【販売場所】
@栄山堂」というお土産屋さん
備考:清水寺にたどり着く前に購入できるので、購入後、清水寺に行くか迷う。
出会いは突然に……
この【清水寺】記念メダルが近く発売されることは、実は2018年3月末には知っていた。というのも、スマローオリジナルメダルを製作し、茶平工業さんにメダルを受け取りに行って工場見学をさせていただいた際、この記念メダルの金型を目にしていたからである。案内していただいた専務に興奮気味に「いつ発売するんですか? どこで売るんですか?」と質問したら、「いつなんですかね〜? どこなんですかね〜?」という答えが返ってきて、謎が謎のままとなった。
何度も説明してきたが、茶平工業さんは、本の流通で例えるなら「印刷会社」にあたる。印刷会社は、本の宣伝も小売もしない。出版社から依頼されたとおりに本を印刷し、納入するだけである。それがどのように流通し、販売されていくかは出版社が企画・決定することであり、印刷会社はノータッチなわけである。
[ 記念メダル⇄本 ]
【茶平工業】=〈印刷会社〉
【販売代理店(販売元)】=〈出版社〉
【記念メダル販売場所・観光地】=〈本屋〉
という関係が大体成り立つ。「言われたモノを、言われたとおりに造るだけ」というのは専務の言葉である。このように考えると、茶平工業公式HPの存在は、実は善意以外の何者でもなく、茶平工業にとっては別に無くても良いものなのである。なぜなら、販売代理店に注文通りに記念メダルを納入した時点で茶平工業の利益は確定するからである——つまり、あの青い自販機の設置場所でメダルが売れようが売れまいが実は茶平工業には関係ないのである。しかしそれでも「販売場所リスト」をHPに載せて記念メダラー達を導いてくれるのは、「善意」に依るものでしかない(収集家達にとっても、販売代理店にとっても、販売場所にとっても)。もちろん売れ行きが良ければ追加発注があるかもしれないという点で広い意味では関係あるのだが、はっきり言ってしまえば、所詮記念メダラー達がリストを見て訪れたところで記念メダルの売り上げ自体は微々たる増である。収益的には「記念メダルを買うために、入場料を払って施設に入る」ことの方がよほど意味のあることであり、そしてそうした収益はやはり茶平工業には関係ないのである。
何が言いたいかというと、「更新が遅いこと」「宣伝してくれないこと」に文句を言ってはいけないということである。いずれも、「印刷会社」が本来することではないのだから(で、肝心の販売元がこのような情報を公開しないという点は、コレクターを全く相手にしていないということを意味するのだが。記念メダルってあくまで「お土産」なのよね〜)。だから、「どうして清水寺をリストに載せてくれないんだ〜」と文句を言ってはいけない。そこには大人の事情が複雑に絡み合っているのである。善意だけでは成り立たないのが大人の世界。
※一部、茶平工業が直接納入している施設もある。【あべのハルカス】とか。
清水寺を参拝しようか迷っちゃうのであった
そんなわけで、存在自体の確信はあったのだが、腰が重いことで有名な私である。なかなか確認に赴く気になれず、挙げ句の果てには過去メダルの記事内にて「誰か確認してきて」と他力本願にお願いしたくらいの体たらくである。他力本願は浄土宗系の考え方なので、法相宗系の【清水寺】にあってはあってはならないことであることよ。
ほんとぽんぽんと旅に出ていらっしゃる記念メダラーの方々には脱帽である。私もそれくらいアクティブになりたい。そして、こうした発見をぜひみなさまに披露してみたい。しかし、そもそも記念メダルを販売していると確定しているところにしか旅行に行かないので、このままでは実現不可能な話である。新発見の感動を味わってみたいが、冒険心はないーーそんなアンビバレントな乙女心を抱えて、今日もまた生きていく(なんの話?)。
さて、肝心の記念メダルは【清水寺】の境内にあるわけではなく、向かう途中のあの急勾配の坂に連なるお土産屋さんの一つ「栄山堂」の店内にある。記念メダル販売機はお土産屋さん特有のごちゃっとした店内にさらに隠れるようにして置かれているので外からは正直発見しにくいのだが、なんとそんな記念メダラー達の悩みを見透かしてか「冷やし中華始めました!」的な看板をデカデカと掲げてくれているのである。なんと親切なのだろう。この看板を見て目の色変えて飛び込んでくる輩なんてどう考えても記念メダラーぐらいのものであるにも関わらず、そんなわずかな需要のために設置してくれているのである。個人的には、ちょっと管理が大変でも、ガチャガチャみたいに店外からアプローチできる場所に置いた方が観光客のみなさんの目に付いて記念に買って行ってくれることも多くなると思うのだが。看板見て「おっ、記念メダル買いたい!」となるのは記念メダラーくらいなもので。
私がいうのもナンだが、記念メダルの販売で成功したければ、コアなファンではなくて、観光客にいかに売るかを考えなければいけない。
【清水寺】には実に10年ぶりくらいに訪れたのだが、このお土産屋さんの通りもすっかり様変わりしていた。私が中学生のときは「京都の土産屋といったらパチモノTシャツ」というくらい、いろいろなメーカーロゴをパロディ化したものを売っているイメージがあった(あとアイドルのプロマイドとか)。京都の土産は八つ橋かあぶらとり紙かBozeのTシャツ(缶コーヒーBossのパロディ商品)というくらい定番であったのに、今やそんなものは見る影もなかった。というのも、そういったパロディ商品が一斉摘発された事件があったので、その影響だろうと思われる。店先に並ぶ物は、「京都限定◯◯」といったポッキーや柿の種的な物が多かったような印象である。もしくは、八つ橋か。
国際色も更に色濃くなったように感じられた。「着物を着た外国人」という率が高かった。恐らく観光客にレンタルをしてくれる店が近くにあったのだろう。そういう商売がはやるところにも時代の流れを感じる。
そんなこんなで【清水寺】を訪れる前に記念メダルを入手してしまったので、「このまま次の目的地に向かうか、きちんと参拝しておくか」という選択に迫られることになった。正直な話、過去何度か清水寺を訪れているが、一度も面白いと感じたことがないので、このまま次に行きたいという気持ちが強かった。しかし、ブログが私を変えた。「これだけじゃブログ記事にならん!」という思いがにょきにょきと自分の内なる奥底から顔を出したので、あまり気は進まなかったものの、参拝することにした。こんな気持ちで来られるなんて、【清水寺】もさぞ迷惑なことであっただろう。清水寺がどういう場所かもよく知らないし、北法相宗とかもようわからんのよ。「清水の舞台から飛び降りる覚悟で〜」という慣用句くらいしか知らないし、その清水の舞台も超高層ビル群がそこら中にそびえる現在では大した高さとは感じないし。飛び降りたところで迷惑なだけである。
工事現場に人の波
【清水寺】はなんと改装工事中であった。なるほど、そう来たか、と思った。神様(仏様?)は生半可な気持ちで参拝することなど許さなかったのである。そんな気持ちなら来んじゃねーと言われているかのようであった。
同時に思ったのは「こんななのに、通常の参拝料金とるのか⁉︎」というものすごくみみっちいことであった。お金に対しておおらかな人間になりたいものである。というか、みんな気にした様子がなかったのが、逆にすごいと思ったのだが。外国人の皆様方はまだしも、日本人観光客も全然気にせず記念撮影していた。そうかー、そういうものなのかーと、己の小ささを恥じ入るばかりである。
そんな【清水寺】なので、終始楽しみ方がわからず終わってしまった。工事の幕で景色は見にくいわ、写真は映えないわ、人でごった返しているわ、おみくじは吉だわ、「今年の漢字」は漢検協会主催で商業臭さを感じてちょっとがっかりするわで、全くもって私に合わなかった。ただこれは、恐らくは私が悪いのであって、【清水寺】に罪はない。これだけの観光客が来るのだから、大きな魅力がある場所なわけである。それを感じられるだけの感受性が私にないだけで、「来ちゃってごめんなさい」と太宰治ばりに謝るべきなのは私なのである。
なんとか面白いネタになるようなものを見出そうとしたのだが、とにかく人、人、人と工事の圧迫感で何をするにも窮屈であったため、どうにこうにも冴えなかった。
記念メダルについて
記念メダルのデザインとしては、非常にオーソドックスなものになっているといえる。これを好むか好まざるかは「ご当地感」を評価するかどうかにもよるだろう。一つ言えることは、女子ウケは間違いなくしないということである。そういう意味でもオーソドックス!
裏面がもうちょっと凝ったものであればもうちょっと面白いメダルになったのではないかなーと思うのだが。どのみち6万円くらいかけて裏面も金型を作らなきゃならないのだから、センスの良し悪しは別として、もっと製作者の夢を詰め込んだモノにすればよいのにと思ってしまったり。らじばんだり。
まあシンプルなのが良かったのだと言われればそれまでであるし、何より、多くの人はこうした記念メダルを何枚も買うことはないので、「こういうもんだ」と思うだけなのかもしれない。「おっ、裏面にも着色がある! めずらし〜」なんて喜ぶのは本当に一部の人間だけであろう。
ただやっぱり、【スカイツリー展望回廊イベント】の各メダルの売れ行きを見ると、デザインの出来と売り上げには相関関係があるように見えるのだが。その辺の統計を取ることができたら面白いんだけどな〜
清水寺の思ひ出ぽろぽろ
昔は京都のいろいろなお寺で記念メダルが販売されていたようだが、現在では【平安神宮】(寺じゃない)と【南禅寺】くらいである。「寺巡り」=「メダル巡り」という図式が成り立つのは記念メダラーとしては大変ありがたいことであったので、ぜひいろいろなお寺で記念メダルの販売を再開していただきたい。裏面に「御守」という二文字を入れるだけで立派な御守りとして売れるわけだし(下世話な言い方)。
【清水寺】は数回訪れたことがあるが、特に深い思い出は正直ない。「清水の舞台から飛び降りる覚悟」でお馴染みのその舞台も、今となっては超高層ビル群の展望室には到底かなわない高さであり、「まあ確かに飛び降りたら死ぬだろうけど……」と思う程度である。現代的に言い直せば「スカイツリーの展望回廊から飛び降りる覚悟」くらいがちょうど良い。ドバイタワーでも良い。
初めて訪れたのは中学校の修学旅行のときである。ズラッと立ち並ぶお土産屋さんのおみやげに驚いた記憶がある。数年前に問題となってすっかり縮小してしまったが、私の中学生当時、京都のお土産屋に並ぶ定番商品と言ったら、ロゴパクりTシャツがメジャーであった。「adidas」をパクった「ajides」や「kajides」、サントリーの缶コーヒー「Boss」をパクった「Bozu」などのパロディロゴをあしらったTシャツがどこに行っても売られていて、当時パチモノが大好きだった私は心躍ったものである。
ただ、中学生当時は死ぬほどケチだったので、こうしたTシャツを購入しないどころか、何一つお土産を買わなかった。修学旅行でお土産を買わない中学生と聞けば、なんとも可愛くない人間だったと想像つくことだろう。お土産購入資金はもちろんもらっていたが、一銭も使わず、帰ってきてからスーパーファミコンのソフト購入資金となった。ああ、可愛くない。
清水寺に至るには長い坂を登らねばならず、その坂道沿いにズラッと土産屋が並んでいた。ただ、そうした土産屋の中にはアイドルや芸能人のプロマイドを売っていたりよくわからないオモチャ屋があったり「なぜここに店を構えているの?」という不思議な光景であった。クラスメイト達も、京都ならではのお土産は家族のために購入するものの、自分のための買い物は広末涼子の生写真(本当かどうか謎だが)だったり、華原朋美の写真が印刷されたペンケース(使っているところ見たことなし)だったりと、今考えるとお土産業界の謎「観光地のお土産屋にはなぜアイドルグッズが置かれているのか」を体現する場所であった。
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