人はいつから、こけしを見てエロいことを思い浮かべるようになってしまうのか
【未来の東北博覧会】は1987年に宮城県仙台市で開催された地方博である。
バブル期に行われた地方博であることと、NHK大河ドラマ『独眼竜政宗』からの正宗ブームの波に乗って最終的に13億円の黒字となった地方博の成功例である。NHKもパビリオンを出展し「独眼竜政宗館」なんてそのまんまな名称を付けるほどブームであったらしい。NHK大河の凄さが今も昔も変わらないところがすごい。地方が「ぜひウチの武将を主人公に!」と思うのも頷ける。
記念メダルに描かれているゆるキャラ(マスコット?)は「コケット君」といい、こけしとロケットを組み合わせたキャラクターであるらしい。宮城県の伝統工芸「こけし」と、未来といえば「ロケット」みたいな発想であると思われるが、こけしとロケットを組み合わせるなど完全にエロネタの餌食になりそうなキャラクターである。
ちなみに、こんな感じのマスコットキャラは他の地方博でも多数存在するので、そのうち特集記事でも書こうかと画策中(予定は未定)。ちょっと見ただけではまじで見分けがつかない。パクリパクられの世界である(オマージュ? インスパイア?)。
展示品の中で個人的に興味を引いたのが「未来の公衆電話」と題された「通話中にテレビゲームができる」という公衆電話である。こんな電話で通話したら、きっと最愛の人との電話も気もそぞろになるに違いない。ただ、見方を変えれば発想はスマホのゲームと近いものがあると思われる。人間には、とにかく「電話機でゲームがしたい」という内なる強い欲求があるらしい。この公衆電話で通話したら、スマホの課金のごとく、ゲームを続けたいがためにどんどん十円玉を投入するに違いない。さすれば、愛する人との会話もより長きものとなるであろう。質はイマイチだろうが。
また、会場までの交通手段として、なんとSL列車が運行されたらしい。気合いのハンパなさが伺える。鉄道に全く興味はないが、鉄道ファンも呼び込もうという気概は好きである。その他、海に隣接した立地を利用して会場でのイベントも多数催されたようで、写真等で当時の様子を見ると、一地方博にしてはとにかくバブリーな感じである。パビリオン数も地方博ブームの火付け役【神戸ポートピア’81】を上回ったようで、ウハウハな感じが伝わって来る。実行委員会
80年代の博覧会は、70年代のそれとは違い、資料が多く残っているし、ネット上で思い出を語る人も多く、当時の様子をうかがい知ることができる。実行委員会は笑いが止まらなかったことであろう。
そんな大成功を収めた【東北博’87】であっても、その存在を記憶している人は驚くほど少ない。私も幼いながらもすでに生まれていたし、仙台は父方の実家であったにも関わらず、この記念メダルに出会うまでその存在を全く知らなかった。博覧会という文化そのものが、ある種の風化の一途を辿っているような気がする。菓子博等は今も開かれているが、万博クラスのものでないと、全国的な話題とはもはやなりそうにない。地方博に縁の深い記念メダラーとしては、一抹の寂しさを感じる。
ただ記念メダラーとしては記念メダルを販売してもらえないと行こうとも思わないので、今後開催される地方博では必ず記念メダルの販売をしていただきたいものであるというわがままな寂しさね、これ。
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