長野県【美ヶ原高原美術館】 記念メダル

 この記念メダルは、基本的には美ヶ原の【山本小屋ふるさと館】という場所で販売されているものなのだが、私は【美ヶ原高原美術館】で購入したので、そちらの記事とする。記念メダルに描かれているオブジェもそちらにあるようだが、残念ながら私は【山本小屋ふるさと館】には行ったことがない。そして今後も行くことはないだろう。

 この美術館はなかなか印象が深い。まず、五月に訪れたのにめちゃんこ寒くて、雪が数センチ単位で残っていたことを覚えている。当時は軽キャンピングカーに乗りしかもノーマルタイヤで行ったので、こりゃあ死ぬな~と軽く絶望した。山道は軽の箱バンにはとにかく馬力が足りず、アクセルべた踏みで時速30キロ前後であった。後続車があおってくるが、あおってくる気持ちが逆に理解できるというね。。。

 【美ヶ原高原美術館】には「ビーナスライン」と呼ばれるクルマ好きのメッカのような道を通ってやってくることになる。そのため、広大な美術館駐車場には必然的になかなかいかついスポーツカーが集まっていた。美術館とはいっても、併設されている地域のお土産屋さんのようなところもあり、道の駅のようなテイであった。このクルマたちが、ビーナスラインで私をあおっていた奴らだ~~むしろ邪魔してごめんなさい。

 この美術館は「箱根彫刻の森美術館」みたいな、屋外展示型の巨大オブジェを鑑賞して回るタイプの広大な美術館で、山に作られているため勾配があり、サンダルで訪れることはあまりおススメできない。私は半袖半ズボンのサンダルという超ナメた格好で行ったため、入場口の係員は恐らく「ナメんじゃねぇ」と思ったに違いない。

 ここの展示物で目を引いたものを少し。

↓ドンタコス

 

 

↓進撃の巨人

 

 さて、ここでは非常に印象深い出来事に遭遇した。あまりにも不思議で、いろいろな人にこの不可思議な出来事話しまくってしまったくらいである。前職の職場で、たぶん200人近くに同じ話をしたと思われる。誇張無しで。

 何が起こったかというと、とあるオブジェの前で、ある少年が母親と何やら揉めていたのである。その少年は、その巨大オブジェを指さし、「だいこんだよ! これはだいこんだよ!」と、半ば半べそで強く強く母親に訴えていた。母親はというと、その剣幕と言葉に困惑気味で、何度同じ言葉を重ねても一向に自分の主張を曲げない息子を半ば恐れるような顔で見つめるのみであった。母親が息子に掛ける言葉は、一点のみであった。「これはとうもろこしでしょ?」

 で。

 その問題のオブジェは↓である。

 そう、つまりは、どう考えても母親の言葉が正しいのである。これを「歯並びの悪い金歯と歯茎」に間違える人間は65億人中1人くらいはいるかもしれないが、「だいこん」と間違える人間は後にも先にもこの少年一人であっただろう。しかも少年は必死であった。金塊を目の前にした人間くらい、バーゲンセールを目の前にした大阪のおばちゃんくらい必死であった。あれを俗に「ムキになっている」というのだろう。このオブジェを「だいこん」であると必死に訴えかけていた。

 珍しいものを見たものだ――そんなことを思いながら、帰りの車、ビーナスライン下りでホイールベースが短いくせにどアンダーステア出まくりの軽キャンピングカーに悪戦苦闘しながら、はた、とそれは天啓のように閃いたのだった。

 ――大コーン

 少年は、「大コーン」と言っていたのではないか!?

 突如として、私の脳裏はその考えに支配された。少年は、冗談を――いわゆる「親父ギャグ」というやつを言っていたのではないか。親父ギャグを言ったのに理解されなかったので、それであんなにもムキになっていたのではないか。

 親父ギャグを言ったのに「えっ? それどういうこと?」と理解されないことほどいたたまれないことは他にない。少年は、己の脳裏に浮かんだ些細な考えを述べたにも関わらず、想像を遥かに超えるほど理解されず、いたたまれず引き下がれず、だからこそあれほどまでに理解してもらおうと必死だったのではないか。

 しかし、すでに私は帰路につき、この考えを、当の母親に伝える術はなかった。否、たとえ仮にあの場でこの考えに至っていたとしても、見知らぬ親父が「お母さん、息子さんはこれを大コーンと言っているのですよ」と爽やかな笑顔で伝えたところで、悲鳴を上げられるだけであったろう。

 山の上の美術館に、この謎はそっと置いて来ることにした。明かされない方が良い真相というのもあるのである。




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