似て非なるもの【スペイン】 記念メダル

海外では記念メダルのことを「スーベニアメダル」と呼び、観光地等で広く売られている、らしい(ちなみにディズニーランドの楕円型メダルも「スーベニアメダル」と呼ばれている)。茶平工業は恐らくこの海外文化を日本にも取り入れることに商機を見たと思われるのだが、その試みは成功しているとも言えるし、していないとも言えると考える。

 茶平工業のメダルが生まれてすでに30年以上は優に超えているので、企業としての価値、商品としての価値、そして商品認知度ともに高いと言え、「観光地に売っている名前とか彫れるメダルのやつ」といえば大抵の人は「ああ、あれね」となる。しかし、それを集めているというと大抵、「あれを買った人、初めて見たw」と言われる。事実、リアルな世界では、記念メダルを買ったことのある知り合いというのはいない(まあ一度くらい買ったことがあっても私が知らないだけかもしれないが)。

 ただ、これが「海外旅行のお土産」となると事情が変わる。観光地を示すお手軽なものとして、キーホルダーやアクセサリーと同じように、記念メダル(スーベニアメダル)を買ったことがあるという人が、多少はいるのである(ちなみにディズニーランドのやつはもっといる)。

 これはなぜか? いろいろな要素はあるのかもしれないが、個人的に思う一番の要素は「旅行の高揚感」であると考える。何を当たり前のことを、と言うなかれ。茶平工業製記念メダルがイマイチメジャーになりきれない、イロモノ扱いされるのは、ここにあると思うのである。

 例えば、茶平工業製の記念メダルでも、【スカイツリー】や【東京タワー】だと、購入時に並ぶことがある。これはやはり、メジャーな観光地を訪れ、「旅の高揚感」があるからだと思うのである。「ずっと行きたかった場所」みたいな気持ちが、記念メダルをキラキラしたものに見せるのである。海外旅行やディズニーランドでも同じで、それらは「旅に対する意気込み」が通常より大きなものである。それが、その場所にある記念メダルを、特別な思い出を大切に詰め込む重要なツールに見せるのである。

 しかしながら、かたや茶平工業製の記念メダルは、販売場所がいわゆる「B級スポット」であることが圧倒的に多い。「ずっとあこがれだった場所」でもなければ、「一度は行ってみたい場所ランキング」にランクインするような施設はごくわずかである(そんなランキングがあるかは知らないけど)。そういう場所に置かれていることが多いので、「マイナーな場所に置かれているマイナーな物」→「誰が買うの?」的な思考に繋がっているのではないだろうか。

 このことは、この記念メダルが「大阪万博」において一躍有名になったことからもわかる。「万博」という一大イベントでは、その思い出を大切にしまっておくツールとして広く受け入れられた。このことは「愛知万博」のときでも同じようであった。

 つまり、思い出が「大切」か「別にそんなでもない」かで、そこで売られているメダルに対する印象がかなり変わるのである。

 であるので、もっと販売場所を精選すれば、イメージが変わり、売り上げもまた違ったものになるような気がするのだが。

 上記写真の「サグラダファミリア」のメダルを、「なんでそんなもの買ったの?」と否定する者はほとんどいないだろう。なぜなら、サグラダファミリアは、多くの人の憧れの場所であるからである。場所の価値が、そのままメダルの価値(世間一般的な)に通ずる良い例である。

 もちろん、私もメダラーの端くれなので、上記のことは一般論としては考えるが、そうなってほしいとは全然思っていない。メダルに導かれて、普通なら行くこともなければ知ることすらなかったかもしれない様々な場所へ行くことができ、そこでの思い出はたとえ施設自体が面白くなかったとしても、「良い思い出」なのである。何より、新たなメダルを入手することができたという嬉しさが、あらゆるB級要素を肯定的なものにしてくれるのである。

 ただそれは、本当にごく一部の人にとっての話でしかないよね、という水を差す話をわざわざしているのである。

 このスペインのメダルは、私の最愛の人だった人が、スペインに旅行に行った際に、買ってきてくれたものである。その人は記念メダルに全く肯定的な気持ちはなく、「なぜそんな物を買うのか理解できません」と集めている人に面と向かって言っちゃうくらい否定派なのだが、それでもメダルを見かけたときに私のために買ってきてくれた、ということが嬉しくて、小躍りしてしまったのであった。そういうわけで、茶平工業製ではもちろんないものの、ある意味では一番大切なメダルなのである。という女々しい男の話ね、これ。


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