【フェリー こんぴら】は、恐らく以前紹介した【りつりん】と同じく、神戸ー高松間を航行していたフェリーであると思われる。船名の由来も香川県の「こんぴらさん」からとられていることは容易に想像がつく。が、これ以上のことは結局よくわからなかった。
そして、これまた【りつりん】と「りつりん2」の関係と同じように、ジャンボフェリーという会社が運行する「こんぴら2」というフェリーが現在でも存在する。こちらは竣工が1989年であるため、記念メダルに刻印された日付を参照すると別物であることがわかる。
【りつりん】のときには私の調査能力不足でいまいち把握しきれなかったのだが、メダル裏面の「KATO」という文字は、「加藤汽船」のことだと思われる。で、「りつりん2」」「こんぴら2」ともに運行はジャンボフェリーであるが、フェリー自体の所有者は加藤汽船であるらしい。もともとは加藤汽船が所有していた航路を、明石海峡大橋などの完成によって競争力が減り撤退が決まった加藤汽船から譲渡される形で、ジャンボフェリーが受け継いだようである。そしてこのジャンボフェリーという株式会社は、加藤汽船を退職した従業員や有志が航路存続のために航路移管の受け皿として設立したものらしい。この点、ジャンボフェリーの人々は超男気のある方々だといえる(女性もいたかもしれないが)。
つまり、名称から容易に想像はつくが、【りつりん】【こんぴら】ともに、「りつりん2」「こんぴら2」の先代フェリーにあたり、いずれも加藤汽船が所有した(する)フェリーなのである。もともとは「ジャンボフェリー」は航路名を指す名称であったのが、新会社がその航路を引き継ぐ際に、航路名として使用されていた愛称をそのまま社名に用いたとのことである。加藤汽船が所有する船を別会社であるジャンボフェリーが運行するという少し変わった形での運営なのである。
これで概要がわかって1週間ぶりの便通のように大変すっきりしたのだが、依然として【こんぴら】のフェリーとしての詳細は謎のままである。どのような船内で、どのような評判だったのかは、時代が古すぎてネットの世界には情報は皆無であった。
1980年代を境に、ネットにおける情報量は極端に変わる。こと記念メダルに関しては、1970年代は【大阪万博】のような大規模イベントであれば話は別だが、平均規模の地方博のようなイベントだとほとんど情報はない。地方博であればまだマシだが、今は亡き施設、ちょっとした話題にも上らないような過去のイベントだと、謎が謎のまま終わることがある。【こんぴら】に関しては、後進のフェリーが存在するがために、まだ概要が判明した方だともいえる。
女の過去と同じように、むやみにほじくり返したりしてはいけないと神様が言っているのかもしれない。という適当な幕引き。
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