マンスリーメダル企画とは
【マンスリーメダル】とは、上記の茶平公式Twitterアカウントで発表されたように、12ヶ月間に渡って発売されるシリーズメダルを全て購入すると、完走達成者には特典として特別なメダルが授与されるという、茶平工業初の企画モノであった。
コレクター達は、茶平公式の初めての挑戦的な企画に、ワクワクドキドキを隠せなかった。そして毎月発売されるメダルのデザインに期待と喜びがいっぱいであった。何より、まだ見ぬ”12ヶ月完走特典メダル”がどのようなものになるのか、みうらじゅんが登場するんじゃね? なんて夢を見ながら、期待と股間を膨らませてその時を待っていたのだった(不要な下ネタが混ざる)。
それがあんなことになるなんて
(*´∇`*)
というオチは記事の最後に長々と語っているので、ここでは割愛。結果的には物議を醸し出す出来事があったのだが、基本的には記念メダルコレクター一同楽しみな企画であった。そしてその楽しみをより膨らませたのは「この月にしか買えない!」というレアレティ感が重要な要素であったことには言及しておく。このレアレティ感が後に物議を生むことに繋がるとは、この時には想像だにしなかったのであった——
1月 和尚が二人でお正月
マンスリーメダル第1弾はシンプルな正月図柄。
我が家には鏡餅を飾らなかくなって久しいが、このメダルをここで示すことで毎年の禊としたい。
ちなみに鏡餅を正月に飾る意味は、”年神様の依り代にする”という意味合いらしい。年神様にはネット上に降臨してもらわなければならない。もっと正確に言えばさくらインターネットのサーバに。冗長化もしているだろうから、複数台分の複数柱の年神様に来ていただかなければ。
2月 魔滅させるために豆を撒く節分
かつて大学時代の友人の結婚式がちょうど節分の日に行われたのだが、友人代表挨拶で【高田寺】の副住職が披露宴会場に向けて豆まきをした。その時の解説で「魔を滅する、つまり摩滅するために豆を撒きます!」という解説をしていて、会場中から「なるほど〜」という感嘆のため息が漏れ聞こえた。そして続けて「それではみなさんご唱和ください!」と音頭を取り、豆を握ると「福は〜そと〜っ‼︎」とマイクに向かって叫んで会場中に豆を投げた。
本人曰く「間違えた」とのことだったが、何度も連呼して訂正しないままやり切っていたので、私は計画的犯行であったと思っている。
3月 お内裏様とお雛様以外はモブキャラ説
お内裏様とお雛様以外の名前って、知らんよね。
ちなみに内裏とは皇居のことであり、昔は「場所=人」であったので、つまりお内裏様とは天皇のことを指す(御門=帝も同じ)。
大学時代の彼女が「私は桜より梅が好き。花が可愛いから」と言っていたので、今でも梅の花を見ると可愛いと感じる。
男は元カノの成分でできている。
4月 サクラサキツツ、チル
4月は私も毎年「情報処理技術者試験」を受験するので、桜が咲くのか散るのかは敏感になりがちな時期。現在4月は毎年「ネットワークスペシャリスト試験」を受験している。毎年受験しているのは、毎年落ちているからである。2023年3連敗を喫し、2024年は4度目の挑戦となる。特に前回は絶対に受かったと信じて疑わず、何なら合格体験記をほぼ完成まで書き終わっていたところ、あと1点で落ちるという憂き目にあった。私のサクラは散りまくりである。
5月 屋根より高く鯉のぼりを飾るのは普通に危険
鯉のぼりには「鯉のように難関を突破して欲しい」という願掛けを込められているらしい。いわゆる「登竜門」的な話らしいが、詳細不明。私は正直鯉のぼりに何の思い入れもないというか、飾って欲しいと思ったこともなければ、ものすごくたくさん鯉のぼりが飾られている川を見ても特に何の感動もなかったので、屋根より高く鯉のぼりを飾りたいと思う人の気持ちが理解できない。
屋根より高く飾ったら飛んでいきそうやん。
6月 でんでんむしむしかたつむりには超危険な寄生虫が……
梅雨の時期に大量発生するカタツムリやナメクジには広東住血線虫(カントンじゅうけつせんちゅう)という地獄の苦しみをもたらす寄生虫がいるので、触らないようにしましょう。
7月 ぜったい七夕やろ⁉︎ って思ってたら、全然違った。かもめだった。
ただ自分の予想は「海の日で海」だったので、結果的には当たっていた⁉︎
椰子の木が反り曲がっている。
8月 花火大会は花火を見上げる君の横顔を見るために行くんだよ……
メダル図柄の予想をツイートする時、8月を予想するのが意外と難しいなと思った記憶がある。苦し紛れに「山の日で山」とした気がする。そしたらビールと花火だった。
高校生の頃、一緒に花火大会に行った女の子に、花火大会が今にも始まろうとしているその瞬間にフラれ、「ごめんね」という言葉と共に湘南の海に花火が打ち上がったという思い出がありをりはべりいまそがり。
9月 お月見の日にお餅を食べている人、現代にはいない説
節分の日に恵方を向いて恵方巻きを食べる人はいるが、十五夜にお団子を組体操のごとく並べて食している人は見たことがない。これは一体なぜだろう。
恵方巻きは海苔業界が仕組んだ行事であると言われているが、団子業界はもっと中秋の名月を推しても良いのではなかろうか。
10月 ハロウィンって日本でいつから始まったんすか?
ハロウィン文化って意外と廃れないな〜と思っている。私が小中高校生のときはハロウィンなんぞアメリカの異文化としてしか紹介されなかったものだが、今ではすっかり日本に定着した。なんなら【USJ】にハロウィン当日に行きパリピたちとホラーナイトと楽しんだことすらある。すっかり文明開化に染まっちまったよ……
ただこの行事を一般人が楽しむには相当努力が必要である。渋谷のスクランブル交差点の近くに住んでいるならまだしも、地方都市在住者としては、コスプレを用意するのがまずめんどくせーじゃん。ドンキで買っても意外と高いし。
11月 まさかボジョレ・ヌーヴォーでくるとは……
11月は絶対に七五三で来ると思っていたのだが、ボジョレーヌーボの解禁日で攻めてくるとは思わなんだ。
ちなみに私は冬に飲むホットワインが大好物である。それはもちろん、かつて最愛だった人から教わったワインの嗜み方である。ホットワインなんていうキラキラした飲み方、おっさんが自助努力でたどり着ける境地ではない(偏見)。
我が家にはあの日購入した使いきれないナツメグの小瓶が今なお調味料棚に鎮座している。
そう、男は元カノの成分でできている(2度目)
12月 まさかそんなにセオリー通りにくるなんて……
12月は誰もがクリスマスを思い浮かべることだろう。私も当然そうだ。私のクリスマス当日は毎年人間ドックに行くと決めているのだが、そんなおっさんにも等しく訪れるのがクリスマスである。
だから、メダルの図柄も当然クリスマスで来ると思っていた。思っていたが、そこは敢えて外して「雪だるまかな〜」と思ったら、裏の裏をかかれた形となった。
深く考えすぎて勝手に自滅するのが人間の悲しき業である。
完走特典 巡メル嬢
突如現れた茶平工業公式美少女キャラクター”巡メル”嬢。
その名前を公募で決める際もちょっと悶着があったのだが、ここでは割愛。
このお嬢様は、普段通販メダルのデザインをしている茶平工業のデザイナー社員の方ではなく、工場の方で働く有志の社員の方によってデザインされたものらしい。確かに絵柄の雰囲気がだいぶ異なる。
今後もきっと何かの折に登場するのではないかと予想される。個人的には、今回のように隠しキャラ的な位置付けで、通常販売ではなく何か特別な時に登場するような位置付けにすると、いろいろと活躍の幅が広がるのではないかと思っている。例えば毎年のお正月メダルの顔にするとかね〜。年に一回登場みたいな。
なんならvtuberにするとか。声優の用意も必要だが。
外野だと何でも好き勝手言えちゃうのが良くないね!
ちなみに完走を達成した人たちには、このメダルの他に、個別の直筆メッセージカードが付いてきた! これを一枚一枚書くという手間からは、茶平の”本気度”がうかがえる。ここで私宛のメッセージを公開することはしないが、代わりにアンサーメッセージをここに記させていただく。
ちなみに「いくたび」は”幾度”と”行く旅”の掛詞ね! あと「永遠」は”とわ”と読んでね!
あの騒動は何だったのか?
このブログは「茶平工業製記念メダルのアーカイブス」を残すという信念の元、運営している。一応。
その信念の元で、やはり”あの騒動”についてもきちんと記録を残しておきたいと考える。ブログ読者の方、記念メダルコレクターの方の中には「いちいち蒸し返すな」と思われる方も当然いるだろう。茶平工業自身、どこかに記録されること自体を不快に思う可能性も高い。
それでもここに以下のことを書くのは、改めて「コレクターとは何なのか?」という根源的な問いを考えさせられる出来事であったからである。こんな駄文を羅列したブログを読んでくださる記念メダルコレクターの皆様にこそ、自分がコレクターとしてどうあるべきなのか、そして——
信念が異なるコレクターと共存する道はあるのか
ということを考えるきっかけにしてもらえたならば、それこそいちコレクターとして望外の喜びである。
概要
既に茶平工業公式Twitterアカウントが該当のツイートを全て削除しているのでこの騒動の痕跡はあのとき反応を残した記念メダルコレクター達のツイートのみとなっている。それらをここにいちいちアップするようなことはしない。簡単に概要だけをまとめると、
- 茶平工業Twitter公式アカウントが期間限定販売を謳っていた”マンスリーメダル”の再販を匂わせ、実施の是非をアンケート機能でコレクター達に問うた。ついでにリプやコメントで考えを記すことも歓迎の旨が記載された。
- 再販理由は「再販希望の要望があったから、それに応えるため」(後々重要となる項目)
- リプ欄は「反対」もしくは「再販するにしても差別化」派が大多数を占めた。
- ただアンケート結果は「再販賛成」がダブルスコアくらいの勢いで上回っていた。
- 差別化案は「12ヶ月完走特典メダルは無し」とか「再販版はメダルに”再販版”と印字する」とか。
概要を簡単にまとめるとこんな感じであるが、こんな簡単にまとめてしまったらまったく見えない”流れ”のようなものがあって、断固反対であった人が他の人のコメントを見て「再販しても良いけど、差別化はしてほしい」と態度を軟化させていく過程なども見られた。逆に言えば「絶対反対! 再販なんて裏切りだ\\\٩(๑`^´๑)۶////」とは言いづらい雰囲気が最終的には形成されたとも言える。
最終的な”流れ”としては「再販しないと宣言していたものを再販するのはどうかと思うけれど、記念メダルの普及・発展のためならば仕方がない(*´ω`*)」という方向にコレクター達の意見はおおむね着地してその日を終えた。そう——これ、たった1日の出来事だったのである。
茶平工業の真意
翌日、茶平工業は再販に関する全てのツイートを削除して、章段冒頭に掲載したツイート及び以下のツイートを投稿し、事態は幕引きした。
このツイートから、茶平工業の真の意図は
転売の防止
であったことが暗に語られた。マンスリーメダルが転売されている、とは書かれていないし転売されているのかどうか私自身は確認していないのだが「きっと販売終了したマンスリーメダルが高額転売されているのを見たんだろうな〜」ということが普通の国語力があれば読み取れるコメントであった。普通の国語力を備えていない人間が数多生息するツイッターワンダーランドにおいて、このコメントに対して「無地メダルとかいま関係ねーじゃん!」とかとんちんかんなコメントをして怒り狂うコレクターがいなかったことに実は私は感動した。話が逸れるが。
話を戻すと、結果論的結論としては、そうであるならそう言えば良かったんじゃないの? というのが私の意見ではある。「通販ラインナップで販売終了したメダルが高額転売されているから再販して転売を防止したい」という形でアンケートを取れば、気持ち的に再販反対だった方々も「そういうことなら……」と賛成票に迷わず投じる人が多かったであろう。また、議論が起こるにしてももっと違った形になったのではなかろうか。少なくても今回のように茶平工業に矛先が向くような議論ではなく、その切っ先は転売ヤーに向けられていたことであろう。
ただ繰り返すようだがあくまで結果論である。転売のことには言及しにくいというのが企業体としての本音であろう。
私もモノ売る商売をしているわけで、小売業の本質は転売と何ら変わらない(茶平は基本製造業だが)。超ざっくり簡単に言えば、仕入れたものを右から左へ流してその手間賃で生計を立てているわけなのだから。この世の全てのお店に陳列されている商品は、買い取った物を買い取った値段より高い値段で販売している転売商品であるともいえる。自社工場生産の自社ブランド品でもない限り(茶平通販はコレにあたる)。
手間賃にはもちろん在庫リスクであるとか、破損リスクであるとか、保有リスクであるとか様々なリスクがあったり、保有コストであるとか物流コストであるとか様々なコストがあったりと、いろいろなものを背負う代わりに含まれる代金というものがあって、リスクが顕在化すれば利益がコストを下回りあっさりと”損失”へと姿を変える。コトの大小はあれど、俗に言う転売行為にももちろん同じリスクが存在する。一番わかりやすいのが「売れないリスク」=いわゆる爆死というやつだ。
話が脱線気味だが何が言いたいかというと、要するに茶平工業としては企業体として「転売反対!」とは声をあげにくかったのかなぁと事情を察するところがある。だから”顧客からの要望”というマイルドな表現で再販ありきの再販の是非を問うてみたところ、思いのほかその”顧客”から牙を剥かれてしまった、という構図ではなかろうか。そして騒動を収めるためにも、”協力のお願い”というこれまたマイルドな表現で真意を暗に語り収束を図ったというところではないだろうか。マンスリーメダルに直接言及するのを避けてマイルド味を足しているところにも、相当な気遣いを感じる。
というのも、茶平の無地メダルは、通販が開始される前は、工場見学をした人(か内部の人)しか入手する手段がない逸品であり、それをメルカリに出品したとあっては「そりゃあかんだろ💢」と誰もが怒りを感じたことであろう。そこでうまく場のコントロールができたというか、収束の方向への”流れ”が形成された。
事態収束を図るこのツイートは非常に繊細かつ機知に富んだ一撃であるマジで感心した次第である。直接マンスリーメダルに関しては言及していないこの一発ですべて収まったのだから、このコメントを考えた人は相当キレものである。アメフト部騒動で揺れ続ける某大学の危機管理部にはマジで見習ってほしい。
「再販」に反対か、賛成か
先にも述べたのように、アンケート結果は「賛成」が多数を占めていた。しかし、リプ欄や個人ツイートは「反対」寄りが圧倒的に多かった。再販賛成コメントは私が観測した限りでは3人の方しか確認できず、その方々は(当然であるともいえるが)反対すること自体に非常に否定的なことを書き記していた。
ただ私が一つ声を大にして言いたいのは、賛成派も反対派も、茶平工業の記念メダルを愛する者として、想いは実は一緒であるということである。いわゆる「目指す頂上は同じだが山の登り方が違う」というやつである。
大多数の人は、再販すること自体には結果的にはそれほど強い反対の気持ちをなかったと思う。「反対!」と声を上げた人の多くは、後から来た他の人にもメダルが渡ることを拒んでいたのではなく、自分の努力を無にされることが嫌だっただけだと思うのである。
「再販しないから絶対期限内に買ってね!」と言ってきたからそれに従って努力をしてきたのに、その努力を強いた側があっさりと言われた通りにしてきた者たちの努力を無価値にしてしまうということに反発したのである。決して、レアレティをあげたいとかロットがどうだとかというのは本意ではないと思うのである。自分たちの努力と、後から何の努力もしないで手に入れられる人とを、せめて差別化してほしいと思っただけで。それはつまり、自分たちの努力をきちんと評価してほしいという、人としての純粋なる気持ちだ。
ただそうは言っても、多くのメダルコレクターが実社会では大人であり社会人であり分別があるので、絶対ヤダなんて言わずに、その妥協点として「再販するにしても、何らかの違いを付けてほしい」という要望を出していた。
そしてもちろん、「転売」という要素を知らされていなかったことも、この妥協点に達せざるを得なかった経緯としては非常に大きい要素である。恐らくは——という推測の域は出ないが、気持ち的には反対だった多くの人も、転売に関する言及がなされていれば、もう少し柔らかく再販に賛成したのではないだろうか。どの点を妥協点とするかは個人差があっただろうが(特典メダル無しの線は譲れない人は多かったかもしれない)。
それを”みみっちぃ”と言うならば、それはそうだろう。ただそれが”マニア”であり、”コレクター”という生き物なのではなかろうか。開き直るなと言われても、”そういうこと”を楽しむのが、収集活動の醍醐味だと思うのである。
期間限定のモノを手に入れるために頑張って予定を組んで期間内に買いに行ったり、限定数があるのものを手に入れるために人より早く入手できるように仕事もプライベートも犠牲にしたりすることもあるだろう。スタンプラリー等の特定の条件をクリアしないと入手できないものがあれば、その条件に時間をかけて取り組み、達成し、ようやく手にすることができた格別の余韻に浸る——マニアとはそういうことを楽しむ人たちであるともいえる。
一方で見方を変えれば、期間限定とか数量限定とか入手条件とかは、いやらしい言い方をすれば、企業側が自社の利益を最大化するために購買意欲を煽る手段でもある。消費者側は、企業側が提示した前提条件が守られる前提で自分の色々なモノ(金、時間、本来の予定、仕事等)を費やして、犠牲にして手に入れようと努力する。それをするのは”マニア”だからである。”コレクター”だからである。一般の興味のない人からしたらまるで理解できないことをしているのは、それを理解している企業側とマニアとの共通理解の上で成り立っている。
それを「思ったより好評だったから前提条件撤廃しまーす。多くの人に自社商品を手にしてもらうためでーす」と条件提示側から一方的に言われたら、「自分たちがやっていたことは何だったのか」とショックを受けるのは当然だと思うのである。
ただ一方で、最終的には判断を下せるのは茶平工業のみなので、元も子もないことをいえばアンケートなんて取らずに自分の判断でやってしまえば良かったともいえる。もちろんコレクター達は不満も表明するだろうが、そんなものは無視しても良かったのかもしれない。”転売阻止”という大義名分があったのなら尚更である。
マニアに意見をきいた——という点が、個人的に思う一番の失策だったのでないかと考える。
マニアがジャンルを潰す
ただ一方で、私も最大級の”マニア”であると自他共に認めるところであるので、この一連の話は俯瞰して見ると「めんどくせーな」と思う。正直。
記念メダルコレクターなる存在が正味どれほど存在するのか実はよくわかってないない。が、一つだけ確かなことは、記念メダルの売り上げのマス層を占めるのはマニアではなく観光客等の一般人であるということだ。アニメ関連イベントの記念メダルであれば、記念メダルコレクターよりもそのアニメのマニアの方が圧倒的な数量で購入することであろう。記念メダル収集は所詮はマイナーな趣味である。
だから最適解としては「メダルマニア向けの商品はもう売らない」だと、いきなり個人的には思ってしまう。メダルマニアを相手にするのは面倒くさい。声が大きいし、要望も多いし、よくわからないダル絡みをしてくる人間がいることはかつて茶平自らが運営していた掲示板「メダリアン広場」での目も当てられない悲惨なやり取りを見ていればよくわかることだろう。それなのに、メダルマニアが売り上げに占めるパーセンテージは、全体から見ればごくわずかである。断言するが、マニアが良いと思ってする提案は、マニアにとっては刺さる提案や企画かもしれないが、全体の売り上げにはほとんど貢献することはないだろう。「金型メダルの方が良い」なんて話はその最たる例で、どう考えたってインクジェットプリントの方が工数もコストも低く抑えられ、汎用性も広い上に、恐らく一般ウケも良いだろう。そして一般の人は、自分が買ったメダルの塗装が剥がれても、寿命だとこそ思えど、「これだから金型の方が……」なんてことは1ミリも思わないだろう。塗装の破損を残念に思えど、不満には思わないのだ。カバンに付いているキーホルダーが経年劣化で汚れたって別に何とも思わないのと同じである。
マニアが、その愛ゆえにそのジャンルの発展を妨げてしまうハリネズミのジレンマ的現象を”マニアがジャンルを潰す”という表現で語られることがある。もとは経営難に陥っていた新日本プロレスの新社長が就任会見で語った概念であり、その内容には”マニア”として考えさせられるものがあるので気になる人は自分でググってみて(まあ新日が潰れかけたのは猪木のせいだと思うけど……)
ただ先にも述べた通り、多くのメダルコレクターは「再販賛成」に票を投じた。そこには感情を抑え、茶平工業製記念メダルの発展を願ってやまないコレクター達の矜持を感じざるを得ない。みんな目指す頂上は同じなのだ。ただ、山の登り方が少しずつ違うだけで。
そして山の登り方が違うことが致命的なまでの渓谷をコレクター間に作っているだけで。
オフ会とかなんとか
話がめっちゃ変わるが、このようなブログを運営しているおかげかせいか、たまに「オフ会を開催してほしいです!」みたいな要望をいただくことがある。が、結論から言えば、今のところ気持ちは前向きではない。なぜならすげーヤな奴がいることがかつての「メダリアン広場」でのやり取りで確定済みだからである。まあネットの世界なんぞそんなものなのかもしれないが。
もう少し真面目に話せば、コレクターの共存の難しさが今回のやり取りを見ても露呈したからでもある。
例えば、私ははっきり言って”転売”に関してはかなり受容的であり、その理由は上で述べたり、過去記事で言及したりした。ガンプラやPS5の転売とは異なり、記念メダルの転売は基本的に売る側(売って得た収入)にも買う側(旅費を掛けずに済む)にも明確な金銭的メリットが生まれるので(今回のケースはさにあらずだが)、はっきり言ってどうしようもないという側面があると考えている。それでもメダルの正規販売者が”転売”を嫌だと思いそれを阻止したいならば、手間暇を掛けて通販対応をするしかないだろう——というのが私の考えであり、この考えに賛同できない人はきっと大勢いるだろう。絶対現地派の人、”記念”の言葉を尊重する人、自分が買いに行った時にはすでに売り切れていてメルカリを見たら転売品が出品されているのを見た経験がある人は、絶対許せないとすら思うかもしれない(最後のは私も経験したことが数回ある)。
一方で私は、自分が行くことの叶わなかったイベントのメダルをイベント終了後にフリマアプリ等で購入したことは幾度となくあるし、自分が訪れる前に販売を終了してしまった施設のメダルを購入することにははっきり言って罪悪感すらない。
例えば最近の例では【多摩動物公園】がわかりやすい。この施設はメダルを販売していたショップがリニューアル改装前にメダルを販売機から取り出して投げ売り価格で販売したのだが、私が足を運ぶ都合がつけられるのはどうしてもリニューアル改装後であった。そしてリニューアル改装後に行ったら、案の定メダルの販売は終了していた。この展開を予想していた私は、【多摩動物公園】を訪問する前に、ショップが投げ売り価格で販売していた8倍以上の値段で出品されていた該当のメダルをフリマアプリで購入した。明らかに転売目的で大量購入していたその出品者にまったく恨みはなく、むしろ感謝の念すら抱いている。その人がいなければ、私はメダルを入手できなかったからだ。
恐らくは、だが、このケースの場合は「それは別に良い」と言う人が大半なのではないかと予想する。なぜなら「①私が実際に現地に足を運んでいる」「②正規店での販売が終了していた」「③投げ売り価格の8倍以上とは言っても、まったく法外な値段ではない(2枚で2000円以下)」という仕方ない感があるからだ。”転売”を反対する人が反対する由縁はそういうことではない、と言いたいことだろう。
ただ、ケースバイケースで許す許さないが判断されるなら、そこにはもう裁判官が必要だよ、という話なのである。良いか悪いかを誰が、どういう基準でジャッジするのか——そんなことできなくない? と思うのである。
そして人間は、異なる意見の者の話を傾聴できるほど大人ではないことが多い。異なる意見の者が相見えればそこには議論が生まれ、たとえ議論に勝っても相手の自尊心を傷つけるだけだというのは司馬遼太郎の言葉である。
だから、集まるならば議論はしないということが大前提となる。ここをアンタッチャブルとできるならば、オフ会の開催も現実味をもって企画できるだろう。
さて、果たしてそんなことは可能であろうか?
あなたは「【小笠原村】のメダルはヤフオクで1万円で手に入れました!」と笑顔で述べる人を目の前にしたとき、笑顔で応対できますか? 売った人は売れないかもしれないというリスクをとった結果莫大な旅費の一部をそれ(転売)で補填し、買った人は莫大な旅費と時間を掛けずして入手難易度の高いメダルを旅費総額から見れば安価な値段でメダルを手に入れられた——そう解釈できるだろうか? そのように受け入れられるだろうか?
ちなみに私は余裕でできます。なぜなら、ルールがガバガバの人の方が、人のマイルールに対して「人は人。自分は自分」と寛容になれるものだからである。逆に言えば、マイルールが厳しい人ほど、自分では禁じているルールを他人が犯していることを許せなくなることが多いだろう。人間は自分が気をつけてやらないようにしていることを人が平気でやっているのを目にした時に怒りを覚える生き物だからである。
私にオフ会の開催を願うということは、こういう考えの人間が開くオフ会であるということを受け入れなければならないことを意味する。
人の考えや価値観を変えようとは思わずに、ただ単純に、好きな物が共通する人たちが集まって、好きな物について語り合う——そんなことが叶う日が来れば、オフ会というものも実現するかもしれない。そして、ここまでグダグダと語ってきたものの、そんな日がいつか来ることを夢見ております。
オフ会用のメダルを製作して、チケットの代わりにそのメダルを配布するなんてのも良いかもしれませんな〜。まさに”記念”メダル也。
コレクター達の共存のカタチ
何が言いたかったかというと、要するに”価値観の違いを享受する”ということが、今後の記念メダルの発展には欠かせない——わけではなく、コレクターとしての茶平工業製記念メダルの盛り上げに関わることではないかという話である。そう、これはあくまで”一部”の話なのである。あくまでマニア間の話であり、一般マス層はそんなこと知ったこっちゃなく観光地やイベントでメダルを見かければ自ずと購入していくことだろう。それはマニアの世界とはまったく異なる世界線の話なのである。
これは別に特別なことを言っているわけではなく、単純な例では「ファミコンの文化を築き上げたのは一部のファミコンマニアではなく一般のゲームユーザーでしょ?」という話と同じである。文化を築くマス層とそのごく一部の片隅にいるマニアとは別の世界に生きる存在であり、明確に線引きして考えた方がいろいろとわかりやすい。マニアがそのこだわり故に仲違いする理由は、一般ユーザーからしたらどうでもいいものであることの方が多いだろう。絶対自分で現地で買うのか、公式通販はOKとするのか、代行もOKとするのか、ヤフオク・メルカリもありとするのかなんて、一般人から見たらマジでどうでもいいマイルールであるだろうし、そんなことで喧嘩していたら白い目で見られても仕方がないだろう。
マイルールを持つことが悪いのではなく、そんなことで喧嘩することが悪いことなのである。そしてその喧嘩は、マニア以外から見たら、ものすごく寒い光景であることだろう。すげーしょうもないことで喧嘩してんな〜と。
という私の考えを受け入れられなくても「そういう考えもあるよねƪ(˘⌣˘)ʃ」という広い心で受容できる世界線になったならば、コレクター達の共存のカタチが見えてくるのかもしれない。
記念メダルコレクターが、記念メダルに仇なす存在にならないことを切に願う。私は正直仇なす存在寄りなので、自分への戒めを込めて。
2023年 年末のとある日にて
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