@入ってすぐ右側の休憩スペース(2020.7現在)
備考:銀カラーver.は公式HPに掲載されておらず、発見報告直前にサマーウォーズメダルが発売されていたため、このメダルを回収できずに長野を去った記念メダラーが多数いると思われる悲劇。
夏でもストーブを焚く地:美ヶ原
【山本小屋ふる里館】は、言ってみれば山小屋である。
美ヶ原高原やそれに続く山への登山を楽しむ人たちにとって、拠点となる場所である。何が言いたいかというと、半袖短パンで行くと浮くということである。周りの方々は、みんなきちんとした山装備であった。なんなら雨も降っていたので山用のカッパもきちんと着込んでいた。山で着るカッパは、雨から身を守るだけではなく、立派な防寒着の一つなのである。とりあえず、半袖短パンでちっちゃめの折り畳み傘を窮屈に差している中年の男は私一人であった。
そう、ここは山なのである。クネクネ道をひたすら走り続け、辿り着いたのは標高2000m級の地。季節は7月であったが、雨と霧も相まって、半袖短パンでは寒かった。こうして人は遭難し、様々な人に迷惑をかけるのだろう。
事実、【山本小屋ふる里館】の中ではストーブが焚かれていた。そしてそれが、めっちゃちょうど良い暖かさなのであった。この絶妙な火加減は長年の山小屋運営の賜物であると思われる。半袖短パンで濡れそぼった中年男の体を優しく温めてくれる。私の体を温めてくれるのは君だけだ(事実だけに異様に悲しい話)。
【山本小屋ふる里館】は、山小屋としての機能の他に、売店も兼ねている。また、長野名物信州そばも自慢らしく、店のおじさんに軽快な感じで「ざるそばがおすすめですよ!」と笑顔で勧められたのだが、寒かったので温そばを頼んだ私は人の好意を無にする名人である。
体もあったまったので、メダルの図柄となっている「美しの塔」までは行ってみることにした。歩いて10分程度とのことなので、走れば5分だなと思って走っていくことにした。寒いとはいっても、走れば寒くない程度の寒さではある。
ということで、折り畳み傘とクマのぬいぐるみをもってスロージョグをする30半ばのおっさんが美ヶ原高原に現れましたよっていう話でございました。
地獄への道は善意で舗装されている
あいにくの雨で——とは、よく聞かれるフレーズである。
あいにくは、漢字で「生憎」と書く。語源としては「あや」(感動詞)と「憎し」との複合語で「ああ、憎たらしい」という意味であったそうな。現在では「憎い」というよりも「残念」というニュアンスで使われることが多く、「あいにく、私は既婚者でして」みたいな使い方をする(どんなシチュエーション?)。
しかし、私はここで言いたい。この空は、語源通りの「生憎の天気」である、と。
いやまじね、山の醍醐味を全て奪った景色がそこに広がっていた。というか、広がってないというか、何も見えないというか。
しかし、「美しの塔」はそもそも「霧が立ち込めて前が見えなくなったときに遭難者の目印となるように」として建てられたものらしく、それくらいの濃霧になったときには鐘を鳴らして正しい方向に導くらしい。ということは、この霧に包まれた情景もまた、この場所のあるべき姿の一つだということになる。
そう思えばなかなか楽しい体験であったかもしれない。のどさとは無縁の体験であったが。いやー、スカッと晴れた山の景色を見たかったね!
記念メダルについて
ここは古くから記念メダルを販売している場所で、かつては様々な種類のメダルが販売されていた。というか、長野県美ヶ原周辺施設で余っているメダルが全てこの場所に集められていたイメージである(※あくまでイメージです)。具体的には【八島ヶ原湿原】の金メダル、【霧ヶ峰】の金メダルが販売されていた。
買っときゃよかった( ;∀;)
私が前回美ヶ原界隈を訪れたのは2012年の頃である。このときはいまいち記念メダルの収集方法が自分の中で定まっていなかったため、【美ヶ原高原美術館】は行ったものの、すぐ隣ともいえる【山本小屋 ふる里館】はスルーしてしまったのである。しかも【霧ヶ峰】は2012年当時から公式HPの「販売場所リスト」にて「販売中断中」の注意書きがあり、手に入れるには実質的にこの場所へ来なければならなかった——にも関わらず、私はなぜかスルーしたのであった。しかもほぼ目の前をスルーするような形で。マジで意味不明すぎるぜ当時の私……(´;Д;`)バカバカ
立ち寄らなかったのはたぶん、当時は「【美ヶ原高原美術館】のメダルと同じだったから」(※金のみしか販売してなかった)&「【八島ヶ原湿原】に行き、金銀セットで購入予定だったから」といったところであったと思われる。そう、2012年当時は【美ヶ原高原美術館】の「アモーレの鐘」メダルは販売終了していたのである。ちなみに今現在も茶平工業公式HPの「販売終了リスト」にしっかりと掲載されている。つまり、【美ヶ原高原美術館】か【山本小屋ふる里館】かのどちらかに行けばよいと考え(同じメダルだから片方で良いと考え)、前者を選んだというわけである。
ただ現在ならばブログを書く都合上、たとえ同じメダルであっても両方行くようにするだろう(【鬼怒川温泉駅】と【下今市駅】みたいに)。しかし当時はこのブログはおろか映画ブログも書いていないウブでシャイでキュートな時期だったので(何が?)、ただただ記念メダルを集めることだけを純粋に楽しんでいたうら若き時代であった。
そんなわけで、【美ヶ原高原美術館】のメダルがいつの間にやら復活していたことも含めて、美ヶ原界隈にはまたいつか訪れてみたいとずっとこの胸の奥にくすぶり続けていた小さな炎——それが、Twitterでメダル収集家である「まーくん/タガーミスト」さんの以下の投稿を見て突如として激しく燃え上がったのであった。
長野がオレを呼んでいる
と同時期に発売された『サマーウォーズ』メダルのことも相まって勝手に思った次第である。もちろん現実を考えれば、長野どころか誰も私のことなどお呼びではない。
ちなみにこの銀&カラーver.メダルは、2020年突如として更新が頻繁になり情報が充実しだした茶平工業公式HPにおいても、なぜか掲載されていない。だから、この投稿がなければ今もって息を潜めてひっそりとしていたはずである。サマーウォーズメダルが盛り上がっているのに。
これはなかなかの悲劇である。実際、サマーウォーズメダルを早々に買いに行ったがために、上記の投稿がなされる前だったため、このメダルの存在を知らずに長野を後にせざるを得なかった方が実際にいる。記念メダラーの皆様ならお分かりいただけるだろうが、それを我々は
絶望
と呼ぶ。なんなら「新作メダルなんてない方が良かった!」とすら思ってしまう。そう、愛しているが故に憎しみの炎も激しく燃え上がってしまう、アレである(あれって?)。
しかしこのとき、茶平工業にその怒りの矛先を向けることはとんだお門違いである。なぜなら、茶平工業は「言われたものを言われたとおりに作る会社」であるからだ。そう、新作が発売されるタイミングは、すべて販売店や代理店の都合でしかない。しかし我々記念メダラーは、茶平工業にとって運営していても1ミリ程度の利益しかない公式HPの情報を頼りにしている——ほとんど全てを依存している都合上、どうしても「なんで教えてくれなかったんだ!」みたいな怒り、あるいは「情報が違っているじゃないか‼︎」みたいない憎しみを抱いてしまいがちとなる。しかしそれは「親切な人がいろいろと教えてくれた100のことのうち、1、2が間違っていた」という状況でしかないことを肝に命じておかなければならない。現地での記念メダルの販売は、もはや茶平工業の手の中にはないことなのである。よって、様々な要因から「メダルを購入した直後に新メダルが発売された」という悪魔のごとき所業の責任は、実は茶平工業にはまったくないのである。
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と思ったら、公式通販で同じことやったけど(・∀・)ウケル
まあその辺はいいんですよ。はい。
記念メダルに関しては、先にも述べたように長年金メダルのみの販売であった。銀+カラーメダルはいつから販売が開始されたのかは不明であるが、昔からある金型とプリントという組み合わせでまったく雰囲気の異なるメダルを作り上げたのは、素晴らしいアイデアであるといえる。同じようなアイデアでは【国立科学博物館】のティラノサウルスメダルが記憶に新しい。
しかも今回の新メダルは銀メダルの下地が非常にマッチしているとても美しいデザインであることが純粋に評価が高い。「背景に夜を選ぶ」(晴天の空を選びそうなところを)、かつ、「あえて銀メダルをチョイス」というのはかなりのハイセンスである気がするので、フィクサー(黒幕)は誰なのか、というところが気になるお年頃である(蕎麦を注文したときに訊いてみれば良かった)。正直、長年同一のメダルを販売しているだけだった施設が、このデザイン発想に辿り着くとは思えない。とかいって、蕎麦を茹でてくれたおじさんが考案したものだったら、私は美ヶ原に穴が開くほどの土下座をしようと思います。はい。
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