【販売場所】
@2F 21号室
備考①:企画展にちなんだメダルが発売されるので、入れ替わりが激しい。
備考②:一度は姿を消したミュージアム外観メダルが復活して嬉しみ(2023.9)
クリエーターズルームの先駆け
【トキワ荘マンガミュージアム】は2020年7月に、コロナの猛威にさらされるなか、予約制導入によって開館に漕ぎつけた。2023年現在でも予約制を維持しているが、空き状況によっては当日突撃しても入れる。私も余裕で予約を忘れていたが、余裕で入れた。客も少なかった。先行きが心配になったが、豊島区立なのできっと大丈夫だろう。公務員万歳。
最寄駅は地下鉄「落合南長崎駅」西武池袋線「東長崎駅」のどちらかで、行きと帰りでどちらも使ったがどっちでも良いって感じであった。
入場料は、企画展がやってなければ無料なのだが、企画展が開催されていると500円である。潔く500円払おう! と言えるくらいの社会人年数を重ねてしまった自分を嬉しくも感じるし、失ってしまったものの大きさに恐れ慄く自分もまた是レ在。失った若さと2度とは戻らない輝いていた時間。
入場すると、とりあえずいきなり2階を案内される。2階が漫画家達が住んでいた部屋だかららしい。断固として1階から回らせないぞ! という強固な意志をそこには感じた。それくらい、鉄壁のディフェンスで1階の道は義経を守る弁慶のごとく立ちはだかるスタッフの方がいた。
手塚治虫や藤子不二雄、赤塚不二夫が住んでいたあの「トキワ荘」は1982年に解体されているので、この施設は復元ミュージアムである。しかし外観の古びた様子なども再現していて、その復元精度はかなり高い。トイレの黄ばみすらも再現してるほどで、あの黄ばみは手塚治虫のおしっこのあとなのかもしれない。
隣の共同炊事場は、現代でいうところのルームシェアの台所を彷彿とさせる。というかトキワ荘自体が言ってみればルームシェア的な住まいであったという捉え方もできるかもしれない。
トイレ、炊事場と過ぎると、あとは漫画家達の部屋である。四畳半一間とはこのことか⁉︎ と言わんばかりの画一的な部屋が続いていく。これなら現代ではカプセルホテルの方が快適なんじゃないか? というくらいの造りであるのだが、その現代では持ち家でも「コンテナハウス」なるものが流行りつつあるので、人類は狭き場所へ回顧していく生き物なのかもしれない。
現代日本でも、クリエイター達が集まるクリエイター向け物件というのは実際存在する。一つ屋根の下に住んでお互い切磋琢磨し合う環境という需要は、芸術文化の世界では今も昔もあるのかもしれない。現代で多いのはアパートというよりルームシェアという形での共存だが、昔のアパートの風呂無しトイレ・炊事場共同というのはもはやざっくりルームシェアといっても過言ではない。
あずまんが大王
【トキワ荘マンガミュージアム】では定期的に企画展が開催されていて、テーマとなった作品にちなんだ記念メダルが発売されたり、されなかったりしている。トキワ荘ということもあり、比較的古めの作品——特にトキワ荘の住人だった漫画家作品のときに記念メダル化される傾向があるので、『よつばと!』だとまあメダル化されないだろうな〜と思っていたら、なぜかトキワ荘外観メダルが復活したので、結果オーライであった。
『よつばと!』は作者あずまきよひこのマンガで、幼児のよつばちゃんとその父親が繰り広げるハートフルコメディである——らしいが、未読である。実は血が繋がってないとか、よつばちゃんは実は外国人とか拾って来た子だとか、なんか闇が深そうな設定があるものの、基本的にはほのぼの系の話らしい。
作者前作の『あずまんが大王』は読んだことがあるのだが、ちょっと私には合わない感じであったので、『よつばと!』を読むのは現在も保留中である。
ただ、『よつばと!』作中に登場する「ダンボー」というキャラはかなり好きで、昔乗っていたクルマにダンボー型ドライブレコーダーを搭載していたくらいである。
だから、アパートの各部屋を順繰りに見学していると、突如として室内に現れた巨大ロボに超びっくりした次第である。
調べてみると、実際『よつばと!』作中でも主人公のよつばちゃんとダンボーとの出会いも、こんな感じで「(他人の)部屋に入ったらダンボーがでーんといた」といったものだったようで、それを狙っている展示であることがうかがえる。
当然のことながら、この企画展は原作のことを知っている方が面白いことは言うまでも無い。かろうじて「ダンボー」を知っていたからその点ではまだマシであったが、本当に何も知らない人が訪れたら「何、このダンボールの塊?」「よつばと? プレバトの親戚?」としかならなかった可能性大である。
このことからわかることは、何事もいろいろと広く浅く知っていた方が世の中で楽しめることが増えるということである。とりあえず原作読んでみようかしら。
ラーメン大好き小池さんのラーメン
藤子不二雄のマンガにはよくラーメンが登場する。そしてそのラーメンがうまそうなのであった。
藤子不二雄マンガでラーメン代表といえば小池さんである。
藤子不二雄マンガに出てくるラーメンは、玉子とチャーシューがトッピングされた昔ながら中華そばって感じのラーメンで、今見るとなぜこれがうまそうに見えるのかは謎である。しかし、ラーメンの描写(絵)のスタンダードを形作ったのはこの藤子不二雄マンガに出てくるラーメンなのではないかと勝手に思っていて、”藤子不二雄マンガのラーメン”はラーメン好きにとってある意味”憧れ”の象徴であった。
そしてなんと! その”憧れのラーメン”が実際に食べられるという情報を、いつもながらのTwitterから得た!
ということで、歩いてすぐだったので行ってきた。
ちょうど12時くらいに訪れたので、店は満席であった。基本的に待つのは嫌いなのでいつもならさっさと次の店に行ってしまうところだが、やはり”藤子不二雄のラーメンを食す”というイベントなので、おとなしく待った。店内は大きなスーツケースを置いた観光客らしき方々が大半で、やはりみんなどういう店か知っていて来ているのだろうと推察された。
街中華なのでメニューは実はいろいろあったのだが、「松葉のラーメンライス」という名のいかにも「ウリですよ!」と言わんばかりのセットメニューがあったので、それを注文することに。正直「炭水化物×炭水化物」の組み合わせはあまり好きではないのだが、こういうイベントでは、いかに後悔のないような選択を積み上げていくかがポイントである。もう2度と来ないのならば、自分が納得いく行動をすべし(かっこ良く何か言ってるけど、ただラーメンを注文するだけの話ね、これ)。
店内は女性3人が切り盛りするハツラツとした厨房であった。上記の掲載マンガのように、本当に女性しかいない。
そして数々の漫画家さん達が訪れた証である色紙の数々がある飾られていた。それらを眺めながらぼーっとラーメンの到着を待つ。
そしてついに!
憧れの”ラーメン大好き小池さんのラーメン”が‼︎‼︎
うん、
味、普通
もちろん、美味しい。普通だが美味しいし、美味しいが普通である。つまり、普通。見た目から想像しうるラーメンであったとも言える。
やはり何事も”期待値の調整”ということが肝要である。街中華の普通においしいラーメンであるのに、過剰な期待をしてしまったがゆえに、まるで普通であることが罪であるように感じられるのだ。こいつら↓がいけない。
繰り返すようだが、普通に美味しいラーメンであった。近所にあれば、また来ても良いレベルである。
ただ「ほかの店のは食べられないね!」という台詞にビビっていたのは杞憂だったというだけの話だ。全然、他の店のラーメンも食すことができる自分が健在である。
自分の人生を楽しむには、この”期待値の調整”が何よりも重要なのではなかろうか。自分に期待しすぎず、他人に期待しすぎず、過去の偉人達が愛したラーメンに歴史の重みによる過剰な期待をし過ぎない——それが幸せになるために必要な力なのかもしれない。
その他、気になった諸々
記念メダルについて
前述の通り、この施設は企画展にちなんだ記念メダルが発売されることが多いので、メダルの入れ替わりが激しい施設の一つでもある。それはすなわち、記念メダラーたちの忠誠心を試す参拝所であることをも意味することは、言を俟たない。
私は裏ルートにて割と入手することができているのだが、全種類を自力で揃えている猛者もいて、本当に尊敬である。
また、記念メダル収集はよっぽどの富豪でないかぎりやはり関東圏に住むことが有利となる。真のメダルへの忠誠心とは東京都内への引越しなのかもしれない。
販売場所は2階の一室なので、順路通りに見学していけばすぐにお目見えとなる。
なお、登場当初は世にも珍しい畳の上のメダル販売機として名を馳せていた。が——現在では【佐賀城】も畳の上の販売機戦線に参戦して来て、畳の上は群雄割拠の様相を醸し出している(醸し出してない)。
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