「子供」の発見
【国際児童年】とは、国連が1959年に採択した「児童権利宣言」の20周年を記念して1979年に定めた年で、その10年後の「子どもの権利条約」採択に繋がるものであった。その目的は
①児童福祉についての関心を高めること
②児童の為の計画が経済社会開発計画にとり不可欠の要素であることの認識を深めること
とされる。①はぶっちゃけかなり漠然としていて「そりゃそうだろうけど」という感じなのだが、②はとても重要であると感じる。「児童の為の計画」が「経済社会開発計画」と密接な関係にあることは疑いようもない。子供はいつか大人になり、社会の担い手となるからである。しかしそんな単純な話ではなく、「子供を経済活動から保護する為」という点も忘れてはならない。「児童の為の計画」を立てることは、将来の経済活動の担い手として保護することーーつまり、子供であるうちは経済活動から切り離すべきであるという一面もある。
なかなかガチな話となるが、「子供は、『小さな大人』ではない」と著書『エミール』の中で指摘したのはルソーで、ルソーは1700年代(18世紀)の人間である。つまり、逆説的に言えば1700年代までは「子供は小さな大人」として扱われてきたということになる。このことはよく「子供の発見」と称されるのだが(教職教養などを勉強すると100パーセント出てくる)、ルソーが「子供」という概念を「発見」するまで、子供は小さな大人として、大人と同じような仕事をさせられたり、(今にして考えれば)無茶な要求をされたりしていたということになる。
子供と大人とは明確な区別があり、子供の発達段階に応じた「教育」が必要であるとしたのがルソーの考えである。この点に現在異論を唱える人はほとんどいないだろう。当時はいただろうが。なんたって、「子供」は発見されたものなのだから。ーーちなみにルソーは「子供時代は善なのに、だんだん悪いことを覚えて悪い大人になっていく」という考えのため「消極教育」の推進者であり、この辺で好みが分かれる。ルソーのいう「消極教育」とは「大人の世界の余計なことは教えないで、まずは情緒面から育てろ」というもので、大人の世界のことを教えるのは15歳くらいからで良くね? というものである。基本的にはいわゆる「性善説」というやつなのだが、孟子が唱えた「性善説」とは微妙に異なるので注意が必要。
乱暴な説明なので、気になる人は『エミール』を読むべし! すげーつまらんけど! 三ページ読んだら眠くなること必至。
中学校の社会科だと、ルソーといえばロック、モンテスキューとセットで出てきて、その著作も『社会契約論』なんだけどね〜(民主主義的な話の中で出てくる)。教育学を学ぶと途端に『エミール』に早変わりする。関連があるようなんだけど、よく知らない。そして、知ることも決してないだろう。興味がなさすぎるにもほどがあるのである。
また、現在ではルソーの考えに異論を唱える人はいないといっても、それは平和な文明社会の話であって、つまりは「余裕のある社会」の話であって、そうは問屋が卸さない世界というのも、現実としてまだあるわけである。そんな中、子供には例外なく「生きる権利」「育つ権利」「守られる権利」「参加する権利」があるんだーとしたのが子どもの権利条約である。ものすごく極端な例を挙げれば、例えば「少年兵」とダメ、絶対。と言っているわけである。
何が言いたいかといえば、子供が「子供」として生きられるようになったのは実は結構最近のことで、そうでなかった時代の方が人類史的には遥かに長いんだよ、ということである。しかし、子供が「子供」であるためには社会に余裕がないとなかなか難しいというの先に述べたとおりで、もっと小さな規模で考えても、生活に余裕のない世帯では子供は早くに働きに出るなど「早く大人になること」が要求されるのに対し、余裕のある世帯では幼少期からお稽古事などを含めて有り余るくらいの教育が施され、なんなら大学院の博士課程まで面倒みるよといった長期間の教育を受けられるという格差が存在する。端的に言えば、金の有る無しで「子供でいられる期間」が決まってくるのである。国の経済力時代に格差があれば、「子供でいられる期間」の長短が国によって全く違うのは自明の理であるわけである。
よい世の中になるといいね! というここまでつらつら書いておいて乱暴な着地。
記念メダルについて
この記念メダルのルーツは実は不明で、どこでどのように売られていたのかわからない。ただ【国際児童年記念】は、先に紹介した【宇宙科学博覧会】に協賛したので、もしかしたら同じ会場で売られていたのかもしれない。どなたか詳細求む!
ちなみに茶平製かどうか非常に判断を迷うメダルもある。シンボルマーク面の造りは茶平製とほぼ同じように感じるが、飛行船の面は、周囲の模様があまり茶平っぽくない印象。うーん、謎。誰か教えて〜
おまけ ゴダイゴがテーマソングを歌うということは、ゴダイゴは国際的バンドということだ!
↓国際児童年のテーマソング、らしい
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