この年の【東京モーターショー】は非常に思い出深いものとなった。
当時の私は軽自動車のキャンピングカーに乗っていたので、クルマ好きの友人と「会場近くのサービスエリアで車中泊をする」という方法で前日入りしたのである(ちなみに♂)。恐らくその車中でのまったり感やごちゃごちゃ感が遠因にあると思われるのだが、いざ会場のビッグサイトに着くと、その友人は車内にケータイを忘れてしまったのである。しかし車のイベントだけに近くの駐車場はすでに軒並み満車で少し離れた駐車場に停めていたため、「めんどくさいからまあいいや。大丈夫だろう」とそのまま入場。そして案の定はぐれるというベタベタな展開となったのである。しかしはぐれたときは会場内に設置されていた「連絡掲示板」で所在を明らかにしようと話合っていたので、私はそこに「〇〇時に車で待ち合わせ」という伝言を書き残し、会場を早々に後にし東京駅まで他の記念メダルを買いに行ったのであった。。。
その後、戻ってきたときに「ゆりかもめ」の車内から自分の車がみえ、そのサイドミラーに友人の物らしき手提げかばんがかけられているのが見えた。その時「ああ、掲示板を見ていないな」ということが直感でわかり、いたたまれなくなるとともに、「打ち合わせしたおいたはずなのになぜ見ていないんだ」という申し訳なさの裏返しのような怒りが己の中に湧いた。その後は車で待っていて、やがて友人が車に戻ってきた(もちろん掲示板に書いておいた時間ではない)。私は申し訳なさでいっぱいであり、その申し訳ない気持ちに自分が押しつぶされないように怒りに変えて、自分がいままで実に有意義に過ごしていたこと、連絡掲示板で待ち合わせ時間を書き残しておいたからその時間まで思う存分楽しんだということを、攻撃するように語ってしまった。私は悪くないんだ、と。掲示板を見ていないお前が悪いんだ、と言わんばかりの口ぶりであった。
そんな私に向かって、友人が言った一言は、
「お前がつまらない思いをしてなくて良かった」
というものだった。
その一言で、私は自分の愚かさ、器の小ささというものを知った。常に相手のことを先に考える人間というのがいるんだなぁということをまざまざと思い知った。
なんなら、抱かれてもいいとすら思った(くどいようだがお互い♂)。
そんな一生の思い出が詰まった一枚なのであった。
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