【販売場所】
@会場出口設置の特設ショップ内
備考:「ショップ内撮影禁止」とショップ入り口ではっきりと示されていた珍しいパータン。
ある日小さなまるがわたしのもとには来ない。来るのはバツばかりさ。ずばりそうでしょう⁉︎
【さくらももこ展】は、実は2022年11月の高松会場を皮切りにスタートしたイベントである。高松→横浜→静岡→神戸→長崎→愛知と巡回してきて、2024年10月5日(土)〜2025年1月5日(月)の期間に東京会場が「森アーツセンターギャラリー」(いわゆる六本木ヒルズ)にて開催された。記念メダルの販売が開始されたのはこの東京会場からで、言わずもがななことであるが、記念メダル界隈がざわついたのはこの東京会場からとなる。ちなみに、その後予定されている最後(?)の巡回先である鳥取会場でも販売が継続されるか否かは謎である。
私ごとであるが、11月初旬の3連休はすっかり高齢となった実家の母と名古屋&岐阜観光をいたしましてね。母と二人で巡る旅というのもなかなかオツなもので、普段何も感慨なく通り過ぎるだけの名古屋の街が、特別なものに感じられるのだから、人間というのは実に単純なものですな(わかったような口調)。
で。
要するに、その母を名古屋から神奈川に送り届けてから、再び名古屋へ戻るそのついでに東京・六本木に寄ってまるちゃんを観てきたよ! というわけである。
母の趣味で岐阜・名古屋の美術館をはしごして、文字通り歴史に残る”本物”にこれでもかと触れまくった流れの中で最後にここに訪れたので「マンガ家の作品展でしょ〜( ´∀`)」と映画に出てくる登場10秒で殺される三流ザコキャラのごとくナメた気持ちでついでのように足を運んだら、その非礼をブラジルまで貫通する勢いで地べたに頭をこすりつけて土下座して謝罪したいくらい、超よかった。
さくらももこは歴史に名を残す偉人だわ
(*´ω`*)
ど田舎モン丸出しの発言をしてしまうが、マジでどこから入って良いのかわからなかったよ六本木ヒルズ。田舎モンには52階に行くのも一つの試練であった。この複雑さで私のような低俗な人間が入って来ないようにスクリーニングしているのかもしれない。ビルの入り口からは入場できないとかワナだよね。
撮影可能エリアも撮影は気まずい
わかっていたことではあるのだが、お客さんたちみんなお洒落よね東京・六本木。まずスタッフの方々が若くて綺麗(orイケメン)な人ばかりで、ああこういうところに地方と東京都とのそもそもの差が出るんだなと思うなどした。
とりあえずパンダのぬいぐるみを持ったおっさんがいつも以上に浮きまくっていたので、もうすっかり慣れたと思い込んでいた歴戦のパンダーである私もすっかり精神的に疲弊してしまった次第である。
そんな周囲の冷たい視線に負けじと撮影を敢行したわけだが、場内は基本的には撮影禁止であった。が、2箇所のみ撮影可能エリアがあり、ブロガーとしてはそこに命をかけて撮影をしてきたわけである。パンダ持ってさ。
撮影可能エリア1箇所目は、ご覧のように生原稿を巨大にして展示したなかなかオツなものであった。特に作者自身による原稿用紙の訂正箇所もそのままであるのが良い。原稿用紙の使い方の勉強にもなって(なんだそりゃ)。
実は撮影不可のエリアにも同じような展示がありそちらの内容も同様にすごく良かったのだが、お見せできないのが残念である。まったくもって個人的な感想だが、このエリアに至るまでに展示されていた数々の漫画生原稿よりも、この生原稿用紙(を巨大化したもの)の方がより生々しさを感じた。漫画の生原稿に至っては「あとでKindleで買っちゃって読んだ方が早いや(*´-`)」と思っちゃうほど、実際に単行本化された漫画との差をあんまり感じなかった。で、展示されている原稿からその”生々しさ”を感じるために見学するというよりは、みんなストーリーを追うように1枚1枚原稿を読み込んでいたので、「漫画買った方が早くね?」と思っちゃった次第である。
一方で原稿用紙だと、文字は手書きの”生々しさ”があり、エッセイとして単行本にされるときも「原稿をコピーしたもの」ではなくワープロソフトにおこしてから印刷するという”全然別物感”があって、私の心にはグッとくるものがあった。さくらももこって意外と字が汚いんだな、という字が汚い同盟を結べそうな感じに一方的な親近感を湧かせたのであった。
撮影可能エリア2箇所目は、ほんとなんかもう”ついで”って感じが自分にはした。もう1箇所くらい撮影エリアつくっとこ、みたいな。
で、ここに続いて一部記念メダルマニアの間で話題となった「撮影禁止グッズショップ」へと続き、展覧会は終了である。私は割と流して展示を見て行った方だと思うが(特に漫画生原稿エリア)、それでも1時間くらいは見ていたと思う。それぐらい良かった。会場を出ると、心地よい疲労感に満たされていた。
さくらももこは、まごうことなき天才である。
『ちびしかくちゃん』って知ってる?
『ちびしかくちゃん』というセルフパロディ作品知っているだろうか。
マンガオタクを自称する私が以前から気になっていたもののなんだかんだで手に取る機会がなかった作品の一つであるのだが、この【さくらももこ展】に感銘を受けた今こそ手にする時だ∑(゚Д゚)クワッ と一念発起し、会場を出てすぐにKindleで購入した次第である。
2017年に『グランドジャンプ』誌上で連載されていた、なんともいえない作品である。”なんともいえない”というのは私の感想である。出会うタイミングが悪かったのかもしれない。
内容を超雑に説明すると、主人公がモラハラを受け続ける話である。『ちびまる子ちゃん』に登場する各キャラクター達を絶妙に性格を悪くしたパラレルワールドといった感じで、社会の荒波に日々揉まれているおっさんが読むと、基本的には悲しい気持ちになる作品である。反面、”まるちゃん”ならぬ”しかくちゃん”は、まるちゃんにさらに輪をかけて良い子として描かれている。こんな性格の悪い連中に囲まれて育っていても、めげずに良い子なのである。将来絶対グレると思う。
読んでいてとにかくしか子ちゃんが不憫でしょうがない。職場でよくある(よく見る)ちょっとした不条理みたいなものを毎話毎話受けていて、私だったら間違いなくメンタル的に病む処遇に学校でも家でも晒され続けるのだが、それでもしか子ちゃんは良い子なのである。良い子がイヤな目に遭っているのを見るのが、ツラい。
性格の悪さ筆頭は、”たまちゃん”ならぬ”だまちゃん”である。犯罪には手を染めないクズを体現したかのようなキャラクターである。
またこの物語に救いがないのは、あのまるちゃん一家をみんな性格悪くしちゃったところである。つまり、しか子ちゃんの逃げ場が、うちにも外にもないのである。
7年前とそれなりに最近の作品であるのだが、これがブラックユーモア溢れるギャグ漫画としてまだ世の中に許容されていたところに隔世の感がある。ハートフル作品を世に献上する大家がギャグとしてこの作品を世に送り出したら、SNSでそれなりにギャンギャン言われそうな感じがするのだが、どうだろうか。
まあ子供の時に読んでもこれほど大袈裟にしんどく思うことはなかったかもしれない。地味に尊厳を傷つけられ続ける姿に己を重ねてしまう中年にはキツい作品であるだけで、サラリーマンの悲哀を知らない層が読めばしか子の姿をゲラゲラ笑いながら読めるのかもしれない。
記念メダルについて
前述の通り”撮影禁止”が厳格に設定されていて、なんと特設ショップの入り口にも「ショップ内撮影禁止」とはっきり示されていたので、何一つ記録に残せるものはなかったりする。つまり、販売機の写真も撮れなかった。
しかし販売機の上に飾られていたPOPのデザインやメダルのシャレオツなデザインから考えると、なんとなくオークコーポレーション管轄なメダルのような気がする。。。が、もちろん真相は定かではない。まあ微妙なところである。POPのデザインはオークにしてはシンプルであったような気もする。
また撮影以外にもいろいろと厳しい制約が課されていたことも特徴的であった。”一人1種1枚ずつまで”とか”1種ずつ2枚購入しても刻印は1枚まで”とか”レジでも購入できるけれどその場合は刻印不可”とか、今までにない様々な条件が、お洒落なPOPでハンター十ヶ条のように掲載されていた。
そのPOPももちろん撮影禁止だったので記録に残すことができないのだが、なんとかなりの完成度でそれを再現した猛者が降臨していたので以下に掲載。
いろいろと異例づくめのイベントであり記念メダルであるが、デザインについてもそれが言える。
おもて面のデザインが秀逸なのはもはや言及するまでもないだろう。もちろんさくらももこがデザインしたわけではないのだが、さくらももこっぽいデザインを踏襲しつつ、記念メダルの特性(◯であること)を活かしたデザインとなっている(特にまる子メダル)。
私が訴えたいのは、裏面である。引き算の美学がそこにはある。
こういう”シンプルなのに他を圧倒する”というのは、もはや素人ではまぐれでも到達できない領域なのではないかと思う。おもて面は原作からの制約がいろいろある中での苦心があった末の良デザインなのであろうが、裏面からは”デザイナーとしての矜持”みたいなものが窺い知れる気がする。
自分の個性の出し方は、このような良質な仕事の結果で表したいものであることよ。
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