雅子様、という回文
逆から読んでも「まさこさま」——
この回文を紹介したのは朝井リョウ著『もういちど生まれる』である。
ずっと想いを寄せていた女の子が、主人公が毎週月曜日一緒に昼食をともにする友達と呼べるかどうか微妙なくらいの距離感の「友達」と付き合うことになったことに最後に気づく——という話の中で、その「友達」が「映画に回文がでてきて」という理由でやたらと回文を作るのだが、その中の一つとして登場する。この回文は主人公が口にし、「友達」は「低次元すぎて気づかなかった」と述べるのだが、私は非常に感心してしまった。今まで幾度となく目にし、口にさえしてきたこの「雅子様」という言葉が回文であることに一ミリたりとも気が付かなかったのである。その年月、実に26年間にものぼることになる。
まったく関係ない話だが、私は朝井リョウは天才だと思っている。私が過去言葉にできなかった想いや感性を、とてもすんなり言葉にしてくれるのである。例えば私は大学生の頃の自分を心底バカにしているのだが——つまり大学生という存在を学生の頃の自分と重ね合わせて見てしまう傾向があるのだが、上記紹介の小説は、その感性ととてもマッチするところがある。「自分のことを子供ではないと思っているが社会のことは何も知らない中途半端な存在」として描くことが非常に巧みで、自分のダメだったところや、何もわかっていなかった過去の自分をえぐり出すようにさらされている気分になってくる。直木賞受賞の『何者』とかもまさにそうでしたな。特にラストのどんでん返しは。
閑話休題。というか、本題。
令和元年7月現在、天皇皇后両陛下がご成婚されてから26年となる。お二人のご結婚は記念メダル裏面にあるとおり平成五年六月九日のことである。あれからもうそれほどの月日が流れたかのかと思うと、自分も歳をとったことがよくわかる。最近歳を取ることに20代の頃よりも受け入れがたい気持ちがあることに気づいた乙女な中年オヤジの私である。
皇室関連の記念メダルを本格的に収集するようになって、以前から割と興味のあった皇族関係のことを以前よりも深く調べるようになったのだが、興味をもった内容であるとか自分の考えとかをこの場で書くことははっきり言って難しい。ただの趣味を綴るだけのブログなのに、そこには右とか左とかの軽い話では済まなくなる思想が絡んでくるからである。「女性天皇」と「女系天皇」の違いの問題はテレビ等があんまりにも……なもので言及してしまったことがあるが、こういう問題は正しくても正しくなくてもそれぞれの反対派からは批判を浴びるものなので、それがないのはひとえに私が無名ブロガーであるが故である。有名でなくて良かった!
ネット上、特にネットニュースなんかで、現皇室のことが種々様々に語られている。「ネットの情報を鵜呑みにしてはいけない」というのは小学生でも述べるネットリテラシーではあるが、テレビの言うこともネットの情報も質的にはそれほど変わらないと個人的には考えていて、さらに個人的な印象になるが、皇室が抱える種々の問題はテレビの情報だけでは何も分からないと思っている。テレビで流される情報はテレビ局の主義主張、柔らかくいえば方針という名のフィルターを通した情報であるし(子供の頃に素直に眺めていたときには考えもしなかったほどこのフィルターはとても分厚い。ま、「ご覧のスポンサーの提供で」という言葉が何を意味しているのか分からなかったわけなので〜)、個人のメディアが大半を占めるネットはネットで誰の言っていることが正しいのかわからなくなってくるし、書籍に至ってはそもそも著者の主観の権化ともいえる。こう考えると、何が真実・事実なのかを判断するのは、「鵜呑みにしちゃダメ」と簡単に言われるほど、簡単なことではないことがよくわかる。結局行き着く先は各々の個人の考えみたいなものになるわけだが、その「個人の考え」というものも、結局は自分の目で見て確かめたわけではないことが大半なので(これだけの情報を全て自分の目で裏を取るなんて不可能じゃない?)、言い換えれば「誰の情報を信じるか」みたいなふわふわしたものに着地せざるを得ない。
ごちゃごちゃと訳のわからないことを述べておりますが、要するに良い話も悪い話もあるよ、この令和時代——ということである。はい。
酒の席では語れても、ブログ上では安易には述べられないことがる——なんでも語れたのがかつてのネット社会であり、語れないのが今のネット社会である。「語れる」と「語れない」のこの二つは、実は相反しない。「ネット上の自分を大切にするか否か」である。世の中に対してネット世界が占める割合って、とんでもなく巨大になったよねー。
という、濁しきれないお茶。結局何が言いたかったのか伝わらない文章であることの自覚あり。
記念メダルについて
ケースに「CHAHEI」の文字があり、皇室関係メダルでは珍しくはっきりと茶平工業製であることが分かる仕様である。皇室関係のメダルも茶平製であることが判明したことはこの記事で述べたが、何を隠そうこのメダルもその方から購入させていただいたものである。皇室系のメダルはデザインが凝ったものが多いので、私はかなりお気に入りである。いつか【特集記事】でまとめようかな〜と思案中。ただ記念メダラー的には刻印面がないので賛否が分かれるところであろう(というか集めいている人はきっと少ない)。令和でも何か出てるんですかね〜。何か情報をお持ちの方は、ぜひご一報を。
おもて面の図柄は「火焔太鼓」という表記が型紙にある。私は「火焔太鼓」と聞くと真っ先に落語の演目を思い出すのだが、雅楽の「大太鼓」(だだいこ)のことを、炎に似た装飾が施されていることからそう呼ぶらしい。落語の演目「火焔太鼓」のオチ(さげ)「おジャンになるよ!」は結構縁起でもないので、「あんまり良くないんでないこの図柄?」と今更ながらに心配してしまう。いや、造形はカッコ良いのだが。金型の彫りも複雑で。
裏面の図柄は「飛躍する鳩」であるらしい。個人的には鳩って別にあんまり飛躍するイメージがないので、「ふさわしい」が褒め言葉になっているのかどうか心配してしまう、、、というのは、あまりにも無粋なツッコミであるだろうか。いや、こちらも図柄はとてもカッコ良いと思うのだが。鳩の造形は意外と細かく、とても凝っている。
とにもかくにも、新時代になって記念硬貨が発行され、「バイメタルの記念メダルに似ている!」と一部記念メダラーの間で話題になったが、記念メダラー的には、記念硬貨よりもやっぱり記念メダルですな! 資産価値、価値保証があるから絶対に記念硬貨の方が周りから理解されるけど!
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