邪道【大哺乳類展2 みんなの生き残り大作戦】 記念メダル

大哺乳類展2 記念メダル 陸の動物
大哺乳類展2 記念メダル 海の動物

商業捕鯨が解禁されまして

 【大哺乳類展2】は、2019年3月21日〜6月16日の会期で開催された、【国立科学博物館】の特別展である。その名の通り哺乳類に関する展示で、博物館所蔵の骨格標本と剥製が500体以上展示されたらしい——が、残念ながら訪れることは叶わなかったので、全ては他の記念メダラーの方のSNSやブログ等でその様子に少し触れたくらいである。いやー、【国立科学博物館】の特別展系は毎回訪れるには、関東在住者以外はちょっとツライすな〜。

 哺乳類で私的に現在ホットな話題は、日本の「商業捕鯨」の解禁である。日本はIWC(国際捕鯨委員会)から脱退し、約30年ぶりの商業捕鯨解禁となったことである。

 30年ぶりって、私給食でクジラの竜田揚げ食べたことあるよ〜という方もいるかと思うのだが、それは「調査捕鯨」で捕獲されたクジラの肉である。調査捕鯨で捕獲されたクジラは有効利用される取り決めとなっているので、市場に出回るのである(委託販売会社もある。なんか天下り先っぽいよね〜)。だから、「私食べたことあるけど、今まで禁止されてたの?」と疑問に思った人もいるかもしれないが、要するにそういうことである。このことは、「調査捕鯨を隠れ蓑にして実質的な商業捕鯨をしている」という非難に繋がっている。ちなみに調査捕鯨は南極に大船団を派遣して行われるので、日本に古くから伝わる伝統文化としての捕鯨とは実はあまり関係ないという指摘が結構ある。少なくても反対派の人は必ずこの点を突いてくる。

 この問題は多分に政治的な問題を含んでいるので、この問題についての私見を述べることは控える。まあ、書籍やネットや映画作品等でこの問題を調べれば調べるほど、対立軸の構造がはっきりするだけで、「捕鯨に関しては何が真実なのかちょっとわからない」というのが、しいていうなら私の率直な感想である。賛成派も反対派も、当然ながら自分の意見が正しいと思っているので、自分の主張は理路整然と並べるのだが、相手にぐうの音も言わせないような決定的なものを示せているケースはない。たとえば相手方が示す「科学的根拠」は敢えてスルーする場合がほとんどだし(賛成派も反対派も)、科学的根拠があるといっても具体的な論文が示されていることはほとんどないんだよね〜(ネット記事だとドキュメンタリー映像のリンクが貼られていることはあるけども。ただまあこれも恣意的に作られてますからな〜)。まあそんなもんなんですかね、人と人との対立というのは。

 この問題で今でも鮮明に記憶に残っている個人的な思い出として、小学5、6年生で担任だった先生の話がある。前後のエピソードはすっかり忘れてしまったが、あるときその先生が授業の中で「アメリカはなぜ日本がクジラを捕ることを反対すると思う?」という問いを発した。当時私は母親からこの問題について「同じ哺乳類を獲って食べるのは、仲間を食べているようなもの——という理由で反対している」と聞いていたので、それをそのまま担任の先生に述べた(当時は臆せずによく発言するタイプの人間だった)。今考えればこの理屈でいけば牛も豚も食べられなくなるわけだが、当時は素直でかわいい子(?)だったので、絶対的な存在である母の話を特に疑うこともなかった。私の意見を聞いた担任の先生は「それもある。それを表の理由にしている」というような含みのある言い方をして、母親の言うことを盲信している私は、「えっ? 違うの?」とちょっとガッカリした。当時の担任の先生の言い分はこうである。

「自分たちがやっていないことを、やっているから」

 反対派の方々が聞いたらマジで激怒しそうな話だが、これは本当に学校という公の場で、教室で、生徒にとって絶対的な立場である先生が、授業中に語った話なのである。で、それを聞いた私は、「なるほど」と思った次第である。

 いや、反捕鯨派の国々がそんな簡単な理屈であるかどうかは別として、「人間が抱く理屈」として、小学生ながら非常に納得した——という話である。ここまでクジラの話で引っ張ってきたのに申し訳ないが、この話は別に「捕鯨」ということを中心に捉えているわけではなく、「捕鯨の話となると私が思い出すエピソード」でしかない。それによく考えるとこの担任の理屈もおかしなもので、「反対している理由は?」と聞いているのだから、「やっていないことをやっているから」というのは、実は理屈が通っていない。「反対していることをやっているから、反対している」という変な日本語になってしまう。が、別にこのことはこの際どうでもよい。

 で。

 人間は、自分が気をつけてやらないようにしていることを平気でやっている者を見ると、忌み嫌う。これがいわゆる「人は自分に似ている人を嫌う」と言われることの理屈である。奥底では自分もやりたくなってしまうようなこと、それでも自制心によりやらないようにしていることを、平気な顔で余裕でやっているのを見ると、腹立たしくなる。気を遣っていると自負している人ほど、こうした想いが膨れ上がりやすいだろう(気を遣っていると自負するなんて人としてまだまだなわけだが)。

 話が飛躍するようであるが、このことは、この先永遠に、日本の捕鯨がIWCから承認されることはないことを示している。IWCの主たる加盟国(というかアメリカとEUの主要国)は、「やらないように気をつけている人達」であるからだ。捕鯨問題は、科学的根拠とか人道的な立場とかクジラの殺し方の残酷さとか絶滅危惧種だいや絶滅危惧種でない種もあるとか、そういったことで議論が重ねられているわけだが、たとえこの議論に打ち勝つような決定的な証拠を提示できたとしても、恐らく双方とも納得して引き下がることはないのではないだろうか。政治的判断で撤退することはあっても。

「議論に勝っても、相手は決して納得しない。相手の自尊心を傷つけるだけだ」

 というのは司馬遼太郎の言である。自分達がやらないようにしていることをやっているのだから、認めるわけにはいかないだろう。

 この先、この「日本の捕鯨」という問題がどのような展開がなされていくのかは不透明であるが、この「日本の捕鯨が主要国から承認されることはない」ということだけは確かなのではないかなーと思うのである。

 ちなみに加盟国でも商業捕鯨をしている国は実はあるのだが、それはまた別の話なので置いておく(そして日本は「なんであいつらだけ良いんだ⁉︎」という思いを抱きそう)。さらには、「そもそも日本にクジラ肉の需要ってそんなにあるのか?」等々の話もあったりなかったりあったりで、捕鯨問題は「なぜやりたいのか」の部分でなかなか闇が深いのよね〜。調査捕鯨は税金投入していたから、選挙とか政治とかが絡んでくるしね……

記念メダルについて

 実はこのメダルは、関東に引っ越した元同僚がたまたま訪れた【大哺乳類展2】であの自販機を発見し、わざわざ購入して送ってくれたものなのである。実に着実に記念メダル文化が浸透している。ありがたや〜。私はTBSの「マツコの知らない世界」に「マツコの知らない記念メダルの世界」として出演することが記念メダラーとしての最大の目標なのだが、私の職場ではすでに「マツコの知らない世界」=「私」という図式が成立している。放送があった翌日には毎週のように「今日も出られなかったね」という声を掛けられるようになった。温かい言葉を掛けられ感無量である(愛ある皮肉という解釈)。メダルを送ってくれた方もそのような人の一人であった。たとえ記念メダルには何の価値もなくとも、人と人との絆はプライスレスなのである(それは別に記念メダルじゃなくてもいいんじゃないかという正論からはそっと視線をそらす)。

ちなみにお礼として送った品。ザ・迷惑⁉︎

 図柄は「陸の哺乳類」と「海の哺乳類」の2種で、正直デザインはつまらんですな(ひどい言い草)。一昔前のメダルっぽい、特に凝った背景もなく対象物だけをただ図示したデザインで、凝ったデザインが多い【国立科学博物館】の特別展メダルとしては「あれー?」となる。

 それでもきちんと売り上げはあったみたいで、閉幕間近に訪れた記念メダラーの方のブログでは、1種類は売り切れであったらしい(どっちかは忘れちゃった。てへ)。これは「記念メダルブームは実は再燃しているのではないか?」という考察の一つの証拠になるのではないだろうか。かつてがちょっと異常なくらい売れすぎていただけで、かつてとはまた違った形の需要は増え続けているのではなかろうか。「観光地で見かけるとつい買ってしまう」から、「イベントで見かけるとつい買ってしまう」みたいな感じで。

 「観光地」が需要の主体であった以前とは売り方が変わり、イベントやキャラクターのグッズとしての需要が伸び続けているような気がする。それは茶平工業の手腕というよりは、販売会社の手腕によるところなのだが。

 ツイッターを見ているといまだに「記念メダルってまだあったの⁉︎ なつかしー?」という投稿を定期的に目にするのだが、どんどん新しく販売される記念メダル群にひいひい言いながら必死に追いすがっている記念メダラーからすると、この認識のギャップが時折笑えてしまう。当たり前の話だが、人によって見えている世界がまったく異なるわけである。そしてもちろん、記念メダルは「見えていなくてもよい世界」であることは間違いなく、だからこそ没頭することが楽しい。

 とりとめのない話になってきたのでここで筆を置くことにするが、何が言いたかったかというと、「茶平工業って実はすげー儲かってるんじゃないの?」ということである。もしそうであるならば、記念メダラーにとっては実に喜ばしいことである。




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