女子ウケがすこぶる悪い趣味——それが記念メダル蒐集
春と秋は人事異動の季節——ということで、私の職場でも出会いと別れの季節がもうすぐ訪れようとしている。私は人事異動どころか転職もしているので、社会人になってからは「友達と仕事仲間は全くの別物」という考えになっており、基本的には別れが悲しくもなければ、出会いが嬉しくもない。ただ組織の歯車が入れ替わり、回転が良くなるのかあるいは今よりも鈍くなるかの違いでしかない(しかしそれが最も重要であるのだが)。もちろん「社内恋愛」という特殊なケースでは必ずしも物事はそう単純ではなく、一喜一憂悲喜こもごもな出来事が数多あったが、それももはや過去の話である(人生最大の恋愛は職場恋愛でござんしたが〜)。
そんなわけなので、この時期になると職場はざわつくわけだが、私は基本的には人のことには興味がないので、まあまあ普段どおりのあまりよく回らない歯車としての日常生活を送っていた。が——
この度の人事異動で、仕事のパートナーであった女性(若くて超美人)が異動することになった。しかもどうやら「社内結婚をするから」という理由で異動の対象となったらしく、お別れではあるがめでたい話でもあった。既に述べたように、私はいちいち人のことを気にできるほど器が大きくないので基本的には誰がどうなろうとあんまり感情を動かされないのだが、この娘がとある日のお昼を食べているときに突然「実は私、結婚するんです。まだ秘密ですけど」とこっそりと私にだけ打ち明けてくれて、おじさんはそれがなかなか嬉しかったわけである。そして結婚相手を聞いてさらにびっくり、「絶対にコイツとできてるだろ〜」と私が半ば確信に近い思いでいた相手では全然なくて、全くのノーマークだった奴が相手だったのである。これがまた文句なしのイケメンで、この二人がもし子供を授かることができたなら、美男or美女確定のスーパービューティホーカップル(なにこれ?)であった。
それにしても、若くて綺麗で気が利く文句なしの美人の結婚話を「うんうん」とか聞けるようになったのは、すっかり歳をとった証拠であることよ。少し前なら絶対めっちゃガッカリしたと思うんだけど、今じゃ完全に別世界の人の話ですからな〜。というか、彼女にとっても別世界のおっさんだからこそこのような話をしてくれたと思うんですがね。そういう意味では、一抹の寂しさがなきにしもあらず、ですな(知ったような口調で)。
で。
この娘が、無類の「記念メダル嫌い」であった。もちろん、私のせいである。
私が記念メダルについて熱く語れば語るほど、彼女はみるみるうちに不機嫌になっていった。切れ長の綺麗な目で射抜くように私に視線をくれ、「その話、やめてもらえます?」とマジなトーンで言われたものである。
この女性を通して「女子は男の収集癖を理解できない。いや、むしろ憎んですらいる」ということを身をもって理解した。私が記念メダルを愛するがあまり総費用数十万円をかけてオリジナルメダルを製作した話をしたときには、まるで汚物でも見るかのような目で私のことを見てきた。この話をして以来、私が「きね」まで口にすると、絶対零度よりも冷たい眼差しで私の口をそれ以上動かせないように凍りつかせてくるようになった。
仕事で女性に逆らってはいけない——これは社会人で一番最初に学ぶ常識である(嘘)。
そんなわけで、仕事の下見で社員旅行も兼ねて同僚たちと【東京スカイツリー】に行った時には、私は走って逃げてメダルを買いに行った。事前に相談した時には「必要ありません」とぴしゃりと言われたので、強硬手段として走って逃げて買いに行ったのである。記念メダラーたるもの、どうしても欲しいわけである。
戻ってきたときの私を見る彼女の目は、アナと雪の女王もびっくりなほどこの世のものとは思えない冷たいものであった。恐しすぎて謝ることすら許されなかった。
そんなこんなで記念メダル以外のことでは割と良好な関係を維持しながら過ごしているうちに、時の流れはいつしか我々を別れの日の近くまで運んできたのであった。「結婚するんです」と小声で教えてくれた彼女のはにかんだ笑顔をを見て、私は思い立ったのである。
よし、復讐(と書いて「お礼」と読む)しよう——と。
真っ先に思い浮かんだのは、やはり彼女が大嫌い(と書いて「大好き」と読む)な記念メダルのことであった。私のオリジナルメダルのみを差し出しても絶対に「いらない」と突き返されるのは目に見えているので、彼女を少しでも「記念メダルのドロ沼」に引きずれ込んでやろうと思考を巡らせていると、様々なピースがまるで収まるべき場所に音を立てて収まっていくかのように私の中でアイデアが固まっていった。
こうして私の復讐劇(と書いて「今までの感謝を込めたお礼」と読む)が幕を開けたのである。
記念メダル界のレジェンド「リャド好き」さん
記念メダル界には二人のレジェンドがいると個人的には考えている。一人は初めて個人でオリジナル記念メダル製作を実行した「kiwwy」さんで、もう一人が初めて体系的に記念メダル販売場所をまとめてくれた「リャド好き」さんである(通称「親子さん」)。特に「リャド好き」さんは、現地における記念メダル販売機の場所を詳しく記してくれたこと、メダル獲得場所のカバー率が非常に高かったこと、そしてたとえ手にしていなくても「オークコーポレーション」系の記念メダル販売情報もまとめて掲載してくれていたことなどから、記念メダラー的に実用性の高いHPであり、旅先で確認することが本家茶平工業HP「販売場所リスト」よりも断然多かった。現在でこそ「オーク」系もオークコーポレーション自身が販売場所を公開するようになったり、ツイッター等のSNSで販売情報が広く共有されたりするようになってまとまった情報を得やすくなったが、2010年前後までは「リャド好き」さんのHPが記念メダラー達の情報の柱であったといっても過言ではない。
そんなリャド好きさんが、一緒に記念メダル収集の旅をされていたご次男が成長されたことにより親離れ(?)したことを機に、記念メダル収集には一つの区切りをつけられ、新たな取り組みとして「茶平工業と正式に取引を成立させて」始めた事業が【オリジナル記念メダルSHOP】である。記念メダルを愛するゆえに一つの事業を起こすなんて、その愛の深さには脱帽である。【オリジナル記念メダルSHOP】に関する詳しい説明はリンク先に譲るが、要するに自分の好きな写真を茶平工業製記念メダルに変えてしまうという事業である。発足当初は記念メダルを愛するがゆえの記念メダラー達からの賛否両論があったが、個人的には「経緯を知っている」「リャド好きさんの記念メダルに対する愛を知っている」というところから、もともと良い感情をもっている。
否定的な記念メダラー達の心情としては、このような事業は「どこまで集めて良いか判断がつかなくなる」というコレクターゆえの恐怖感・嫌悪感があるのかもしれない。そしてその気持ちは実は理解できる。なぜなら、何を隠そう私が最初に抱いた感情がそうしたものだったからだ。
これに対するリャド好きさんの見解として、「ターゲットは収集家ではなく、今まで記念メダルに興味がなかった人たち」と茶平工業公式掲示板上で述べたことがある。つまり、記念メダルという文化の輪を広げたいという想いと夢を語ったのである。そこにはやはり深い愛を感じざるを得ない。商品展開の仕方も、明らかに記念メダラーをターゲットにしているのではなく、「節目の際にはこんな記念品をどうですか?」という一般人に向けたスタンスで展開している(ように思うが、一部シャンシャンメダルとかは必ずしもそうではないかも)。
また私としては、すぐにベースとなるメダル形状(つまり金型の種類)がいろいろあるのを見て、「収集に加えるならば、印刷部分ではなく金型の種類で集める範囲の区切りをつけるのかな」という見通しをもった。
とは言いつつも、なんだかんだで今まで購入をしてこなかったのだが、今回の件が起こった時、パズルのピースが天から舞い降りてくるかのように、このショップのことが脳裏に浮かんだのである。
まさに「結婚」という人生最大の節目の記念品としてふさわしい贈り物——記念メダル。アニメキャラがただプリントされただけのメダルよりも、よほど「記念メダル」の名にふさわしいではないか!
用意するものは写真、お金、時間そしてシチュエーション
さて、このプレゼントは仕事のパートナーだった女性へ向けての物だが、せっかくの社内恋愛からの結婚なので、ぜひ旦那さんとなる方の写真が入った記念メダルも製作して2枚セットで渡したかった。そうなると写真も二人分必要となるわけである。というかそもそも仕事上の関係しかないので、写真そのものがない——と思っていたら、あったのである。そう、上記の「社員旅行」での際、実はディズニーランドにも行っていて、二人が付き合っているなんて露とも知らず「ただ若い二人がそこにいたから」という理由のみで二人に犬(101匹わんちゃん?)の耳のカチューシャを被せて並べて撮影した写真が、私のスマホに一枚だけ残っていたのである。マジでこの時は二人のことなんて1ミリも怪しんでなかったので、その日の夜の飲みの席で彼の方から過去の恋愛話(元カノがナイトプールに行ってナンパしてきた男と浮気したので別れた話とか)を散々引き出していたので(もちろん彼女もその場にいた)、ほんと私ってバカね。。。
ちょうどよく二人の写真を持っていたので、あとは注文するだけである。デザインの入稿や注文方法はYouTubeの動画でも説明されていて親切設計である。が、私は実は見ていない。見なくてもそんなに難しくない。
ちなみに、Amazonからも注文できる。
簡単に流れを説明すると、「注文」→「メールが2通来る」→「2つ目のメールにあるリンクでデザイン入稿ページに飛ぶ」→「指示に従ってデザイン入稿」で終わりである。あとは待つだけで、私は1週間かからずに届いた。
物が届いたら、あとはシチュエーションをセッティングして渡すだけである。ちなみに私は「アクリルフレーム」も注文し、それにセットして渡すことにした。
さて、この地獄からの使者のようなプレゼント(彼女にとって)は、彼女と仕事をする最後の日に渡す予定である。いまからワクワクが止まらない。
結果がどうであったかをここに追記するかどうかはまだ決めてないが、ミもフタもないことをいえば、我々立派な社会人であるので、どんな形であれ謝意を述べられることは間違いないし、捨てるようなこともしないだろう。
要は、こういうやり取りを楽しめる程度には間違いなく我々は相性が良い仕事のパートナーであった、ということを自分の備忘録として残す次第である。また【オリジナル記念メダルSHOP】さんを利用してみたかった、という私の願望を「彼女が」叶えてくれた出来事でもあった。
新天地でも彼女に幸多きことを祈って——
追記
令和の足音がはっきりと聞こえ出した2019年4月下旬。【オリジナル記念メダルSHOP】さんから「令和記念」として、20%OFFクーポンがメールで届いた。そこで、昨年度で職場を離れることとなった元同僚が【大哺乳類展2】の記念メダルを送ってくれたのでそのお礼として「記念メダルフレーム」&「スマローオリジナルメダル」をプレゼントすることにして(めっちゃ迷惑かもしれないが)、【オリジナル記念メダルSHOP】さんで購入するついでに、せっかくなので他にもメダルを製作してもらうことにした。イラストはいずれも私の愛車「マイクラC+C」である。別にめでたいこともないので裏面の金型は前回の注文とは変更し、おもて面の金型は全種類が揃うようにしてみた。
1枚目(ギア)と2枚目(花)は、イラストの切り抜き画像である。つまり、「背景がないデータ」で作成した。どうなるのかな〜と思っていたのだが、背景は白ではなく、ご覧の通りの感じとなった。3枚目は白い背景の画像なのだが、画像データとしての幅が足りず、ご覧の通りとなってしまった。
以上のことからいえることは、切り抜き画像で作成するのではなくきちんと背景のある画像で作成した方がよい(切り抜きデータしかなければ白い壁紙データに貼り付けるなどする)&背景はきちんと内円の隅から隅まで収まる大きさであった方が良い、ということである。皆様の参考になれば幸いである。
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