【販売場所】
@ミュージアムショップ付近
備考:私が訪れたときはミュージアムショップの入り口横に2台が並べられていたが、その後はショップ内の真実の口の横に移動されたっぽい
人間は暑いと何もできない
暑い
比叡山よ。なぜ君は、山なのに暑いのか。
そんなの裏切りじゃないか。山といったら「涼しい」「空気がうまい!」がお約束だろ?
それなのに暑いなんて話が違うというもんだ。最澄和尚は一体何をしているんだ? この暑さも修行の一つなのかい? 「空」を取得しろってことかい? 「空」の対立概念は暑いものは暑いと言うことだろ? だから私は言うよ——
超暑い
比叡山は昔から一度行ってみたかった場所である。私と比叡山との関わりでいえば、薬師如来御守りメダルの【高田寺】が天台宗のお寺なので、縁が深いといえば深い。【高田寺】の関係者の方と話をしていると度々ここ比叡山と延暦寺の話題が出ていたので、いつかは行ってみたかった場所の一つである。まったくの余談だが、ライバル(?)高野山と金剛峯寺には、記念メダル収集の厳しさを痛感させられる非常に悲しい思い出があるので、比叡山ドライブウェイをクルマで駆け上がっているときには龍神スカイラインを走っていたときの映像が走馬灯のように脳裏に駆け巡り、涙が出そうになった(もはや多くは語らないが【ごまさんスカイタワー】にまつわる話)。
比叡山を登るには、クルマで「比叡山ドライブウェイ」を駆け上がるか、「ケーブルカー」→「ロープウェイ」と乗り継ぐかの2択がメジャーな方法となっているが、実は京都駅から直通バスが出ている。
ケーブルカーからの眺望の評判が良かったので利用してみたかったのだが、時間があまりなかったので今回は断念。ついでにいえば延暦寺の見学も断念。延暦寺メダルを製作するあかつきには、ぜひ公共交通機関ルートにて訪れてみたい。いつやねん。
比叡山ドライブウェイは山頂までの往復で通行料金が1700円と掛かり高額に感じるかもしれないが、個人的にはまあそんなもんじゃない? という感想である。京都市内の時間貸し駐車場で1500円の駐車料金を支払った後だったので、それよりはよほど実りのある出費に感じてしまったのだから、人間の感情とは難しいものである。これ、順番が逆だったらどう思ったんでしょうね?
前置きが長くなってしまったが、そんなわけで京都市京セラ美術館からクルマで40分ほどで「ガーデンミュージアム比叡」に到着である。山登りと呼ぶにはあっさりした道のりだったことが、山の高さもそれほどではないことを物語っている。だから
暑い
もっと標高の高いところに作っていただいても良かったんじゃないかと思ってしまうくらい、暑い。
そんな格好で暑くないですか?
『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』は京都アニメーション制作のアニメ作品らしい。私はまったく知らなかったので、ヘタに語るとこの作品を愛する人たちから怒られそうなのだが、とにかく上記写真の右側の女性の名前がヴァイオレット・エヴァーガーデンさんなのである。「これまでの庭に咲くすみれ」「すみれ色のいままでの庭」(直訳)ではないらしい。アマプラで配信されていればそれこそ訪問前に鑑賞したのだが、残念ながらナッシング! Netflixへの加入を考えてしまうぜ(が、いつも考えるだけ)。
さらにいえば、原作は京アニ主催の賞レースの小説部門で大賞を受賞したライトノベルらしい。第10回までのこの賞レースで全部門を通して大賞を受賞しているのはこの作品だけらしく、そう聞くとますます観たくなるところなのだが、アマプラで(以下同文)。
園内にはアニメの場面を切り取ったパネル展示や、主人公ヴァイオレットさんの声優さんが園の概要について解説する放送が流れるコーナーがあった。予習が足りなくて全然、さっぱりわからなかったのだが、この作品を目的として訪れていたであろう正統派な人たちがとても感激していたので、きっと良い物だったに違いない。人間は良い物を「良い物である」である判断する知識がないと、ヴィトンのバーキンですら燃えるゴミに出してしまう生き物である。無知とは罪なのだ。私はなんて罪深い人間なのか。
そうしたコーナーから得た浅はかな知識としては、たぶんヴァイオレットさんは「人間兵器として育てられた少女」的なポジションで、しかし戦争が終わって自分の役割を終えてしまったため何をしたら良いかわからなかったので、郵便局に再就職して「自動手記」というお仕事に従事している——みたいな感じかしら? 間違っていたらごめんなさい。たぶんであるが、その「自動手記」という仕事は人の手紙を代筆するような仕事で、その代筆する手紙の内容を通じて、人間兵器が人の愛を学んでいく、みたいなストーリーであると推測する。電話という物が存在しない世界観なんですかね?
予習必須( ;∀;)
超当たり前のことだが、やはり作品を知っていてこそのコラボイベントである。作品の世界観が全然わからないので、等身大パネルが5枚ポンポンと置かれているのを見ても、ドコモショップに広末涼子の等身大POPが置かれているのを見たときと同じような感覚にしかならない(古すぎるたとえ)。ただ周囲の作品ファンの方々は「やっと逢えた〜」的な感嘆のため息を漏らしていたので、きっと作品世界と非常にマッチしたシチュエーションなのだろうと予想する。
マジな話、かなり観てみたくなってしまった『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』。
Netflixに加入するという選択肢以外で、どうにかして視聴する方法はないかしら〜。
お花畑でつかまえて
コラボイベントとしての魅力を私の不勉強のせいでいまいち実感できなかったので、せめて「ガーデンミュージアム比叡」の施設としての魅力を味わおうと、園内をくまなく歩き回った。
しかし、暑かった。
とても暑かった。
めちゃくちゃ暑かった。
暑かった。
暑いと、人間は生きる気力をも失ってゆくものだということを実感した。暑いと何も楽しめない。暑くても最高であることを体感できるのは、真夏のビーチだけである。庭じゃない。
この場所は、もう少し涼しい季節に、花を愛する大好きな人と来るべき場所であった。暑い時期におっさんが一人で来ると、脂っこい体臭を撒き散らすマシーンと化すだけである。とても可愛らしく煌びやかな姿でヴァイオレットさんの可憐な姿を見に来た皆々様、夏に咲き誇る花を見ようと庭園に訪れた方々、汗だくのおっさんがパンダのぬいぐるみを片手にあちらこちらをお目汚ししてしまい申し訳ありませんでした。私にはこの施設を楽しむ術がありませんでした。なんと花に興味のないことか! これほどまでに自分がつまらない人間だとは思いもよらず、私自身愕然とする想いであります。なぜだ、なぜこんなにも何も感じないのだ……
暑い
が、私の全てを司る感情であった。
ちょっくら下にある延暦寺まで修行しに行って「空」の概念を取得して暑さを克服してきます。
隅から隅まで歩き回って色々とパンダと撮影してみたのだが、花に対する理解がとぼしいせいか、良い写真が全然撮れなかったので割愛! お花が好きで、そしてそんなあなたが大好き、的な人とここに来ることができたら、その時はきっと、私もここのことが好きになることだろう……
そんな感想を抱きながら、汗だくでTシャツがスケスケになったアラフォーのおっさんが花の庭園を後にしたのだった。
記念メダルについて
このイベントでの伝説は、初日に記念メダル購入に長蛇の列ができたという一点だろう。初日に並んだ方の話では、購入までに1時間半も並んだそうで……
一言でいえば
地獄
である。あの暑さで1時間半……(´°̥̥̥̥̥̥̥̥ω°̥̥̥̥̥̥̥̥`) 人間はディズニーランドでは我慢できるものでも、その他の場所では我慢できないように神に造られているのである。
当然、即完売した。その対応に迫られることになった「ガーデン・ミュージアム比叡」は、恐らく未曾有の経験に面食らったことであろう。
完全に結果論なのだが、「あの青い販売機の存在意義とは何なのか」ということを改めて考えさせられる出来事であった。結論からいえば、「キャッチーな見た目で人の注目を集め、人件費なしで販売ができる」という点が販売機の存在意義なわけである。つまり、長蛇の列ができて人的対応を迫られるようならば、それはもう、「手売りした方が全ての人が幸せになれるよね」という話となる。行列ができた時点で人の注目を引く必要がもうないわけだし、対応を迫られている時点で人件費がかかっているわけなのだから。
そして——これは記念メダラーであれば誰もが理解している「愛すべき点」でもあるわけなのだが——あの青いあんちくしょうは、自販機というカテゴリーで見てしまったら、超ポンコツなわけである。現代社会においてPentium4でWin95を稼働しているかのような世界観の遺物ですからな……10円玉対応ができるようになったの、ごく最近だし。
おつりが出てくるまでに変なタイムラグがあるわ、100円玉が1枚ずつ出てくるわ、何だかんだで2枚連続では買いづらいわ(現金を追加投入して連続購入しようとすると失敗する。1枚800円だから事実上1枚ずつ購入するはめに……)、メダルが詰まったりお金が詰まったりなんぞ日常茶飯事である。そして記念メダラー及び熱烈な作品ファン達は当然のごとく全種類購入しようとするわけで、それが全5種とか、もはや
絶望
の2文字しか浮かばない。その後に刻印なんぞをしようと思ったら……( ;∀;)
暑さ爆発する比叡山山頂でこの事態に遭遇することは極楽浄土を目指す延暦寺の加護の下でも地獄のような体験であったことだろう。これで1時間半並んだ末に目の前で売り切れにでもなったあかつきには、最澄和尚の神通力をもってしてもその怒りを鎮めることはかなうまい。
先ほども述べたように、このような考察は結果論でしかない。記念メダル文化の探求者として、今まで想像したことすらない、非常に勉強になった出来事であった。つまり、
困ったら、さっさと手で売れ
という教訓を我々に教えてくれたのである。コーラやファンタだって、自販機に1時間も並ぶくらいならコンビニに入ってレジで買うことだろう。いわんや、記念メダルをや。
その後、恐らくこの時の教訓をもとに、あの青い販売機が2台に増設された。そっちの方向で解決するんかーいというのが私の率直な感想なのだが、これもまた記念メダル文化也。
私が訪れた時にはまったく行列はなく、何なら私以外に購入する人を見かけなかったので、大行列はイベント開始特需による特異な光景であったことがわかる。もちろんその後もポツポツと売れたようで最後には主人公のヴァイオレットさんメダルが売り切れになったことが報告された。
あとついでに、会期途中キーホルダーが売り切れたりもした。我が家の過剰在庫をぜひ分けてあげたかったぜ。
いろいろと茶化してしまっているが、不測の事態でもあの販売機での販売にこだわってしまったというのは、一社会人として理解できる心情である。現場判断ができる権限をもっている人があの場にいなかったのならある意味当然のことであるし、たとえいたとしても、前提条件を覆すほどの思い切った判断が取れる人というのは、本当に優秀な人であると思う。多くの人は目の前のことを捌くだけでいっぱいとなり「とりあえず今は予定通りの方法で乗り切って、この後ゆっくり対応を考えよう」と思ってしまいがちである。
つまり、記念メダルなんてものがこれほどまでに売れるとは誰も考えてもいなかったわけである。記念メダラーたちでさえそんなことはまったく予想できないし、恐らく『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』も記念メダルも「何それ? おいしいの?」なガーデン・ミュージアム比叡のスタッフの方々は相当面食らったことだろう。
ただ、Twitterで品切れや入荷情報を即座に配信したり、ニーズに応えて後日通販をすることを決めアナウンスをしたりと、大人気アニメゆえによる数々の事態に一つずつ即座に手を打っていく対応ぶりには、目を見張るものがあった。作品のファンの方々にとっては一々見込みが甘いように感じてしまうかもしれないが、まったくの外野目線からは、イベント終了前日までオリジナルグッズ付き入場券を再入荷させるその意欲にまこと脱帽である。後手に回ってしまっても最善手を打ち続けようとしたその姿勢は、皮肉でなく本当に、尊敬する。
そんな記念メダル界の歴史に残るような出来事に見舞われた「ガーデン・ミュージアム比叡」。この出来事に味を占めて、ぜひ常設メダルも作っていただきたい( ・∇・)
長野の御開帳&御柱に夢中になってたら、こちらに手が回りませんでした・・・
これも一種の宗教戦争でしょうか。
ちなみに善光寺にも天台宗が噛んでます。
蓋の中の人が善光寺のメダル出してくれないか密かに期待していたりw
まさしく神仏習合ですな(適当な発言)
蓋の中の人はきっとやってくれることでしょう!
善光寺のご開帳は記念メダルチャーンスでしたね!
長野は他に、岩松院、浮世絵博物館、北斎館など、北斎の浮世絵系の施設がプリントメダルと相性が良く蓋ノ屋さんが開発してくれるのではないかと密かに期待しております。