静岡県【大室山】 記念メダル

大室山記念メダル

山とは何かという根源的な問い

私の前の職場の同僚で、フランス人男性と付き合っている女性がいた。その女性とたまたま帰りの電車が同じになったとき、「何か話さなければ」という使命感に駆られ、無粋なこととは思いつつもその男性についてあれこれと尋ねてしまった。「喧嘩をした時は何語で話すの?」「日本語です」「じゃあめっちゃ有利じゃん」とかしょうもない質問をして呆れられつつ、話題は年末の予定の話へ。そこで彼女が年末はそのフランス人の彼と雪山登山巡りをすることを話してくれた。

「彼が、日本には山がないって言うんですよ」

「どういうこと? 富士山は?」

「日本にあるのはぜんぶ岡だって言うんですよ。山じゃなくて」

「へー(もちろん、日本の山をバカにしている発言であることは理解している。が、山に全く興味がないので全然腹が立たない。そんな、へー)。じゃあ、日本人が岡だと思ってるものは何になるのかな? 土手? 砂山?」

「それはなんでしょうねー」

「じゃあ年末は雪山登山ではなく、雪岡登岡に行くわけだ。岡に命を賭けて登るのか」

「そうなりますねー。岡に命を賭けるといわれると、なんだかもったいなく感じますね」

「というか、岡と聞いて思いつく日本の地名が全くない。そもそも日本に岡なるものは存在するのかな?」

「どうなんですかねー」

「岡を越えてどこにゆくのかね? 口笛吹きつつ」

見よ! この全く中身のないうす〜い会話を! これが「お互いに特別興味がない男女の会話」である。

フランス人男性からしてみると、日本の山はフランス尺度で測ると全て岡であるらしい。個人的にはそれは全くもってそれで良いのだが、問題は「岡とはなんぞや?」ということである。

私はいまだかつて、岡を目にしたことがあるのだろうかーーそんな根源的な問いに行き当たったのである。

何が言いたかったかというと、「これこそが岡なのではないか」という長年の(というか昨年の)問いの答えに出会うことができたのではないかと思ったのが、ここ【大室山】である、ということである。

大室山上空写真

大室山上空写真

シャボテン公園大室山

シャボテン公園から見た大室山リフト

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

順番は【大室山】→【シャボテン公園】で。絶対だゾ!

【大室山】の印象は、かなり特殊である。かなり唐突に小高い山が現れる。しかし、その山の頂上は麓からも余裕で目視ができるくらい低い。かといって、これを歩いて登るのは、全然不可能ではないが、気が引けるくらいの高さではある。しかし登山の装備をフルに持って来て気合を入れて登るのもちょっとどうかというくらいの、なんとも絶妙な大きさの山である。このような具合の山は未だかつて目にしたことがなく、だからこそ「これが岡と呼ばれるものなのか⁉︎」と思った次第である。加えて、異様なまでに整えられて綺麗な形状が異質さをさらに醸し出していて、近くに来て見た者はまず「これは一体何なんだ?」と大なり小なり思うことだろう。人工的に整えられたある意味で美しい滑らかさで、例えるなら「砂浜で作った砂山」を大きくしたかのような印象である。近所の土手の親分みたいな感じ?(違うか)。

駐車場は、目の前にある第1駐車場は休日ともなると常に満車であるが、向かいに第2、第3駐車場があり、かなりの台数が止められるので、慌てて第1駐車場に入って変なトラブルに巻き込まれてはいけない。第3駐車場などガラガラなので、ほんのちょっと(数十歩単位)で距離が遠くなるが、ぜひ空いている駐車場を利用しよう。そして、【大室山】のすぐ隣には、【伊豆シャボテン公園】がある。坂を登ってすぐのところに位置し、何なら、公共交通機関でやってくるなら同じバス停を利用することになる。【大室山】の駐車場は無料だが、【伊豆シャボテン公園】の駐車場代は500円である。私は何も考えず【伊豆シャボテン公園】→【大室山】という順序で記念メダルを巡ったため両駐車場を普通に利用したが、【大室山】からそのまま歩いて【シャボテン公園】に来る人もきっと多いんだろうな〜目で見てすぐそこだと気づくし〜と、そんなことを思った夏の日の午後。繰り返すようだが、私は500円を払っていますよ!

シャボテン公園割引

ちなみに、【大室山リフト】の乗車券を持っていくと、【伊豆シャボテン公園】の入場料が割引になると、大室山の頂上に書いてある。看板がある。すがすがしい青空の下に。

世界の中心で愛を叫びたいと思ったことはないが、大室山の頂上で神様のバカと叫びそうになった。記念メダル巡りにおいて、【シャボテン公園】を先に訪れるメリットは何一つないと言える。断言できる。みなさん、私の屍を越えて、ぜひ先に【大室山】に行きましょう。

リフトは二人乗り。それに一人で乗るということ

大室山リフト スキー場のリフトを始め、足をプラプラさせるタイプのリフトは大抵二人乗りである。ただもちろん一人乗りのモノもあり、例えば京都の天橋立を眺めるために登るリフトは一人乗りのものであった。

が、ここは二人乗りである。他がどうとかではない。

リフトは登る側と降りる側が対面する形となるので、必然的に降りる者と顔をあわせることになる。二人でリフトに乗っている場合、そこには何らかの「幸せの形」が存在する。カップルであれば愛が、家族であれば温もりが……。

そんな者たちから見て、30半ばのおっさん(変なタンクトップ着用)が一人で大室山の頂上を目指してリフトにどっかりと腰掛けている姿はどのように映っていたいただろうか。幸せそうに見えていただろうか。記念メダル獲得を目指してリフトに乗る私は、そのとき確かに幸せであった。ただ、多くの者の目には、そうは映らなかったかもしれない。

本人が幸せならそれでいいーーこれは安易な言葉ではないのか? 本当にそれでいいのか?

私はその答えを知らない。

頂上で小規模なお鉢巡り

大室山アーチェリー お鉢巡りとは、頂上の噴火口に沿ってぐるっと一周歩くことをいう。富士山のお鉢巡りなんかはとても有名で、頂上に到達した達成感だけでは飽き足らない猛者たちがさらなる冒険を求めて旅立つ荒業である。

しかしながら、【大室山】においては、むしろ「お鉢巡りしかやることがない」と言っても過言ではない。頂上に着きました、山小屋行きました、では次に何をするかといったらぐるっと一周しかないのである。もしくは、なかなかレアな選択肢として、【大室山】のカルデラではなんとアーチェリーが楽しめるようになっている(有料)。「なぜアーチェリー?」ときっと誰もが思うだろうが、とにかくカルデラ=アーチェリー場となっている。私だったら絶対にダンボールそりにするのだが。良い感じの傾斜だし。

【大室山】は「山頂でアーチェリーができる」という恐らくは日本で唯一の山なのである(というか岡というか)。お鉢巡りをしている全員にその腕前を高みから見物されるというプレッシャーに耐え得るものだけが参加可能な体験型アトラクションである。

大室山対岸

何度も言及しているが、まるでぎゅっとしたようなとても小規模な山(というか岡というか)なので、お鉢巡りをしている対岸?が余裕で見える。まるで坂を登るアリの群のようだが、私はこれを見て連想したのはアリの群れではなく、『レミングス』である。

『レミングス』とは、もはやレトロゲームの域に達している古いシミュレーションゲームである。日本名では「タビネズミ」と呼ばれる集団行動するネズミ「レミングス」達を導いて、なるべく多く生存させたままゴールに導くのが目的のゲームである。そのゲーム画面の光景にとても似ているのである。

レミングスは数が増えすぎると自ら海に飛び込んで集団自殺をするという話があるのだが、これは迷信であるらしい。ただ、このゲームは明らかにそれを意識して造られていて、飽きてくると必ず一度はやるのが大量虐殺へと導くことである。従順なレミングス達は素直にその指令に従い、何も言わずに崖から飛び降りてゆく。命のあり方を問いかけてくる、そんなゲームなのである。

タンクトップおじさんと眺望


悲しいかな、おじさんが自撮りをしている光景ほど見苦しいものはない。しかも変なタンクトップ(というかサッカー用インナー)にジーパン姿という、明らかにモテそうにないおじさんが、絶景をバックにスマホで自撮りしているのである。

しかしここは、そんなおじさんでもついつい自撮りをしてしまいたくなるーー絶景を背景に写真を撮りたくなる場所である。周囲にさえぎるものが何一つなく、心地よい風が通り抜け、そして「山」のように頂上との寒暖差もありすぎず、タンクトップでへっちゃらで、とにもかくにも気持ちいい。伊豆の海が私を呼んでいる(呼んでいない)。私は記念メダルのために【富士山】やら【御在所】やらを登ったが、さして山登りには興味がないためか、正直ここくらいすげーお手軽な「岡」がちょうど良いと感じた。考えれば考えるほど、この【大室山】は他にはない特殊な場所である。大自然の良いところだけをギュッと凝縮したような場所である。デートに良い。無論、タンクトップおじさんは異質な存在である。

記念メダルについて

これこそ「ザ・記念メダル」というテイのデザインであるといえる。記念メダラー以外誰が欲するだろう、と変な心配をしてしまう。ディスってるかディスってないかといえばもちろんディスってることになると思うのだが、誤解なきように付け加えておけば、私は好きなデザインである。ただそれは「ダサいのが逆にカッコいい」的な話であり、記念メダラーが好むデザインが一般人に受け入れられるかどうかはかなり微妙なところであるといえる。その一例として、記念メダラーは「プリントメダルよりも、職人が注射器で一枚一枚着色した昔ながらのカラーメダルが良い」という方が多い(ように思う)。だが、記念メダルというものを特に収集しておらず、単純に「その時、そこで目にしたメダル」で購入の可否を判断する一般消費者にとっては、多彩で繊細なデザインが可能なプリントメダルの方を圧倒的に好むことだろう。「プリントが剥げやすい」とか「平面にカラー印刷しただけやんけ」とかはコアなメダルファンが述べるに過ぎない「イチャもん」なのである。そして記念メダル販売元(代理店)は、どう考えても記念メダラーをターゲットにしているわけではない。その時訪れた観光客に、お土産の一つとして購入してもらうことを狙っている。

そう考えたとき、「これはなかなかなデザインだぞ」と思うのである。くどいようだが、私は好きだけどね〜

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です