【販売場所】
@1階売店奥のトイレ横
備考:こんな辺境の地なのに、あるいは、こんな辺境の地だからこそ、刻印代が50円
髪の毛くろはえ 笠上黒生(かさがみくろはえ)でございます by 銚子電鉄
【銚子ポートタワー】は千葉県の東のエデンに存在する展望タワーである。周りに何もなくてマジでビビった。スーパーミラクル偏見になるが、ここにゴミ焼却場を建設するか銚子ポートタワーを建設するか迷ったんじゃないかというくらいの立地である(どういう意味やねん)。
クルマで来ればなんてことはない場所である。が、私は電車で来たもんでまさか東京から3時間半も掛かるとは想像だにしていなかった。【千葉ポートタワー】とかにぶらっと向かう感覚で出発してしまった私が未熟であった。日本は広かった。
公共交通機関でここに来るには「銚子電鉄」という私鉄に乗る必要があるのだが、これがまた生成AIに「赤字路線の電車を描いて」と頼んだら数秒で描かれそうな味のある電車&駅舎であった。
さらに、ここ【銚子ポートタワー】と【地球の丸く見える丘展望館】は恐らくセットで予定を組む人が多いだろう。で、この銚子電鉄の本数の少なさ&目的地の駅からの遠さが両方相まって、スムーズな予定を組むのがかなり難しい。私はこちらに先に来て、後で【地球の丸く見える丘展望館】に行ったのだが、本銚子駅で電車を待つ時間で【地球の丸く見える丘展望館】まで徒歩で行ける——ただし5キロ徒歩1時間だけどな! という選択を迫られることになった。
さて、ここから【銚子ポートタワー】は徒歩で25分ほどである。もちろんこの駅にはタクシー乗り場もバスターミナルもない。電車の車内放送で「上り調子、本調子、本銚子でございます」と不気味なほど陽気な声でアナウンスされるのだが、調子を整えて来ないとここからの旅路は本当にツラいものとなるので、前日は7時間睡眠必須である。
余談であるが、この銚子電鉄に乗ったらなんと運転手も車掌も茶髪の若い女性で、印象としては差し詰めご当地アイドル的な雰囲気を醸し出していた。気になってGoogle先生に「銚子電鉄 車掌 かわいい」で調べてみたら、なんと写真集すら発売されていたのだから今の世の中は何でもアリである。
そんなわけでえっちらおっちら民家の間を歩き続けること十数分、遠くにいかにも歴史を感じさせる展望タワーが見えてきた。ダサかわいい姿でそびえ立っている。
これだけ歩くと便意を催すのが人類の理である(人類への巻き込み事故)。しかし、途中トイレを借りられるような場所は写真のドラッグストアとその隣のホームセンターくらいしかないから要注意やで! あまりにも何もなさすぎて私は途中、ケツを抑えながら絶望しかけていた。
お腹もすっきりしたところで到着。
一目見て抱いた感想としては「低い」だ。低い。低すぎる。
もはや昭和の時代に建てられた展望タワーは、令和の現代においては高さで勝負などできようはずもない。東京丸の内に立つのビルの方がよほど高い。
では何で勝負すれば良いのかといえば、勝負できるものなど何もないというのが現実であると入場してみて痛感させられた次第である。記念メダルを販売している施設にはもちろん頑張って欲しいと心から願っているのだが、これを一体どうすれば良いのかっていうのは、日本経済を立て直すのと同等レベルの難問である。
制服女子高生がそこはかとなくエロい感じでそこにいる
非常に閑散とした1階売店エリアであったが、そこには女子高生が大量にいた。
まったく予想していなかったので、びっくりした。そう、ここ1階売店は現在「パンダのぬいぐるみを手にしたおっさん」「レジにいる昔お姉さんだった女性」「大量の女子高生」というラインナップでお送りしている。
この『アマガミ』という作品にそこはかとない興味を抱いたので、Kindleでコミカライズされた漫画を1冊買って帰りの電車で読んでみた。
なんじゃこりゃぁッ⁉︎
_:(´ཀ`」 ∠):
と電車の中で悶絶した。
たぶん狙ってそう描いているのだとは思うのだが、アラフォーのおっさんにはとても読んでられないような内容であった。なんかもう読んでいるのが辛くて度々Kindleを待機モードにした。
とりあえず言えることは、学校のポンプ小屋で主人公とヒロインがイタしてしまうのだが、
家でやれ
( ・∇・)
である。
別にエロシーンがあるから悶絶したわけではなく、恋愛アドベンチャーゲームの始祖『ときめきメモリアル』をプレイしていたときのような展開でストーリーが進んでいくので、心が錆びついてしまったおっさんにはきつかったのである。主人公である男子高校生の異様なまでの行動力は中二病男子諸君の夢と願望が詰まっているともいえる。付き合ってもいない後輩女子生徒の部活が終わるまで待っていて「一緒に帰ろう」とド直球ストレートで誘いそれが成就する世界線はまさにときメモが創り出した世界観である。誘えばどの女の子もOKしてくれて、誘わないと不満をもたれる(付き合ってもないのに)という世界は、それはそれで疲れるかもしれないが、夢の世界でもある。現実世界ではそもそも誘う勇気を奮い立たせるのに一苦労だ。私ごときレベルの人間ができることと言ったら、偶然帰るタイミングが重なったことを装って流れの中でなんとな〜く一緒に帰る——程度の姑息な手段くらいである。”付き合ってもいない女の子の様子が元気なく見えたから部活が終わるまで部室の前で待っていて一緒に帰ろうと誘うと女の子がもじもじしながら頬を赤らめて嬉しそうに頷く”ってのは、異世界転生したファンタジー世界の話である。
そんなほとばしるほどむず痒い作品『アマガミ』と出会える展望タワー【銚子ポートタワー】であった。
展望タワーから眺める将来の展望
【銚子ポートタワー】は展望タワーなので、もちろん展望フロアへ登らねばならない。
記念メダラー各位におかれましては、一階売店横の販売機で用を済ませた後はくるりと踵を返す方も多いと思われるが、もう一生、二度と来ないであろうことを思えば、400円ちょっとの入場料を払ってその光景を目に焼き付けておくのも悪くないのではなかろうか。何より、何もせずに引き返すにはあまりにも遠い。
それが東のエデン「銚子」。
展望フロアから見た銚子の街並みの感想としては、
変哲がない
である。ここに至るまでに歩いて見てきた街の様子からおよそ想像通りの光景がそこには広がっていた。
なぜこの場所に展望タワーを建てたのか——その謎が深まるばかりであった。
楽しみ方が難しいことは登る前からわかっていたさ( ´ ▽ ` )
それは昔から立っている展望タワーの運命(さだめ)。それを楽しんでこその記念メダラー。
古き良き展望タワーは何の訓練も受けていない素人が登ると5分以内にもう降りたくなってしまう。やることが何もないからだ。
そう考えると、【あべのハルカス】とか【東京スカイツリー】とかいった2000年代に作られた”高いところ”は、景色以外にも訪れた客を楽しませようとする”何か”を提供しようとしている姿勢があることがよくわかる。カップル向けの演出やらプロジェクションマッピングやらはよくある例であろう。
【銚子ポートタワー】でその”何か”を今更どうにかしようなどとはとてもじゃないが誰も思わないだろう。ではどうすれば良いのかというと正直まったく妙案は思い浮かばない。例えば【別府タワー】のように運営会社も変更され内装も全面リニューアルされてお洒落で綺麗になった先に輝かしい未来が待っているかというと、それはどうだかまだわからない。結果はこれから出るところである。
しかも【別府タワー】の場合は主要駅である「別府駅」に割と近く、大通りに面していることもあり周辺はそこそこの活気がある。対してここ【銚子ポートタワー】は閑散とした立地の中で閑散とした眺望を提供する場所となってしまっているため、本当にどうして良いのかわからない。
全国にあるいにしえの展望タワーの起死回生の再建案があれば、聞いてみたいところ。そういうことを研究している人がいても良い気がするのだが。大学の研究室レベルで。
記念メダルについて
【銚子ポートタワー】の記念メダルは、いわゆる”古き良きデザイン”を体現するかのような逸品であるといえる。90年代を感じさせる少しやぼったいデザインが逆にかわいい。そして今となっては希少となってしまったかつてのスタンダード”同じデザインで金銀取り揃え”である。実にイイッ‼︎
裏面はなぜかマンボウである。ちなみに展望室にて絶賛休業中のカフェも名前は「カフェ・ド・マンボウ」らしい。銚子の海ではマンボウが獲れるのかしら🤔
記念メダルのデザインも構成も販売機も刻印機もその全てが「記念メダルってこういうものだよね〜」を凝縮して体現しているかのようである。こういうのを懐かしみ「これこれ〜」と喜んじゃうようになるといよいよ古きに縛られる老害と化していくんだろうな〜と頭では分かってはいるものの、どうしてもやっぱりこういうのが良いと記念メダラーの本能の部分で感じてしまうジレンマ。
アニメキャラクター等のプリントメダルが主力になりつつある昨今、新しい風を受け入れられないかのような発言は害となれども1ミリも発展へは寄与しない——そう戒めながらも、古き記念メダルスポットを訪ねれば、記念メダルを集め始めたばかりのあの頃の気持ちが呼び起こされるのであった。
人間の気持ちとはかくもままならぬものかな。
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