邪道【芳春院】 記念メダル

芳春院 記念メダル まつ
芳春院 記念メダル 外観
キーホルダータイプ。このタイプでは珍しい38ミリ(デカメダル)

 【芳春院】は京都にある寺である。前田利家の正室である芳春院(いわゆる「まつ」)が建立したので、その法名をそのまんま採用して【芳春院】と名付けられた。

 記念メダルのパッケージ情報から読み取ると、「2001年10月1日〜2003年2月2日」まで開催された特別拝観に合わせて販売された記念メダルであると推察される。これは恐らく2002年のNHK大河ドラマ『利家とまつ』の放映決定から放送終了までの期間に合わせた特別拝観であったのではないかと思われる。

 NHK大河ドラマにちなんだ記念メダルというのは実は結構存在する(『江』の【長浜城】とか『おんな城主直虎』のなおとらちゃんメダルとか)。

 この記念メダルで特筆すべきなのは、当然その「裏面」であろう。【東京都庁】や【浅草花やしき】など裏面が通常のメダルとは異なるデザインのメダルは数は少ないが今までも存在が確認されていた。が、この記念メダルの裏面は今までにないパターンのものであるといえる。

 質感からして、おそらく通常メダルのように刻印は可能であると思われる。通常メダルで刻印する部分が裏面全体に広がっているような感じである。刻印しないけど。

 なかなか凝った一品であるといえるが、いかんせんターゲットを完全に間違えているために、知名度がイマイチである。真のターゲットは『利家とまつ』を楽しみにしていた人たちではなく、全国の記念メダラーにすべきであったのである。そうすれば、少なくてもこの記念メダルを買うために特別拝観に足をのばす者が少なくても数十人はいたことであろう(適当な目算)。

 つまり、観光客を相手にお土産としてついでのように記念メダルを販売して収益を上げるのではなく、記念メダルが販売されることをアピールして来場者を増やし、さらにはその人たちは間違いなく記念メダルを購入するだろうから、グッズ販売による収益という本来の目的も間違いなく果たされるはずである。

 私は常々思っているのだが、入場せずとも記念メダルを購入できる場所にあの青い自販機を設置している施設やイベントは、この辺のことが全くわかっていないのである。「記念メダル」というものの本質を理解しないまま、なんとなく設置して、お土産として買ってくれたらな〜という軽い気持ちで稼働させていると思われる。施設への入場を自身の必須項目としていない記念メダラーにとっては余計な出費を抑えられるという点で助かるかもしれないが(そしてそれは特段悪いことだとは思わないが)、企業経営の観点から考えれば非常にいただけない点である。「顧客のニーズ」というものを把握していないという点で、いただけない。

 この考察からは、施設側が「記念メダル」に対してまるで興味がない、ということが伺い知れるという問題がある。会社として導入をしているのに、である。記念メダルに対するニーズの在り方を全く調査していないわけである。

 一般人は、記念メダルをどこで販売していようと関係なくその施設・イベントに入場する。なぜなら、そのためにそこへ来たからである。そして、記念メダルの販売場所が施設内であろうと施設外であろうと、目について興味を持てば購入する。内外がその決断に影響されることはほとんどない。

 記念メダラーは、記念メダルを購入するために訪れているので、入場しなければ購入できないならば、必ず入場する。しかし、入場せずとも購入できる場合は、入場しないことも多々ある。どちらにしろ記念メダルの売り上げは約束されているが、入場の有無には非常に大きな影響を受ける。

 以上2点を鑑みるに、どう考えても入場後に販売場所を設けるべきである。入場せずとも購入できるというシステムには、施設側から見れば一片の利益も存在しない。

 記念メダルというニッチではあるが大きなニーズの本質を真に理解している施設は思いのほか少ない。【あべのハルカス】や【スカイツリー】などは、無料エリアと有料エリアとで販売するメダルに違いを出すなど、さすがによく理解していると思う。

 以上、記念メダルの販売に関する考察であった。『利家とまつ』からだいぶ話が飛んだな〜




コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)