個人製作メダルのパイオニア!
この記念メダルは、「メダル列島」という記念メダルの先駆的HPを運営している方が、個人で製作したオリジナルメダルである。
このホームページの歴史はかなり古い。ここ数年の間で記念メダルの収集を始めた方は、本家の茶平工業HPを除けば恐らくリャド好きさんの「親子記念メダル収集のススメ」というページにまず辿り着くと思うが、2009年以前から記念メダルを収集している人は、まずこの「メダル列島」に辿り着いた。誰もが知っているあの刻印できる記念メダルがこんなにも沢山あるのかと、そしてそれを集めるために旅をしている人がいるのかということを、最初にネット上に広く知らしめた方である。もしかしたらそれ以前から記念メダルを扱ったホームページは存在したのかもしれないが、現在でも名が残っているものはほとんどないといってよい。webコンテンツを長年に渡って維持することは思いのほか困難なことなのである。また、このHPの開設当時は恐らく「ブログ」というお手軽なwebコンテンツの形が現在のように広く活用される前で、サーバーも煩雑な手続きを経てレンタルしなければならないし、webページも「ホームページビルダー」などで手作りしなければならず(HTMLを一から組んで製作したのかもしれないが)、現在よりもwebコンテンツを創設する敷居は相当高かったと思われる。その苦労を省みず「記念メダルの情報提供」という形を個人で行った先駆者なのである。
そして何より大きいのが、「記念メダルを個人で製作した」ということ、そしてその制作秘話を情報として公開したことであろう。実は私は職場の記念品係になったとき、茶平工業に依頼して記念メダルを製作してもらおうとしたことがある(これぞ公私混同)。結局最終のプレゼンで敗北しその夢は叶わなかったが、実は見積もりまで取っていて、記念メダルの原価や金型代がよくわかり、非常に勉強になった。そして、そうしたことを自分でもやろうと思い立ったのは、このホームページの製作秘話を読んだからに他ならない。先駆者がいるということは、何よりも心強いことなのである。
はっきり言えば、金さえ出せばオリジナルメダルは製作できる。しかし、私がこの方が製作した記念メダルに尊敬を覚えるのは、そのスタンスである。
記念メダルの「記念」という言葉の意味をとてもよく考え、その在り方を守った物にしようという意識がとても高いのである。
例えば、販売方法を「戸塚で手売り」としたいという旨を明記している点である。私だったらめんどくさいので絶対にそういうことはしないのだが、記念メダルという存在の意義をよく考えられているのである。つまり「その場所に行った記念として購入するのが記念メダルでしょ?」ということである。何を隠そう私は通信販売で購入したのだが(要望があったので通販もしていた)、通信販売の方が手間も時間もかからないしトラブルの危険も少ないので良いことづくめである。しかし、「手売り」ということにこだわっていたのは、記念メダルへの愛と、記念メダルを集めている人への畏敬の表れである。
また、もう一つ尊敬する点に、「追加販売・再販はしない」とするその理由である。
現在では販売予定枚数が全て売れたようで販売を終了しているのだが、再販への要望を、心を苦しい様子を見せながらも断っている。その理由を「金型代も含めた値段で販売したから」としている。具体的には「減価償却しているのに同じ値段で売ると新規購入者に不誠実」「値段を下げて売ると以前の購入者に不誠実」ということであるらしい。
つまり、儲けようとは一切思っていないということである。他の人からしたら「同じ値段で売って儲ければいいじゃん」と思うかもしれないが、誠実であるがゆえにその選択肢はないのである。普通に考えれば「同じ値段」で売る限り、再販を望む人からの喜びの声はあろうが、ほとんど文句は出ないと予測できるのだが(再販はしないという触れ込みだったらしいが)、それでも儲けというものは考えずに誠実であろうという判断で「再販無し」を貫き通したのは、立派な人柄がその背景にくっきりと浮かび上がる。私だったら「そんなに欲しいなら再販しちゃお~」と余裕で思うこと間違いなしである(最低)。既に金型代をペイできているなら、在庫を抱えるコストは相当安く済むはずなのである。1ロット単位で発注していけば、長期的な販売見通しで全然余裕である。在庫といっても記念メダルなので、1ロットであればそんなに場所取らないし。
それをしないというところが、記念メダラーの鑑であるなぁと思うのである。
そんな【戸塚開宿400周年】記念メダルであるが、実は金のほかに銀のメダルも販売されていた。私ったらおバカちゃんなもので、今だったら迷わず金銀両方とも購入したはずなので、当時はまだ記念メダラーとしてのレベルが低く、「記念メダルをどのように集めるのか? 全部買うのか、気に入った物だけを買うのか」という点に迷いがあり、このメダルに限らず現地で購入するにしても販売されているもの全てを購入していたわけではなかった。最終的には結局「全部、大人買い」方式となった現在では、この頃のことが悔やまれてならない。迷わず買えよ、買えばわかるさ! という猪木の声が脳内でこだまする。
そんなわけで金のメダルしか所有していない。たかだか900円をケチったのかなんなのか、銀のメダルを買わなかったあの頃の自分に言ってやりたいものである。「やらずに後悔するより、やって後悔しろ!」と。
——このセリフを吐く大人に大抵ロクな奴はいない。こういうことを言う奴に限って、自分のこととなるとグチグチぐちぐちとやらずに迷っているのである。
そう、つまり私である。
コメントを残す