邪道【東京タワー】 記念メダル

東京タワーはなぜ赤いのか?

 それは、世界を救った勇者の血で染められているからです。

大規模な焼き鳥

 いきなり何? 新興宗教にでもハマったの? とお思いになられた方、ご安心ください。思考が普通じゃないのはデフォルトです。

 何の話かというと、『ドラッグオンドラグーン』というスクウェア・エニックスが製作したゲームの話である。このスクエニといえば言わずと知れた『ドラクエ』と『FF』シリーズであるわけだが、このゲームもまた、方向性が全く違えど一部マニアの間では伝説と化したゲームなのである。「方向性が違えど」のその方向性とは

鬱ゲー

 としてである。このゲームは人類史上初となる「マルチバッドエンディングシステム」を採用した伝説のゲームなのである。くどいようだが、「マルチエンディングシステム」ではない。「マルチバッドエンディングシステム」である。

 複数のエンディングが用意されている「マルチエンド」のゲームはいまやまったく珍しくなく、その中のエンディングの一つ(あるいは複数)としてバッドエンドが用意されていることはままあることである。中には圧倒的にバッドエンドが多く、多くのバッドエンドを見た後でしか真のエンディングが見られないパターンもあり、古くはスーパーファミコンの『弟切草』や『かまいたちの夜』等はそうしたゲームシステムの先駆けであったといえる。

 しかし、そうしたゲームシステムは「真のエンディングで、真のハッピーエンドとなる」というのがいわば“お約束”であった。プレイヤー達はその暗黙の了解があるからこそ、数々の救いのないバッドエンドにもへこたれず、真のエンディングへ向けてやり込むのである。それは言わば、希望への光に向かって茨の道を突き進むようなものであった。救いがその先に見えるからこそ、棘の苦痛にも耐えられるのである。

 しかしながらこの『ドラッグオンドラグーン』は、そうした暗黙の了解が、「ただの暗黙の了解でしかない」ということをプレイヤー達に冷酷に突きつけた伝説のゲームなのである。そこには明確な規約や約束があるわけではない。たとえこのゲームのキャッチコピーが「抗え。最後まで。」であったとしても(本当)、「最後まで抗ったら救いがあるよ」と約束しているわけではないのである。「抗え」とただ命令しているに過ぎない。その命令に「暗黙の了解」という麻薬のような骨抜き薬によって何の考えもなくほいほい従って最後の最後までやり込んで真のエンディングがある「E分岐」にたどり着いたプレーヤーは、唐突なストーリー展開と、ほとんど説明のない特殊すぎる唐突なボス戦と、一切の救いのない「Eエンド」を突きつけられ、絶望の淵へ叩き落とされるのである。具体的には自衛隊の戦闘機によるミサイル攻撃を受けて撃墜され、東京タワーへと叩き落とされるのである(後述)。

 この『ドラッグオンドラグーン』というゲームは、タイトルからも分かる通り剣と魔法とドラゴンのファンタジーゲームである。主人公はドラゴンに乗って冒険をし、中世ヨーロッパをモチーフにしたいわゆる一般的なファンタジー世界を旅するアクションRPGである。ただ登場人物が『ドラクエ』や『FF』と違ってどいつもこいつも問題があるやつばかりで、主人公もまた普通ではないのだが(快楽殺人者的な感じ)、その点は今回は置いておく。問題なのは、いわゆる一般的に想像され得るファンタジー世界をずーっと旅してきて、もっといえばAからDまである他のバッドエンドも当然のことながらその世界で完結するのに、それらのエンディングを全て見た後にしか辿り着けない「E分岐」において、主人公とラスボスが唐突に、一切の説明もなく「新宿」にワープするのである。主人公が乗るドラゴンが「ここは……神の国なのか」みたいなことを呟いた後にすぐさま「新宿」というテロップが入るのがとてもシュールなのである。

こういう世界で頑張っていたはずなのに
唐突にこうなります。一切の説明なく

 このE分岐の新宿行きの直後、主人公が乗るドラゴンが「何なのだこれは⁉︎ どうすればいいのだ⁉︎」と叫ぶのはプレイヤーの気持ちを率直に代弁したものとしてあまりにも有名なセリフである。そしてほとんど説明もなく、今まで進めてきたアクションRPGとしてのゲーム性を根底から覆すが唐突な「音ゲー」が始まるのである。ラスボスは「母体」と呼ばれるキャラなのだが、この母体が「滅びの歌」を歌うから、それを防げ! みたいな雑な説明しかされない。しかもこの説明と呼べるかどうかも怪しい説明も、前述の「なんなのだこれは⁉︎」というドラゴンのセリフと同時に表示されるため、プレイヤーはそっちに目がいって全然読めないという仕様なのである。

プレーヤーの気持ちをこれほどまでに代弁してくれるドラゴンのセリフは、音声も流れます。まったく下には目がいかない。読んでも意味はわからない。押さえつけろ!と命令されても。
母体の「滅びの歌」に合わせてこちらもボタンを入力するという音ゲー。くどいようだが、ここに至るまでに音ゲー要素は一切出てこない。

 そして、全ての戸惑いと混乱を乗り越えて「母体」の破壊の歌をすべて防ぎきると、エンディングへと突入する。あまりにも不吉なテロップと共に……

東京タワーが赤い理由、知ってたかい?

 で、本記事冒頭のシーンへと繋がるわけである。

 このE分岐にたどり着くためにはすでに述べたように他の全てのバッドエンドを見なければならない他に、全ての武器を集めなければならないという条件もあるのだが、これが非常に厳しかったりする。だからこそ——そんな苦労を乗り越えた先だからこそ、プレイヤーは唯一のハッピーエンドであると信じて激ムズの音ゲーも何とか攻略しようと努力する。「なんで新宿やねん」というモヤモヤをぐっと飲み込んで。

 しかしプレイヤーがたどり着くカタルシスは、バッドエンドの一つである「Aエンド」が「実はハッピーエンドだったんじゃない?」という、○○の中では一番マシ理論でハッピーエンド?が出現するという寸法なのである。阿漕である。

 実際続編である『ドラッグオンドラグーン2』では、EエンドではなくこのAエンドがベースとなって更なるストーリーが紡がれることとなる。

 ということで、【東京タワー】の解説というよりすっかりゲームの紹介(しかも古い)で終わってしまったが、私が東京タワーを見たときに真っ先に思い浮かべるのは実は

 であり、いつかこれに言及したいな〜とずっと思っていた折、旧型の【東京タワー】メダルを入手できたので、満を持してこのような記事を書かせてもらった。「全てがバッドエンド」という誰もが思い付かなかった手法を考案し、ゲーム史にその名を刻んだ『ドラッグオンドラグーン』。

 このように「誰もが思い付かなかった」ものを、私も記念メダル史に刻んでみたいものである。アイデアは実はあるんだけどね〜

記念メダルについて

 歴史上様々なメダルが作られてきた【東京タワー】の中でも、割と有名な図柄の一つである。過去には同じ図柄で現在のメダル仕様のものも作られた。

 旧メダルの刻印を見ると「1988年」とあるので、年代的には新メダルの仕様であってもおかしくない。実は1988年は一つのイベントで新旧両方の仕様のメダルが作られたことがはっきりと確認できる唯一の年代であり、記念メダル史の中では少し特殊な年であるといえる。イベントは【青函博】である。

この三枚のメダルはセット販売された。

ただ裏面のツブツブ仕様だけでなく、現在では鏡面仕上げとされる箇所をザラザラ仕様にしているのも旧メダルの特徴であるので、この【東京タワー】メダルは売れ残っていたものが88年まで継続販売されていたのではないかなーと予想する。

 【東京タワー】は【東京ワンピースタワー】も含めて現在も続々と新しいメダルが販売され続けている「記念メダルのメッカ」なので、その歴史を全て紐解くのはなかなか難しい。販売数が多いことに期待を込めて、今後も未知なるメダルが市場に出現するのをじっくりと待ちたいところである。わたしまーつーわ、いつまでもまーつーわ(唐突に何?)。




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