【販売場所】
@イルカショー舞台内のグッズショップ前(2019.3現在)
備考:薄暗いステージの中で怪しく光っている。最近、入館前のお土産屋さんにも販売機が設置されたという噂あり。
城の崎煮て(無理)
城崎といえば、志賀直哉の『城の崎にて』である。高校1年生くらいの現代文で習った人も多いのではないだろうか。
主人公が城崎温泉に泊まって「生と死」について考える、私から言わせれば今でいう中二病的感覚の小説である。ただ大正時代にこのような小説を発表したというのが、当時では新しかったのかもしれない。主人公は事故に遭いその療養として城崎温泉を訪れているのだが、毎日の散歩の中で出会った蜂、ねずみ、イモリの死に接して(うち一匹は自分で殺しているというね)、「生と死は紙一重のものなんじゃね?」と思い至るのである。自分は事故に遭っても偶然生き延びたが、蜂もねずみもイモリも偶然死んだ(うち一匹は自分が殺したのだが)。主人公は城の崎にて生と死は対極に位置するものではなく、密接に関係しているものであるとの考えに至り、東京へ帰って脊椎カリエスにもならず無事生き延びるのである。いや、お前が石投げてイモリ殺してるやんと読者の誰もにツッコミを入れられながら。
私は文学部国文学科卒という世界の発展に1ミリも貢献しない学問を学んだ身であるので、この城崎に記念メダルがあると知ったときから、いつか必ず自分の足でこの地を訪れたいと思っていた。しかし、兵庫といってもかなり北に位置するため、兵庫にある他の記念メダルスポットに行くときにまとめて行けるような場所ではなかった。位置的にはむしろ京都の【知恩寺】(天橋立の隣)や【魚っ知館】などを訪れたときに立ち寄るべき場所であったのだが、あんまり考えてなくて(アホみたいな理由)、ずーーーーっと行けずにいた。関西の北の方って、実は行くことあんまりないよね〜
そんなわけなので、九州記念メダル巡りの旅を決行したときに、その帰路で思い切って立ち寄ることにした。「帰り道に立ち寄る」と表現するにはかなり北へ羽ばたいているが。人生における出来事とはすべて死へ向かう道程の寄り道である(もっともらしく書いているが今テキトーに考えた文)。
ということで、念願の城崎温泉である。わーい。
城崎温泉は「ザ・温泉街」というテイで情緒あふれるなかなかよい場所であった。恋人と一緒に浴衣姿で散策したらとても絵になりそうな景色が溢れていた。30半ばのおっさんがチェブラーシカのぬいぐるみと一緒に散策するのがとてもキモく写る景色ともいうが(ここに限らない話)。
やはり『城の崎にて』を一度読んでみてから訪れることを強くおすすめする。上の橋桁の写真のように、「ここがあの場所かな〜」と頭の中での想像でしかなかった情景が色鮮やかに鮮明になる感覚は、文学に親しむ醍醐味の一つである。自分が知っている土地が小説の中に出てくると、なんか嬉しいじゃん? その逆もまた然りで、小説の中でしか知らなかった土地を実際に訪れるとなんか嬉しいのである。いまでいう「聖地巡礼」というやつである。あの感覚は非常によくわかる。短編小説かつ「青空文庫」とかで無料で読めるので、ぜひ一読願いたい。ただ向かう道中でささっと読むみたいな読み方ではなく、きちんと読み込んでから訪れた方がたぶん楽しい。高校の授業等で学んだ経験がある人の方が楽しめるかな〜
一週間で6箇所目の水族館【城崎マリンワールド】。君に罪はない
そんなわけで【城崎マリンワールド】である。ちなみに城崎温泉街からは歩いていくには微妙にしんどい距離にあるので、クルマ移動となる。そのため城崎温泉街を訪れた観光客がこの場所を訪れるのかどうかは不明なのだが、とりあえず施設は非常に賑わっていた。いかにも由緒がありそうな旅館が隣にあったしね〜(写真奥に見える建物)。
施設としてはなかなかの老朽化ぶりで水槽のいたるところにコケが生えており、古くからあることをうかがわせる。が、やっていることは新しいことを取り入れながら頑張っている印象。特にアジの一本釣り→その場で天ぷらにしてくれるサービスは、他の水族館にない企画で魅力的だった。ただ私が訪れたときは休日でとても混雑していたので、肝心の天ぷらにするのが全然回ってなかった。ああもったいないな〜と思った。休日になるたびにいつもこうなのなら、ぜひ改善策を実施してほしいなーと。仕事ってのは、「不具合を絶えず修正していくこと」でもあるじゃん? 新しいアイデアを生み出したらそれでおしまいなわけではなく、それを突き詰めることもまた仕事というか。エンジニア的にいえば、開発→製品化だけで終わるのではなく、売れた後も「保守」まで含めてが仕事であるというか。エンジニアじゃないけど。
ここに限らず、地方の観光施設はこの辺がまだ昭和の観光地クオリティなのよね〜ってお前は一体どのポジションから意見してるんだと言われそうな冴えない30代おっさんのあてにならない話。普段の客入りを考慮すると混在したときの需要には合わせられないのかな。
まあ要するに
私、釣りしたかったのに
という、ただそれだけの話である。釣りは好きなのでぜひしたかったのだが、天ぷらにはそこまで興味がなく。で、天ぷらでそんなに待つのはちょっとな〜と思ったので、結局釣りも断念したという話なのである。そう、これは私のWA・GA・MA・MAな話なのであった。
いろいろな取り組みにチャレンジし、他の水族館との差別化が図られていて古い施設ながらとても活発な経営をしている印象を受けた。その割にはいまいち楽しめなかったのは、単に私がここに至るまでの道程で水族館に行き過ぎたからかもしれない。君と僕とは出会い方が悪かったのかな……
いまいち乗り切れないままあとにしたためどうもハッピーな感じの記事が書けなかったが、少なくても「城崎温泉」は最高にハッピーだったため、【城崎マリンワールド】&「城崎温泉」とセットで楽しんでいただければ間違いはないよ! ということは保証いたします。せっかく訪れるのであればぜひ温泉も味わっていっていただきたい。もちろん『城の崎にて』を読んだ上でね!
記念メダルについて
茶平工業訪問時によく考えると顔色の悪いセイウチのメダルをいただいていたので、残りの二枚を購入した。販売機の設置場所はアジの釣り堀をさらに進んだところにある、イルカショーの舞台の隣にあるグッズショップである。
ペンギンとセイウチは、よく考えると「なんでこの配色なの?」と思わなくもないのだが、デザインは非常に可愛い。このメダルがいつ製作されたものなのかは不明であるが、サンリオがやたらと流行った80年代後半から90年代前半くらいのちょっと古めかしい可愛さである点は否めない。が、可愛らしい。可愛いものが好きなキモいおっさんとしてこの世に名を馳せている私は決して嫌いではない(リラックマとか好き)。ただこういったちょっと古いテイストのメダルは、売り切れたら絶版になるのではないかとちょっと心配してしまう今日この頃。有名観光地代表としてずっと販売し続けてね〜
(過去記事)
茶平工業訪問時に、着色職人の方が塗料の試し塗りの素材として使おうとしていた物をちょっと待ったコール(古い)をして手に入れた一枚(セイウチメダル)。物の価値は実に人それぞれである。
私は文学部国文学科出身なので、城崎といえば志賀直哉の『城の崎にて』である。私は志賀直哉も『城の崎にて』もどこがよいのかさっぱりまったく1ミリたりともわからないのだが、『城の崎にて』は前職の仕事上読み込んだ教材なので、いつか訪れる日が来たら、その辺も絡めてレポートしたい。もちろん城崎温泉にも行きたい。首に串の刺さったネズミが川で溺れているところを見たい(いや、見たくない。『城の崎にて』より)。
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