@マンボウの水槽横
備考:令和3年3月末をもって閉館。※販売終了。
マンボウにまた会える日まで
【志摩マリンランド】閉館の衝撃が記念メダル界を駆け抜けた――
もちろんこの衝撃は記念メダル界に限ったことではなく、水族館好きの方たち、三重に住む人たち、この場所が大切な思い出として心の中に刻まれている人たちの間で話題となった。
普段、「道端に放置されたまま数日たった犬のフンよりカピカピに心が乾いている男」という異名をもつ男・私であるが、【志摩マリンランド】の閉館のニュースは、なんとそんな私の心をさえ激しく動揺させるできごとであった。というのも、この【志摩マリンランド】は、記念メダルを集め始めて初めて「水族館も面白いもんだなぁ~」という想いを抱いた施設だったのである。いうなれば私の初体験だ! いや、本当に。
それまでの私ときたら、幼い頃、父に何度も連れられ訪れた【江ノ島水族館】(私の地元)と【松島水族館】(父の地元)に抱いた感想が「つまらん」しかなかったので、水族館にまったく興味がなかったのである。魚を見て喜びを見出す気持ちがまったく理解できず、私の中では水族館の魚も鮮魚売り場に並ぶ魚もまったく同じものであった。それにもかかわらず父は子供たちを水族館に連れていくことで父親としての家族サービスを果たしているかのような満足気な様子であり、反抗期街道をまっしぐらに爆進していた私としてはそんな様子がますます気に食わなかったので、いつしか水族館のこと自体を嫌悪するようにまでになっていたかもしれない。大学生になり、デートコースとして水族館に行くこと自体は別にそれほど嫌ではなかったのだが、それもあくまで魚自体を楽しむためではなく「デートの雰囲気を楽しむための演出」といった役割に過ぎず――そして実際、いつの間にか各地の水族館は薄暗く幻想的な雰囲気を演出する傾向が強くなってきた――水槽の向こう側にいるのが海洋生物であろうが陸上生物であろうが絵画であろうが彫刻であろうがなんでも良かったといっても過言ではない。要は冷暖房が完備されていて屋根があって(雨が降っても大丈夫)薄暗く幻想的なBGMが流れていて手を繋いで体を寄せても良さげな空気感さえあればなんでも良かったのである。いや、本当に。
くどいようだが、そんな私が初めて「面白い!」と感じた水族館がここ【志摩マリンランド】だったのである。だから本当に、このニュースはショックだった。Twitterの公式アカウントが閉館のニュースを発表しているのを目にしたときには、「必ずもう一度行こう」と固く決意したのであった。私は実は、同じ施設に二度行くのはあまり好きじゃないので、このような想いを抱くのは本当に珍しいことであった。大げさな物言いになってしまうが、、私の中では「水族館」≒「志摩マリンランド」だったのである。いや、本当に。
そんな中、二度目の緊急事態宣言の発出があったり、私の資格試験の勉強があったりとなかなかタイミングが取れない中、令和3年3月12日というど平日に有休を取得して訪れた次第である。無理しちゃった♡
51年間ありがとうございましたってお礼対象の期間が長すぎて逆にその偉大さが想像がつかない問題
平日の開館と同時に訪れたにも関わらず、館内は混んでいていて、第1駐車場は早々にほぼ満車となっていた。51年という月日がいかに多くの者の心の中に【志摩マリンランド】という水族館を根付かせてきたのかの一端を垣間見たような思いであった。一方で、その愛をもっと早くに、まんべんなく注ぐことができたならばもっと延命できたのかもしれないという私自身への在り方も含めた、なんとも複雑な思いを胸に、入り口のペンギンたちと記念撮影をしたのだった。記念撮影用の立て看板に雑に切った海洋生物たちの塗り絵を貼っただけの様子が、この水族館の良さを物語っていた。皮肉ではなく。いや、本当に。
館内を歩き出すとすぐ、自分がまったく何も覚えていないという愕然とする事実を思い知らされた。これが人の老化現象というものなのか!? おかげで非常に新鮮な気持ちで各展示を見ることができた(前向き) 何なら私は一体何にそんなに感銘を受けたのかすら覚えていなかった。
くどいようだが、マンボウの水槽周辺以外は本当に何も覚えていなかった。入り口を抜けてしばらく展示内容を見ていると「カップル向けの、雰囲気の演出のための道具として水槽と海洋生物を使う大手水族館とは違い、生き物の面白さが伝わってくるなー」と恐らく9年ほど前とまったく同じ感想を抱いた。9年前と何ら変わっていない自分がそこにいた。この水族館の良さはともかく、9年前の自分と同じでよいのかアラフォーの私よ、と思った。人は年齢を重ねるとともに成長していく期間と、逆に退化していく期間とがあると思っているのだが、この9年間ですでにその山を登り終え、今は下っている最中なのではないかという恐怖心でいっぱいになった。私の人生は山の頂を目指していたと思っていたら、8年間の間に8年前と同じところにまですでに下山していたのである。あとは下りていく一方だということになる。悲しい。
そんな私の寂しさを慰めてくれるかのように海洋生物たちがパンダのぬいぐるみを小脇に抱えたおっさんにつぶらな瞳を向けてくれるのであった。
生きている生物だけではなく、その他の標本展示やお手製の解説看板などもこの施設の魅力の一つである。マジ硬派である。そこにはカップルに媚びるような空気感は一切ない。そこからは「我々は海洋生物の研究をしているのだ! カップルがイチャつくための場所をを提供しているわけではない!」という強い意思を感じた(偏った見方&施設は貰い事故)
う~マンボッ‼
【志摩マリンランド】といったら、言わずもがなでマンボーだ!
そして、薄暗いマンボーコーナーのすぐ横でメダル販売機&刻印機が8bitの光を放ち続けいるので、記念メダラー的にも早く来たくてしょうがない場所でもある。とりあえず記念メダルを購入しないと落ち着いて見学できないという記念メダラーたちの悲しきSA・GA。
つまり、何がなんでも早々に記念メダルを購入する派(私です)にとっては、最初に、心穏やかに、ゆっくりと鑑賞する生物がこのマンボーになるという構図でもある。記念メダルを購入した安堵の後に見るマンボーは、よりいっそう優雅に見える。LOVE。
私はここに、実に30分ほど滞在してしまった。何度も言うようだが、マンボーはこの水族館の象徴である。このマンボーの背中には、【志摩マリンランド】のすべてが背負われていのだ。その大きな役目が、もうすぐ終わろうとしている。ぜひゆっくりと、穏やかに余生を過ごしてほしいと願ってやまない。
記念メダルについて
閉館に向けて、記念メダルが売れまくったことでTwitter界隈で話題になった。
3月末での閉館告知があってから一度品切れがあったのだが、なんと閉館するにも関わらず再発注をしてくれて、補充してくれたのであった(たぶんマンボウメダルのみだが)。その神対応ぶりに記念メダラーたちは感動したのであった(もちろん「売れるから」という目論見はあったと思うのだが、そういうことではなかったと個人的には思っている。なぜなら、売れ残るリスクを背負う必要はもうないんだもの)。
しかしながら、再発注をかけた記念メダルもまた、閉館を待たずして品切れとなってしまった。
ただ、これこそが、記念メダルとしての本来の在り方なのではないかと思う次第である。
そう、「記念」に非コレクター勢のみなさんが買っていったわけである。だからこそ、完売したのである。
記念メダル収集などという阿漕な趣味に没頭している私であるが、記念メダルの真の発展を願うならば、本当はこうした需要が重要なのであろうなぁ~と、いろいろと思うことがあった。つい、コレクターにとっての「良さ」とか、なんなら「配慮」とかを求めてしまいがちであるが……。例えば、記念メダルの通販なんて、本当はコレクター商売にしかならない可能性が高いものである。そこには何の記念もないのだから……(もちろん、私は通販して欲しい派なのだが)。そう考えると、手間とかクレーム対応とか(コレクターの方が細かいことを言う確率は高い)を考えると、私が経営者だったら「ぜひ現地で記念としてお求めください!」と言ってしまうような気がするのであった。
そんなこんなでいろいろと考えさせられた「施設閉鎖に伴う記念メダルはン🄱内終了」という件であった。何はともあれ、無事に購入できたよかった!
(過去記事)マンボウが内に秘めたるモノ、見たいかい?
この水族館のウリはマンボウである。マンボウと御年20歳を超える(正確な年齢を忘れた)巨大なエイが同じ水槽で泳いでいる。マンボウの飼育は難しく、展示されている水族館は私はここしかしらない。マンボウは傷つくとすぐに死んでしまうため、ここのマンボウ館の水槽も水槽の内側が一面透明クッションで覆われていた。
古くからある水族館なので、建物の古臭さや水槽の汚さは正直否めない。しかしながら、ここは私が訪れた中でもトップクラスの「学術系水族館」(カップル向けでない)で、いろいろと珍しい展示物があって心が惹かれた。もちろんマンボウが漂う姿も良かったのだが、一緒に泳ぐエイの貫禄にときめいた。泳ぐというか、沈んで身動き一つしない姿に「貫禄!」というフレーズが浮かんだ。真の大物は、ちょこまかとは動かないのである。私はこまねずみのように動き回り、馬車馬のように働いている。
また、展示パネルに、マンボウが解体された写真があって、これがグロくて良かった。
マンボウの腹を裂くと生々しい内臓がぎっしりと詰まっている(当たり前だが)。考えてみるとマンボウの生々しい姿を想像したことがなく、なかなか衝撃的だった。この写真(の写真)を当時隣の席に座っていた女性の同僚に「すごいものがあったんですよ~」と嬉々として見せたら、「はい」と若干引かれた。ちなみにマンボウの体内には40種類以上の寄生虫がいるらしい。。。
また、奇形のタコの標本が展示されていて、その足の数は36本くらいあった(正確な数を忘れた)。なかには「これも足に勘定するのか?」というところまで数に入れていたが、とにかくすごかった。女子には全くウケないだろうが、とにかくすごかった。
私が訪れたのは午前中の朝一番だったということもありほとんど客の姿がなかった。すきすき過ぎてドクターフィッシュでは右手も左手も綺麗にしてもらってしまった。
そんな光景に一抹の不安を覚えるのだが、ぜひとも存続してほしい場所である。
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