でもするという必死さを感じた。遠方の県外からわざわざ東大寺までやってきてこの絵馬を残していった努力には感服である。そこまでできる者だけが、選ばれた進学校に行けるのだろう(東大寺学園で毎年最も多い進学先は京都大学である)。
そんなわけで、久しぶりに訪れた東大寺は、私自身が年齢を重ねたことにより、中学生のときとはいろいろと見る視点が違って、違った楽しさがあった。子供の時に訪れた場所に再び訪れるというのは感慨深いものである。
記念メダルについて
古くから金メダル、銀メダルを販売してきた【東大寺】である。
「大仏殿」のバイメタルメダルは、なによりもまずかっこいい。言葉がいらないくらいかっこいい。基本的にバイメタルメダルは何でもかっこよくなるのだが(ミもフタもない言い方)、そもそものデザインがイカしていた大仏殿メダルでこれをやったので、マジでかっこいいのである(小並感)。
そしてトピックスとしては、大仏メダル(銅)である。銅メダルはかなり珍しい。現行メダルとしては他に【138タワーパーク】にしかない。
過去にはいくつか存在したのだが、それでも珍しい(そのうち特集ページで「銅メダル特集」というのをやる予定。が、予定は未定)。少ない理由は、恐らく「映えないから」ではないかと思われる。金、銀、銅と選択肢があったら、銅はあんまり選ばないよね〜。
ただ「大仏」という題材であると、不思議と他の色より厳かに見えるのは、記念メダラーの贔屓目であろうか。金、銀と比べると、銅は大仏の顔がより厳しいものとなっているように見える……ような気がする。むしろ「そんなに怒らなくても」と声を掛けたくなるくらいに。
一躍、「記念メダル界の急先鋒」に名乗りを上げた【東大寺】。これからも目が離せない存在である。この流れでいくと、大仏のバイカラーメダルや、大仏殿の銅メダルとかも出そうじゃない?
2023年10月3日現在
黒色のメダルは製造しなくなって入手不可能なようです。残念です
その他のメダルも、在庫がなくなり次第販売終了していくとの話がTwitterにあがってましたね。
寂しい限りです。。。