邪道【湯沢高原スキー場】 記念メダル

   【湯沢高原スキー場】は新潟県にあるスキー場である。

 スキーにはとんと縁のない人生を送ってきた。ゆえに、この場所に関して語ることは何もない。恐らくは、一生訪れることはないだろう。

 私はウィンタースポーツとはほとんど無縁で、スノーボードを3回ほどやったことがある程度である。スキーは一度もない。

 理由は簡単で、費用が高いからである。もちろん、どのようなことであれ、好きな人にとってはこれが「高すぎる」ということはないだろう。

 スノーボードをやった感想としては、「楽しかった」である。小学生の頃はスケボーにハマっていた時期があり、割とその要領が通用して、1回目から滑って楽しいくらいには滑ることができた。しかしながら、私の生涯スポーツ「フットサル」と比べてどうなのか――という問題が浮上した。

 要は、費用対効果の問題である。

 フットサルは1回2000円程度でよく汗もかくことができ、とても楽しい。対してスノーボードは、まず私の住まいは雪国ではないので、行くだけでもそれなりの費用が掛かる。プラス、道具一式のレンタル料に、リフト代で毎回万単位の費用が掛かった。ここで道具は本気で取り組む気になったのなら自分の物を買い揃えればよいということで省くとしても(フットサルにも道具は必要)、とにかく遠隔地であるということが敷居を高くしている。3回中2回はバスツアーで行ったのだが、それもまた「面倒くさい」という印象もさることながら、「大がかりなイベント」として私の中で認識されてしまった。

 毎回そこまでの時間と費用と労力をかけてまで取り組むスポーツではないな、というのが私の結論であった。楽しいことは楽しいが、仮にフットサルと同等の楽しさだとしても、手間暇費き用を考えればフットサルの方が話が早い、ということである。

 同じ理由で辞めてしまったのが、「ゴルフ」である。ゴルフはとにかく費用がかかる。フルコースを1日回れば15000円程度は必要で、水呑み百姓の私にはそれだけでかなり厳しい。しかもゴルフの場合、「上手くなればなるほどスイングする回数が減る=カロリー消費が減る=運動にならない」という矛盾を己の中で消化しきれないものがあった。せっかくスポーツをするのだから、痩せたい――という乙女心(30代半ばのおっさん)。

 ウィンタースポーツから遠ざかったのも結局はここに行き着く。すなわち、「お金をかける割には痩せる要素が少ない」である。もちろん、スキーやスノーボードを定期的・継続的に続けられる環境であるならば、体型維持諸々に結び付く運動となりえるだろう。しかしながら、フットサルと同等のカロリー消費だと仮定しても、費用が少なく見積もってもフットサルの五倍くらいかかるのである。

 仕事の上で何よりも「費用対効果」を考えるつまらない人間・私は、その壁を越えられなかった。

 もちろん、仲間内で行く「旅行」というイベントの範疇であるならば、全然行くけどね~。

 そんなわけで、既に述べたように私が【湯沢高原スキー場】を訪れる可能性は限りなくゼロに近い。ただ、そんなウィンタースポーツに無縁の人間を、雪山に呼び寄せる魔法のような手段が存在する。

 そう、記念メダルの販売である。

 記念メダルさえあれば、全国の記念メダラーはあらゆるジャンルの垣根を越えて、その地へ訪れる。

 登山未経験だった私が、道具一式を揃えて【富士山頂】を訪れた。理由は「記念メダルがあるから」、ただそれだけである。

 記念メダルという存在が、本来は想定しえなかった客層を呼び込むのである。全国数多存在するちいさなメダルを探し求める勇者たち。

 問題なのは、ものすごくニッチな存在であるということで、それが最大の問題であるともいえるのだが。記念メダルが「ポケモンGO」くらいメジャーな存在になれれば、キャンペーンで鳥取砂丘に人を呼び込んだような効果が得られ、記念メダル販売場所も増えるんだろうけどね~

 ということで、【湯沢高原スキー場】、再販求む。 




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