茶平か微妙【王貞治ホームラン800号】 記念メダル

王貞治800号記念メダル

今はなき後楽園球場にて

 王貞治が通算800号本塁打を放ったのは、記念メダルに示されている通り、1978年8月30日のことであった。ちなみに800号は王貞治にとってはただの区切りの良い数字でしかなく通過点に過ぎなかった。世界記録は756本目であったし、通算成績は868本である(公式戦でなければその後も少し打っている)。というかなんちゅう数字やねんという話である。バケモノだ。

 後楽園球場は、「後楽園ゆうえんちで僕と握手」でおなじみの「後楽園ゆうえんち」等のレジャーが併設された球場であった。かつ、東京ドームが誕生する前の巨人の本拠地であった球場である。要するに、現「東京ドームシティ」なわけである。

 私は実は東京ドームも後楽園も言ったことがない(岡山県の【後楽園】はもちろん訪れているが)。高校生までは神奈川県に住んでいたので、戦隊ヒーローの「ぼくと握手」のCMはかなり目にしていた。私は、実はとても握手をしてみたかった。しかし私の母が、なぜか異様なまでに「後楽園ゆうえんち」のことを嫌っていて、私が「僕も握手したい!」と訴えるたびに、「後楽園ゆうえんちは面白くないから行かない」とそのまんまな直截的な表現で断られていた。当時私は未就学児(言い方)、言われるたびに「そうなのか……」とガッカリしつつも、「握手をしてもらった!」と嬉しそうに語る友達を見るたびに「後楽園ゆうえんちって面白くないらしいよ」とワケ知り顔で他の友達にうそぶいていた。そうやって満たされぬ思いを埋め合わせていたという典型的心理であろう。

 しかし今にして思えば、なぜ母はあんなにも後楽園ゆうえんちを毛嫌いしていたのだろうか? すっかり大人になった——というか、オヤジになった私は考え、結論に至る。

過去に男となんかあったな、と。

 いや、もちろん真相は知らないし知る術もないのだが(息子が母親に「後楽園ゆうえんちで昔の男となんかあったの?」と聞くほど親不孝なことはない)、私もそれなりに酸いも甘いも味わってきた30代半ばのおっさんである、男女問わず理由不明確で行きたがらない場所には過去の恋愛の匂いがする、ということを知っている。しかも、悪いことではなく大切にしたいからという方向性の方が色濃い、というものである。

 そんなわけで私はいまだいちども「僕と握手!」をしたことがないし、恐らくは一度も握手をしてもらえないまま一生涯を終えることになるだろう。

 少し寂しい気もするが、私はそれ以上のものをたくさん母親からもらってきた、ということを思い、そっとこの気持ちにフタをするのであった(大袈裟)。

「号」の字が……

 「号」の字が、一本足打法をイメージされたデザインとなっている(気がする)。本来「号」は口偏の下は接続していないのが正しい書体だが、敢えて飛び出させて繋げているのは、メダルに描かれている王貞治の一本足打法に「あれ? なんとなく形似せれるんじゃね?」と気がついたデザイナーがちょろっと遊び心を発揮させたのではなかろうか。見ようによっては波乗りをしているポーズの「号」でもあるが。

記念メダルについて

 この記念メダルはヤフオク!やメルカリでよく見かける。古い物なので時折強気な値段をつける出品者もいるが、概ね高くても1000円以下で購入できるし、状態が良いものも多い。私はそこまでの興味がなかったので多少状態が悪いがメルカリ上の最低価格「300円(送料込み)」で購入した。

 茶平工業製かどうかは微妙なところである。が、個人的な感触としては「茶平なんじゃないかな〜」という感じである。まず大きさは31ミリメダル(通常メダル)と同じで、厚さも同じである。メダルの造りもほぼ一緒といえる。ないのは茶平のアイデンティティ「刻印面」くらいなもので、限りなく茶平工業製に近い——というか「まあ茶平だろう」と確信に近い思いなのだが、それを決定づける物が今ひとつない、という状況である。一番確実なのは茶平工業に直接聞くなのだが、気がひけるというのが乙女心である(何が?)。

 デザインとしては、上でも述べたがやはり一本足打法をする「号」の字が遊び心に溢れていてとてもおしゃれである。とここまで言っておいて、「はっ? そんな気なかったし」とかデザイナーの方に言われたらどうしよう。いや、どうしようもない(反語)。

 プロ野球における偉人たちは記念メダルになることがままある。

長嶋茂雄記念メダル
言わずと知れたON砲のもう一人、長嶋茂雄
星野仙一記念メダル
ON砲のライバル、「闘将」星野仙一
金本知憲記念メダル
手を骨折しても試合に出続けしかもヒットを打った金本知憲。
山本昌記念メダル
50歳までプロを続けた中年の星、山本昌

 こうした慣例から考えれば、王貞治も茶平メダルとなっていてもおかしくはないと思われる。どなたか確認して〜(ザ・他力本願)




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