記事内容に気を遣う政治的人物メダル
書きにくい。
私は自分の大事な息子のポジション以外は右にも左にも寄っていないと自負しているのだが(のっけから不要過ぎる下ネタ)、右寄りの人からも左寄りの人からもこんなしょうもないブログに取り上げること自体をバッシングされそうな人物であるといえる。皇室メダルとはある意味では対極に位置するメダルとなっており、一つのウェブページ上で両者を共存させることに非常に気を遣う。どちらに対しても非常に気を遣うのだが、最終的には何でも書いてしまうのでいつかとんでもない攻撃を受けるかもしれない。
ただ、周恩来に関する事柄はウィキペディアをお読みいただくとして(逃げ)、ここでは裏面の「雨中嵐山」という漢詩にのみ言及することとする。共産主義系の話はいろいろと難しいし、話ができるほど精通しているわけでもないのです。近代文学には共産主義とか無政府主義とかの小説がかなりあり大学時代にそれなりに読んだのだが、さっぱり肌に合わず苦痛でしたなかったへっぽこ文学部卒でございます。石川淳の『鷹』とかマジで意味プーでしたな。作文の基本は「読み手を意識してわかりやすく」じゃねーのかと怒りに満ちる日々でございました。
雨中嵐山
メダル裏面に書かれている漢詩は、以下の通りである。
雨中二次遊嵐山,
兩岸蒼松,
夾着幾株櫻。
到盡處突見一山高,
流出泉水綠如許,
繞石照人。
瀟瀟雨,
霧濛濃,
一綫陽光穿雲出,
愈見嬌妍。
人間的萬象眞理,
愈求愈模糊,
模糊中偶然見着一點光明,
眞愈覺嬌妍。
ちなみに私、文学部の中でも世の中にまったく貢献しない学問No.1の呼び声が高い「国文学科」卒であり、しかも漢文専攻であったのだが、残念ながらこの詩は私の手に負えるものではない(悲しきほどの4年間の無駄)。「五言絶句」とか「七言律詩」とかのいわゆる詩の形式も謎であるし、押韻もまったく不明である。これは漢詩なのかとすら思ってしまう。いや、漢詩なんでしょうが。
詩の背景としては、まず、周恩来は日本に留学していたのだが、その帰国の直前に嵐山に訪れたときに詠んだものであるらしい。で、ここから彼が歩む人生を重ねて読むと、なかなか趣深い内容となっている。
内容としては
①雨の中嵐山に来てみたら、綺麗な山が現れてそこから流れ出る水のきらめきが人々を照らしている。
②雨がめっちゃすごくて霧が濃くなってきたけど、雲間から一条の光が差し込んでいてめちゃ綺麗やん。
③人間社会も真理を追求するとよくわからなくなってくるけど、その中に一つの光明を見出したときは最高だよね!
みたいな感じである。①②の嵐山での情景は、③を述べるための比喩であると思われる。漠然としたものの中で一つの道筋が見えた時の喜びを詠んだものであるわけだが、20歳そこそこの周恩来のこれから歩む激動の人生を暗示しているかのようである。逆に言えば20歳そこそこ当時の若造にこのようなことを言われたところで何も感じなかったとは思うが。人間って自分より若い人の言葉を侮りがちだよね!(ダメなおっさんの典型的思考)。
正直この詩が、詩として良いものかどうかは私にはちょっとわからない。が、少なくても周恩来の人生と重ね合わせて読むと感慨深いものであるとは思う。果たして彼は祖国において雨の中で山から流れ出る川のきらめきが、あるいは霧の中で雲間から差し込む一条の光が見えたのであろうか(とそれっぽいことを書いておけば良い的な感じで幕)。
記念メダルについて
この記念メダルの出処は正確には不明であるが、発売の経緯は大体判明している。というか「詩碑建立記念」と銘打たれているのだから、それである。
京都の嵐山にある「嵐山公園」に、周恩来が日本留学中に詠んだ上記「雨中嵐山」が刻まれた詩碑が建っている。建立は1979年のことで、この時に除幕式や祝賀会が大々的に行われたことが記録として残っている。主催は日本国際貿易促進協会京都総局という団体内に設立された「周恩来総理記念詩碑建立委員会」という組織である。
恐らくはこの時に発売されたものであると推測される。ちなみにこの組織のHPでは通販もしていて詩碑に関連したポストカードを販売しているのだが、残念ながらこの記念メダルはラインナップになかった。
人物画のメダルは現在では割と珍しい部類に入る。最も最新のものでは【IDS 10th ANNIVERSARY IDS!060】という声優の坂本真綾さんのファンイベントにて、坂本真綾さんの横顔メダルが販売された。
そのうち「人物画メダル特集」みたいな記事を書こうと考えているのでここでは出し惜しみしてしまうが、著名人の顔をメダルにしたものは意外とある。そしてそのどれもがめっちゃ怖いという悲劇に見舞われている。記念メダルと実在の人物の肖像画との相性はすこぶる悪いといえる。ふたつは出会うべきではなかったのか⁉︎
サイズは38ミリ(デカメダル)である。その点も人気なさそう〜ではあるが、肖像画の場合、31ミリ(通常メダル)よりも当然映える。
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