【販売場所①】
@バスターミナル目の前の建物2階「上高地食堂」の売店内
備考:刻印機が現在では絶滅危惧種のブラウン管でありながら、刻印の音は静かver.というギャップ萌え!
【販売場所②】
@上高地食堂の棚
備考:蓋ノ屋さんのマンホールメダル。現地販売のみ
「専用バスに乗り換え」という初心者の壁
長野県の【上高地】は長らく「壁」となっていた場所であった。その気になれば日帰りで行ける距離にあるのだが、なんとなく「専用駐車場からバスに乗り換え」というのが敷居が高く感じられたことや、「登山しなきゃならないのか……」というすっかり足腰の弱った中年おっさん日本代表の私は尻込みすること実に5年以上……
しかし歳をとり、こんな私にも心境に変化があった。
「悩み続けるより、行動した方がいい! もう……終わらせるんだ!」
もとい
「歳を取ったからこそ、むしろ登山に向いてるんじゃないか⁉︎」
というよくわからない論理に突如気が付き、数年ぶりに登山道具を引っ張り出して飛び起きる日曜日のAM3:00。
そんな一念発起をした私は、まだ日も昇らない早朝に「めんどくさい」と己の脳が考えだす前にベッドから飛び出し、「めんどくさい」に追いつかれないよう全集中力を注ぎ、全速力で長野の山奥へと向かったのだった。怠惰よりも速く、不安に追いつかれるよりも速く、何もできなかったあの日の強がってあげた笑い声よりも速く(何?)。
カッコよく書いてますが、たかが記念メダルを買いに行く話ね、これ。
【上高地】にマイカーでたどり着くには2種類のルートがあり、松本側から行く「沢渡駐車場」(さわんど駐車場)か、高山側から行く「あかんだな駐車場」かのどちらかに車を止めることになる。私は値段も安くて比較的空いている(というネット情報)の「あかんだな駐車場」を選択した。ただ、駐車場に車中泊をして早朝からの登山に備える場合等は、24時間営業の「沢渡駐車場」の方が良いと思われる(あかんだな駐車場は4時オープン)。
到着時刻はAM7:30過ぎであったが、駐車場は6〜7割くらいが埋まっていた。本格的な紅葉シーズンはもっと混み合うことだろう。というか、登山の朝は早い。私は毎朝始発の電車で仕事へ行くので早起きは得意な方なのだが、上には上がいるものである。「特技・早起き」がただの普通の行為となる瞬間。
バスは1時間に一本のペースであった。私が到着したときは偶然にもちょうどあと30分くらいで時間となる計算であったので、朝一番の爆弾投下大爆発を心ゆくまでしっかりと済まし、文字通り身も心も軽くなってしっかりとした準備ができた。いや、最高の朝でした( ´ ▽ ` )
あれほど敷居が高く感じられていた「マイカーからバスへの乗り換え」も、来てしまえばどうってことのない話でしたな〜当たり前ですが。
登山をするのかしないのか
結論からいえば、【上高地】において登山をする必要はまったくない。
むしろ、【箱根駒ヶ岳ロープウェイ】や【御在所ロープウェイ】といった、ロープウェイによるワープ登山(と個人的に呼んでいる)をする場所よりも、よほど観光そのものを楽しめる場所であった。お洒落なカフェとかあったし。
重ねて言うが、ここは山の中である。しかし山は山でも、周りを見渡す限りは箱根の芦ノ湖周辺と似たような空気感があり、グルメ等を満喫するだけで旅としては十分成立するような山の方だった。登山はいらなかった。
マジでぶらっと来て全然問題ないレベルの観光満喫施設が目白押しであったため、だんだんと
山行くの、めんどい
と山の中で思う矛盾が生まれ始めた。もうそこら辺のカフェに入って、コーヒー飲みながらちょびっと本でも読んで、もう帰っちゃっても良いじゃないかという考えが頭をもたげ始めた。
が。
それでも気持ちを奮い起こして観光エリアの奥に伸びる山道へと足を向けたのは、数年ぶりに引き出しの奥から引っ張り出してきた本格的な山装備を身に付けていたから——身に付けてきてしまったからに他ならない。せっかく出したのに使わないのはもったいないというお金持ちになれそうもないケチくさい発想だけが、私の心を突き動かした。
ほんと、全然、ここだけでよかった。ホテルのカフェラウンジでのんびりブログ執筆してきた〜とかで全然よかった!(・Д・)
それでも大自然に飛び込んで
構成としては「バスターミナル」→「観光エリア」→「キャンプ場」→「トレッキング周遊路」→「登山道」となっており、レベル(と気持ち)に合わせていかようにも楽しめる大変良い自然エリアである。【上高地】、もっと早く訪れるべきであった。!
この時点でようやく全容が見えてきた私は、当初はがんばって登山をする予定であったが、昼までに帰りのバスに乗り日が沈む前に帰宅するという「今日は日曜日、明日は仕事」シフトにあっさりと切り替えた。無理、いけない。
というわけで、1周1時間程度という周遊路をテクテク歩いていくのだった。右手にシーラカンスを握り締めながら(一回一回しまうのが面倒になって、すれ違うのは全員他人だと割り切ってもはや隠さなくなった)。
総評的な感想としては、走ったら30分くらいで終わったんじゃね? である。
まず私は、登山やトレッキング、大自然の中を歩くことは基本的には好きである。が、「それだけでサイコー! いつまででもここにいたい〜!!」というほど好きなわけでもない。登山をした時に必ず、毎回、絶対に思うのは「頂上がゴールだったら良いのに」である。頂上にたどり着いて最高の達成感を味わった後にやってくるのは、実はまだ行程の半分しか達成していないという絶望感である。つまり、下る時にはいつも「ファッキン大自然‼︎」と思っている。必ず思っている。例外なく思っている。
このように「自然を楽しむキャパが小さい」私であるので、今回の周遊路も前半の「明神館」の到着までは楽しかったのだが、帰路となる残りの半分の行程は正直歩くのがめんどくさくなって「走ればすぐに終わるのに」とぶつぶつ思いながら自然を置き去りにするようにさっさと歩いていた。しかもこの周遊路がまたトレランというかクロカンというか、走るトレーニングにはちょうど良い感じのほぼ平坦な道で、しまいには登山靴ではなくランニングシューズを履いてくれば良かったとすら思うに至った。そんなに険しい道ではなかっただけに。
飽きるのよ、自然。(※個人の感想です)
ただ登山初心者でも安心して楽しめるトレッキングコースだったので、「自然を楽しむ入門編」みたいな位置づけで彼女やら子供やらと来る分にはとてもちょうどよいのではなかろうか。実際、ちびっこや手を繋いで狭い遊歩道を歩くカップルとも多数すれ違い、その度に視線が私の左手にあるシーラカンスに注がれたものである。ぬいぐるみを持ってせかせかと歩くおっさんが山の中に一人。
唯「蛙」を「河童」とせん乎、更に光彩陸離たるべし
上記で触れたが、「河童橋」が登場する小説として芥川龍之介の『河童』が有名である。『河童』に出てきたから「河童橋」と名付けたのではなく、「河童橋」がすでに存在したので『河童』の舞台として【上高地】を選んだのではないかと思われる。
ちなみに書籍を購入しなくても青空文庫で読める。が、短編ではあるが、また、ふざけたタイトルなのでなんとなく侮りがちであるが、割としっかり腰を据えて読まないと読みきれないくらいには重量のある作品である。
概要としては、ある精神病院に入院している患者が「俺は河童の国にいったー」と述べ、その時の様子を切々と語る独白式の小説である。前半は河童の国の奇妙な習慣や価値観に割とコミカルな楽しさを覚えて読み進められるのだが、意外と長い上に、後半はかなり芥川龍之介の哲学的というか禅問答的な思想が溢れ出し始めるので、国語の教科書が嫌いだった人たちはたぶん顔をしかめること請け合いである。例えば、「阿呆はいつも彼以外のものを阿呆であると信じてゐる」とか「我々の自然を愛するのは自然は我々を憎んだり嫉妬したりしない為もないことはない」とか、なんかまあ、そういうやつである(・∀・)ナンダソリャ
で。物語終盤に、主人公が懇意にしていたけれども自殺をしてしまった河童というのがいて、その霊を降霊術によって呼び寄せるという場面がある(正確にはその場面が掲載された雑誌記事を読むという場面)。その場面で、その自殺をした河童が「めちゃ軽蔑していた」という日本人が詠んだという十七文字の詩がお馴染み「古池や蛙飛びこむ水の音」である。芥川龍之介のなんともいえないコンプレックスが見て取れる場面である。
で、対話者が「これダメなの?」と聞くと、「ダメとは言わないけど〜」と言った後に「唯『蛙』を『河童』とせん乎、更に光彩陸離たるべし」と述べるのである。
つまり「古池や河童飛び込む水の音」だったら良かったけどね〜、という話である。なんじゃそりゃ。
この場面、もう少し詳しく述べると、「死後の名声」というものをどう思うかを語る場面であり、芥川龍之介の生涯を考えると、なかなか考えさせられるところなのよね〜。
読むことをお勧めするわけでは全然ないが、読んでから行くと、なんとなく河童の国に繋がる穴を探したくなる——かもしれない。
記念メダルについて
メダルの販売場所は、バスターミナルに降り立って目の前にある建物2階の「上高地食堂」内である。私が到着したのは8時過ぎと割と朝早めであったが、そこは山登りの店、余裕でオープンしていた(たぶん6時くらいからやっている)。長野遠征を考えている方は、最初のメダルスポットをここにして早朝に訪れ、その後松本方面を回る予定を組むと、一か所多く回れる感じとなる。と思っていると寝坊するパータンだよね!( ;∀;)アリガチ
デザインとしては、昔ながらの観光地のメダルといった感じで、恐らく記念メダラーの多くからは好まれるデザインである。もちろん、私も好きである。キーホルダーやペンダントにして身に付けるにはちょっと向かないだけで。
とても良い場所なので、末長く販売を継続していただきたいものである。
なんなら、【美ヶ原】のように新メダルも〜
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