似て非なるもの【世界・食の祭典 JUNO’S JAPAN’88】 記念メダル

世界・食の祭典 記念メダル
世界・食の祭典 記念メダル

地方博の死

 ヤフオク!やメルカリ等で記念メダルを購入することを良しとしている私のようなタイプの記念メダラーは、恐らく「地方博メダル」を多かれ少なかれ所有しているのではないかと思われる。バブル時代を前後して一大ムーブメントとなった「地方博覧会」という文化はいまではすっかり下火となってしまったが、かつては同じ年に二つも三つも開催されるほどに興隆を極めていた。なんなら開催時期がかぶることもあって、競うように開催し「食い合い」のような現象すら起こっていた。

 そして皆さんご存知のように記念メダルブームのキッカケが【大阪万博】であったように、地方博覧会でも数々の記念メダルが作られた。「博覧会の歴史に記念メダルあり」とさえ言え、記念メダルの歴史においてもその全容は掴めない。それなりの種類を集めた今でも「こんな地方博があったの⁉︎ こんなメダルがあったの⁉︎」という発見がたまに起こる(そしてそういうレア物は大抵競り負ける)。

 また、地方博メダルを集めているうちに、自然と地方博についての歴史に関しても知識が深まってゆく。地方博メダルは、乱立されすぎて今となってはそのほとんどが歴史にすら残っていない「地方博」という文化が、確かに各地に存在したことを静かに語る確かな証拠となっているのである。事実、私はヤフオク!やメルカリでこうした地方博メダルを地道に収集する中で、日本の歴史を体感しているかのような感覚を得ている。地方博は基本的に官制主導のものなのでその地域の行政や町づくりと密接に関係していることも多く、大げさに言えば教科書には載っていない(それでいて確かにあった)「日本の歴史」を学んでいるようで、とても楽しい。早い話が、見たことのない地方博メダルが出品されているのに出会うだけで、楽しい。私の中では地方博メダルはかなり力を入れて収集している記念メダルであるといえる。

 そうした地方博メダルとの出会いによって学ぶ地方博の歴史を辿っていくと、恐らくいつかこの「世界・食の祭典」という地方博に行き着くこととなる。この地方博は、過熱しすぎた地方博ブームの終焉のキッカケであり象徴でもある、地方博という文化の黒歴史と呼ぶに相応しい博覧会なのであった。地方博という文化がもはや衰退していたからこそこの地方博が生まれたとも言えるし、この地方博によって息の根が止まったともいえる(地方博の開催自体はまだ続いていくが)。北海道が抱える行政上の黒い歴史でもある。

 この問題に関しては、告発のような形での著書がある。

↓絶版本かつ現在品切れ中なのが惜しい……

 この地方博自体が1988年の6月3日から10月30日にかけての開催で、この本の出版が88年の12月のことなので、とんでもなくスピード感のある出版であったことがわかる。読むと、著者の危機意識というか、「風化しないうちに問題にしたい」という意識が滲み出ている印象を受ける。取材はかなり詳細で、詳細すぎて「ホントかよ」みたいな面が多々あるというのが正直なところである(別に疑ってはおりませんが)。一言でいうならば、映画や小説でありがちな「政治家の暗躍、企業(広告代理店・土建屋)との癒着・利権」みたいな話のオンパレードで、現実感が伴わないのである。そしてこういったパターンのフィクションではお決まりの「自殺者」も出ていて(本当に自殺なの? みたいなパターンで)、話が壮大すぎてうまく現実感を掴めないところがある。ただバンバン実名が挙げられているので、当時の人、もしくは名を挙げられている人物たちを知っている人ならば、かなり生々しく読めるのではないだろうか。当時の北海道知事とか。ちなみにこの知事は民主党政権下で衆議院議長をやった方ですな。

 この博覧会は最終的に90億円もの赤字を計上し、北海道は10年かけてこれを完済した。「食の祭典」にひっかけて「ショックの祭典」とか上手いことを言う人まで出てきてなんだかまるで冗談のような話なのだが、現実なのである。「地方博覧会」という日本が築きそして衰退した一大文化の中で、冗談抜きでの黒歴史となったこの博覧会に行き、そして何を思ったのか記念メダルを買った人がいるという「奇跡」をここに残し、記録する次第である。茶平製でないのが残念ですな!

記念メダルについて

刻印ができるようなのだが、明らかに茶平工業製とは異なるメダルである。見ての通り刻印の場所が異なる上、大きさも38ミリメダル(デカメダル)と31ミリ通常メダルの中間くらいの大きさである。

そうなってくると、逆に「このメダルはどうやって刻印したのか?」ということが気になってくるお年頃。このメダル用の刻印機があったのかね〜。ちなみに塗りつぶしているところには個人名が入っていた。日付の数字もそうだが、明らかに機械で彫られた正確な刻印であった。

 ちなみにこれと同じタイプのメダルを以前見たことがある。愛知県犬山市のなんちゃらという祭り(全然参考にならない記憶)のメダルと、瀬戸大橋か何かのメダルだったような……。人は忘れなければ生きていけない生き物なのである(唐突な正当化)。

 以前は茶平行業と双璧をなすような「刻印メダル」が存在したのかもしれない。しかしあまりにも茶平行業製の刻印メダルが幅を利かせてしまったので、ほとんど表舞台に出ることもなく歴史の闇に埋もれてしまったのかもしれない。まるで「VHS」と「ベータ」のような戦い……というたとえを以前20代の若者にしたら、「ブイエイ……何ですか?」とベータどころかVHSも通じなかったという衝撃の展開に我が身は震えが止まらなかった次第。いや、「ビデオ」という言葉はかろうじて?わかるようだったが、ビデオテープには2種類が存在したことなんて全く通じず。これがいわゆるジェネレーションギャップなのだと戦慄したのであった……って、私だってベータなんて見たことがないですよ!(それは信じられないくらい売れていなかったからかもしれないが)。ちなみに、調子に乗って「HD DVD」って知ってる? とも訊いてみたが、「ハードディスクとDVDですか?」とまあそうだよねという私と同世代の人間でもしそうな解答が返ってきて、もちろん知らなかった。まあこちらは世代云々というよりも東芝の惨敗のせいなのだが。。。

コレクションというものを続けていると、知識と理解がそれなりに深まっていくため、いろいろと脇道に逸れるのかもしれない。「茶平以外にも刻印メダルがあった!」という事実をそれなりに楽しく感じるのは、末期症状だからかもしれない。

記念メダルという名の底なし沼。




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