邪道【エンパイア・ステート・ビルディング】 記念メダル

↓38ミリメダル(デカメダル)

 【エンパイア・ステート・ビルディング】は言わずと知れたニューヨークにそびえ立つ摩天楼である。このビルの展望フロアはビルの展望階としては世界一有名な場所であると言われている(私は行ったことも見たこともないけど)。そんな場所で茶平工業製記念メダルが販売されていたーーあの自販機と刻印機が設置されていたとは正直考えにくいので、この記念メダルはアメリカ関係の何らかのイベントで販売されたのではないかと推測される。で、そういったことで重要となるのが我らが茶平工業製記念メダルのアイデンティティである「刻印」なわけで、このメダルに刻まれている1975年のことを考えると、【沖縄国際海洋博覧会】が開催された年である。この博覧会ではアメリカ関連の記念メダルがかなり販売されていたと考えられる。というのも、詳細は不明なのだがアメリカは当時建国から200年を数えるのを目前にしており、翌76年にフィラデルフィアで開催される【アメリカ建国200年祭】という行事の売り込み?をこの博覧会で行っていたっぽいのである。そしてそのため?の記念メダルが制作されている。

↓アメリカ建国200年祭メダル(AT THE INTERNATIONAL OCEAN EXPOSITION OKINAWA JAPANとある)。ちなみに38ミリメダル(デカメダル)

 私の推測ではこれらの記念メダルと同時に売られていたのではないかと考えている。が、全ては推測の域は出ない。ただ、【エンパイア・ステート・ビルディング】で売られていたわけではないことは半ば確信している。なぜなら、もし売られていたなら、公式ホームページでそう謳いそうだからである。自慢したくなるっしょ?(根拠のない確信)。

 【エンパイア・ステート・ビル】は記念メダルという文化に縁が深い場所である。というのも、茶平工業HPの「記念メダルの歴史」ページにも「ルーツはアメリカであるとかないとか」みたいにアンニュイな形で書かれているように、「記念メダル」の発祥はアメリカであると言われている。もともとは「スーベニアメダル」と呼ばれ、1セント硬貨を押しつぶしてその土地固有の模様を刻印して記念メダルとするのが、広く普及されている「スーベニアメダル」と呼ばれるものである。現在でも各地に普及しているそうなのだが、私は海外旅行をしたことがないのでよく知らないというね! 日本では茶平工業製記念メダルと双璧を成す楕円形記念メダルの「メダリーフ」(タイトー製)がこの流れを組む記念メダルであり、購入すると実際に銅板を金型に圧着して刻印する様子が目の前で見られる。100円玉を投入するとあたかもその100円玉が圧着機に流れたような演出となっており、かなり元祖「スーベニアメダル」を意識した造りになっている(と思われるが、実物見たことないのでよく知らないというね、はい)。日本では貨幣損傷等取締法により実際の硬貨を潰すことは禁じられているためこのような形になったと思われる。

↓適当に検索して出たメダリーフ動画

 「メダリーフ」はディズニーやUSJに大量にあり、しかもよく更新されるので、こちらを収集しているガチ勢は自然とディズニー通、USJ通となることだろう。そしてその二大テーマパーク以外にも日本中のありとあらゆるところに流通しているため、1枚あたりの単価が安いとはいえ、メダリーフコレクターは茶平工業製記念メダラーよりもあらゆる場所へ飛び立たねばならないというSA・DA・MEを負う(正確には「メダリーフ」とディズニーの「スーベニアメダル」は別物なのかもしれないが)。

 しかしながら私が調べた限りでは、これが歴史の違いなのか、「メダリーフ」には販売場所を体系的にまとめてくれているお役立ちサイト的なものはなく、現状販売されているものだけの制覇を目指すのも、情報の把握が困難という意味でかなり厳しいと言える。「メダリーフ」製造会社であるタイトー株式会社にもその情報はない(ただメダリーフ設置までのかなり具体的な説明はある)。このようなことを考えると、情報を体系的にまとめてくれている有志のまとめサイトの存在は本当にありがたいものである。情報公開が手軽にできるツイッターやインスタグラム等のSNSは新着メダル情報の収集には非常に有効であるが、辞書引き的な索引にはあまり向いておらず、情報の全体像を把握しにくいという欠点がある(悪く言えば情報の垂れ流し的な面が否めない。情報を得るには「タイミングを逃さない」という努力が必要となる)。1円の得にもならないのに情報をまとめてくれて、しかも絶えず新しい情報に更新してくれるまとめサイト運営者の方には、本当に頭が下がる思いである(アフィリエイトしても儲からないだろうし)。また何より、全く利益がなく、かつ、情報を公開しているせいでむしろトラブルに遭うことがある茶平工業株式会社には足を向けて寝られない。私のように「販売情報は敢えて載せない」という趣味のお遊びブログとは貢献度が大きく違うといえる(ブログも体系的なまとめには向いてないし)。

 「メダリーフ」も当然コレクターの方のブログ等はあるのだが、現在でも熱心に続けているような人はいないっぽいのが非常に残念である(私のようにわざと全ての日付を「2012年」とかにしているわけじゃない限り)。普及しすぎて逆に茶平工業製記念メダラーのようなコアなコレクターが現れにくいのか、はたまたそういった方達はツイッターやインスタグラム上で活躍しているのか。「お隣さん」のような世界だけに、なんだかちょっと気になってきた次第。

 このように「メダリーフ」の全容は全く掴めないわけだが、その反面、本当にどこにでも設置されていると言えるくらい普及しているので、「旅行に行けば大抵何かしらのメダリーフが購入できるだろう」という利
点もある。旅行に行くちょっとした楽しみの一つとして存在するイメージであり、本来スーベニアメダルはこうした楽しみのためにあると思われる。「メダルを買いにその場所に行く」というのは本来は本末転倒なのかもしれない。いや、行くけど私。

 「メダリーフ」は専用のホルダーも色々と販売されていてちょっと羨ましい。

 というわけで、すっかり【エンパイア・ステート・ビルディング】からは話が逸れたが、茶平工業製記念メダルも、亜流ではあるものの「スーベニアメダル」にその源泉があるわけで、何を隠そうその「スーベニアメダル」の発祥の地が【エンパイア・ステート・ビルディング】と言われているのである(諸説あり)。手動式のスーベニアメダルプレス機が設置されていたらしい。

 さて、仮に何かの拍子で記念メダル発祥の地と言われるこの【エンパイア・ステート・ビルディング】にあの青い自販機と液晶画面がキュートな刻印機が設置されたとしたら、猛者たちは果たして買いに行くのかな? 私はパスポートを取るとかそういう時点で挫折しそう。




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