神奈川県【日産スタジアム】 記念メダル

日産スタジアム 記念メダル マリノスケ
日産スタジアム 記念メダル スタジアム
旧メダル(【横浜国際競技場】という名称だった時代のメダル)
記念メダル販売場所

【販売場所】
@グッズショップ前
備考:【マリノスタウン】でも同じメダルを販売していたそうな。※販売終了

一番かかるのはいつだって人件費なり

 私はサッカー小僧なので、サッカー系の記念メダルはとりわけ嬉しい。(【セレッソ大阪】などもよい思い出)。【日産スタジアム】は、言わずと知れた「横浜・F・マリノス」のホームである。マリノスの練習拠点であった横浜みなとみらいの「マリノスタウン」でも販売していたようだが、残念ながら「マリノスタウン」そのものがもうない。横浜・F・マリノスは昨年度、チームの内外で大きな変革を迎えた。中村俊輔のジュビロ磐田への移籍は大きな話題となったが、私はどちらかというと「サッカーチームの運営」という点の方が興味があるので、素直に「費用対効果が薄れたのかな」と思っただけである。中村俊輔が年俸3000万くらいでずっとプレーしてくれるのなら、まだマリノスに残っていたと思うけどね。そういうわけにもいかないだろう、お互いに。

 プロサッカーチームの運営というのは、研究してみると、どのチームも薄氷を踏むような経営の仕方がなされていることがよくわかる。それは単純に「収益がなかなか上がらない。採算が取れない」みたいな話だけではない。そもそも来年度予算を、来期のスポンサーが決定する前に組まなければならない点に、構造の歪みを感じてならない(今は変わっているかもしれないが。どうなの?)

 例えば、名古屋グランパスのように運営母体がそのままメインスポンサー(世界のトヨタ)であるようなチームはまだマシだろう。しかしかつての大分トリニータのような、小口のスポンサーを集めまくってどうにか運営を成り立たせているようなチームにこれは厳しい。わかりやすくいえば、名古屋グランパスは今期も来期も来々期もその先も(恐らくは)ずっとトヨタが胸スポンサーになって一定額(多額)のお金を渡してくれるだろうし、決定ではないにしろ予算を組む段階でいくらくらいもらえるか大体把握させてもらえるだろうが、大分トリニータは一年ごとに「今年はどこがスポンサーになってくれるかなぁ……」という不安が常にあり、毎年スポンサー集めを必死こいてやらねばならなく、全然収入の見通しがたっていない段階で予算を組まなければならないのである。プロ野球と違って巨大企業がチームの運営を担っているわけではなく、あくまで企業は「スポンサー」としてお金を渡すだけであり、スポンサーであるかぎり「スポンサードをやめる」という選択肢が常にある。大口スポンサーにやめられると、チーム運営は簡単に傾くことになる。「薄氷を踏むような経営」というのは、このような点を述べている。胸スポンサーがないようなチームがあったら、超絶マズイ事態を表しているのである(かつての大分トリニータは胸スポンサーがない時代があった。いろいろと複雑な事情があるが)。

 横浜・F・マリノスのメインスポンサーは言わずと知れた日産自動車である。そういう点で、横浜・F・マリノスの経営は今までゴーン元社長が間接的に握っていたといっても過言ではない。運営側としては、もらえるお金の中で経営を考え、その枠の中でどの選手と契約をするかを考えていくわけである。

 どの仕事でもいえることだろうが、高給取りの年寄りを一人雇うより、同じ金額かそれ以下で若者を二人雇う方が良いな~、と経営的に判断したい場面というのはないだろうか。公務員や一般企業であれば、たとえそう思ってもおいそれとはそれを実行できるわけではない。しかし、プロスポーツ選手の世界は、それができるのである。逆に言えば、それができるような仕組みにわざとしているともいえる。

 仁義や恩義が絡むと話は複雑になるが、金などの数字だけでみると、「費用対効果」というものを常に考えなければならない。極端に言えば、他より結果を残しているだけでは足りないのである。「費用に見合っているか」という点が常に求められる。

 私もだいぶ年寄り方面に片足を突っ込んできたので、若者たちから「あなたは費用対効果に見合っているんですかね? 若い人一人雇った方が、安くて仕事もよくできるんじゃないですか?」と言われないように気を付けなければならない。もう言われているかもしれないけど。

世の中はネーミングライツ戦国時代

 冒頭に掲載した旧メダルの裏面に書かれている【横浜国際競技場】は、現「日産スタジアム」の正式名称である。いわゆるネーミングライツ(命名権)という金の話である。ネーミングライツを最初に考え出した人は非常に頭が良いと個人的には考える。年間億単位の赤字を計上する市財政のお荷物であったこうした運動施設に対して、基本的には何も必要とせず利益を補填する仕組みとして考え出されたこの制度は、今ではやらなきゃ損くらいの勢いで広く浸透した。愛知県にある「一宮総合体育館」なんて、3つあるアリーナに別々にネーミングライツを設定して収入源を3倍にするというウルトラCをやってのけている(ちなみにメインアリーナが「DIADORAアリーナ」、サブアリーナ二つがそれぞれ「いちい信金アリーナA」「いちい信金アリーナB」である。いちい信用金庫の大盤振る舞い)。ちなみにこの体育館と大きな意味では同じ敷地内に、完走までに12ヶ月間を要するスタンプラリーメダルがあることで有名な【138タワーパーク】がある。

 これはネーミングライツを批判する内容では全然なく、むしろもっと積極的にやるべきだと訴える話である。こうした行政の施設(【横浜国際競技場】は横浜市所有)は大抵利益を生み出せずに維持費だけで赤字となる施設と成り下がるのだが、いわばニックネーム権を貸し出すだけでその赤字をある程度補填できるのである。まあ「日産スタジアム」という呼称に関しては、現在では初期の契約時より半額になってしまったが(日産側に「高くて契約更新できない」と言われたので他に公募をかけたが借り手は現れず、半額にして再公募したら日産が応募してきたというオチ)。

 利用者の目線からいえば、例えば先に出た「DIADORAアリーナ」で言えば、私はフットサルプレーヤーなので、サッカー用品でわりと大手の「DIADORA」の名を冠している場所でフットサルをするというだけで、妙にテンションが上がる。行ってみるとほんと普通の体育館なのだが(かなり広くて綺麗だけど)、「今日はDIADORAアリーナで試合ね」と言われると、フットサルの聖地でプレーする感が生まれる不思議。実際、この「DIADORAアリーナ」ではほぼフットサルの利用しか見たことがない(休日昼間は近隣の学校部活動の市民大会が開催されているみたいだが)。

 つまり、ネーミングライツの契約先によっては、思わぬ神格化が生まれることもあるのである。需要(想定される施設利用者)とマッチすれば、契約料以上の効果が生まれる可能性がある。ただこのマッチングがこれほどぴったりとハマった例はどちらかというと少ないかもしれない。

 また、ネーミングライツは文字通り「名」はあるものの実態はない非常に曖昧な「商品」であるので、ほどよい価格設定というのが難しい。【横浜国際競技場】の例では、言ってみれば日産の思惑通り当初の半額(年1億5000万円)で再契約できたわけで、横浜市からしたら一度は年3億円で契約できていただけに苦渋を舐めさせられた思いであることだろう。しかしながら、ではそもそも年3億円という価格が果たして適正だったのかどうかという問題がある。適正かつ合理的判断による価格であるとしたら、日産が再契約を蹴って他に公募をかけた時点で、どこかから応募があったはずであるわけで、それが一社もなかったというのは、普通に考えれば「高すぎ」ということでしかない。それを半額の1億5000万円にしても結局「日産」一社の応募のみというのは、年1億5000万円でも高いということを意味している(ま、いろいろあるのかもしれませんがね〜このあたりは)。

 このように考えると、一地方の一体育館におけるネーミングライツの価格がいくらが適当であるのかを考えるのは、かなり難しい。応募する企業側もネーミングライツにかける宣伝広告費から生まれる費用対効果は実に計りにくいので、「地域貢献」的な側面が強くなる可能性は否めない。「地域貢献」に、多額の費用を期待するのは難しい。行政側も、CSR的な側面に訴えて契約を勝ち取る手法になるのではなかろうか。

 日産も、横浜F・マリノスの存在があるからこそのネーミングライツ契約であろう。【横浜国際競技場】が「日産スタジアム」と呼称されることで生まれる利益がそこまで大きいとは思えない。

 ただ、行政側は価格をかなり下げてでも行う利点はあると思うのである。なんといっても、元手が掛からないのだから。最低でも、契約時に掲げる企業の看板やら広告やらを補う費用さえ稼げれば損はしない訳である(人件費を加味すればそれだけではないだろうが、その辺は行政ということで←謎)。

 最近では名古屋市が「歩道橋にネーミングライツ」を募集したことで話題となった。名古屋市のやり方は「歩道橋への表示とその消去はすべて契約企業の負担」という一円も損をしないものであった。まったく損をしないやり方でありながらまことに堂々としたやらせてあげる感の溢れる募集要項には、一周回って神々しさすらある。さすが政令指定都市の行政である。天晴れ。

 このような形もあるわけなので、市町村行政管轄の体育館等も、募集するだけしてみたらと思うのだがいかがなものか。応募がなければやらないだけなのだから。




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